2001/10/18〜2002/1/31
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はじめに

アメリカでは、8人に1人の女性が、その生涯において、乳がんに苦しんでおり、乳がんと診断された女性の数は、2000年度だけでも、およそ182800人にのぼりました。

過去5年間の間に、私のおばと母が相次いで乳がんと診断されました。
彼女たちは乳房を切除することで一命を取り留め、乳房は失ったものの、命があるだけありがたいと感謝し、以前と変わらぬ暮らしをつとめています。

私が見たかぎりでは、 乳がんに対する一般的な知識や患者の苦悩に対する理解は、日本よりアメリカのほうが進んでいるようです。
乳がんは女性がかかる病気として第1位にあり、その治療法や予防に対する研究助成金や保険システムの改善を、患者や家族ら市民の手で勝ち取ってきた経緯があるからかもしれません。

また、乳房が小さいことに悩む十代の女の子はみなブラジャーに靴下をつめたことがあると言われるほど乳房コンプレックスが根強い国ですから、乳がんによって乳房を失うことにはかりしれない恐怖感を持つ人も決して少なくないでしょう。

一方で、乳がんを克服した患者の多くは、家族の精神的サポートのもと、以前と変わらぬ暮らしを以前以上に積極的に楽しんでいます。
年老いても男女の関係性を尊重したいと考える多くのアメリカ人家庭では、夫の理解が再発に対する恐怖心や喪失感を癒す上で不可欠です。

ここでは、私が1年間滞在したアメリカ、ニューヨーク州ロチェスターで知り合い、
「乳がん以降に、夫婦の絆と日々への感謝の念が強くなった」
と語った3人の女性の日常生活にカメラを向けました。
このシリーズを通して、私自身の乳がんに対する恐怖を軽減し、私の家族や、乳がん経験者を少しでも勇気付けることに役立てばと願います。

(ここで紹介する3人の女性はいずれも外見上は乳房を失っていません。 予防の知識やマモグラフィの技術が発達したアメリカでは、再発を最小限に食い止めるために全摘出するケースが多かった日本と違って、保険でまかなえる成形手術や、初期段階の患者には、乳房を温存する化学療法など美容面を考慮した選択肢が多いことも特徴です。)

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