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女性議員を増やし支えればもっと良い社会に
17.02.24 by 打越さく良



女性政治家の直面する厳しい現実

 「早く結婚したほうがいいんじゃないか?」
 「まずは自分が産んでから!」
 「産めないのか?」(沸き起こる笑い声)
 以上は、『女性政治家のリアル』(イースト・プレス、2016年)の著者塩村あやかに対して、2014年6月18日、東京都議会本会議一般質問において、複数の男性議員から受けた野次だ。

 妊娠出産育児に関する都の見解、取り組みを質問する途中で受けたこのセクハラ野次は、女性政治家に向けられる蔑視や嘲笑を象徴する。野次議員たちは、塩村都議を、女性であり、4人という小さい会派(現在はひとり会派)で、議会の中で、力が弱いと、見下していたに違いない。そして、彼らは、SNS時代のこのご時世、少数会派の女性も全世界に発信することが出来ることを、認識していなかったのだろう。
 その日の夜、塩村都議と同僚議員はことの顛末をツイートした。翌日までに2万回を超えるリツイートがされ、東京都には1000件を超える抗議がたった一日で寄せられた。発言者の特定と処分を求めるオンライン署名(Change.org)は最終的に91,000筆を超えた。ウォールストリートジャーナルその他、海外メディアは、性差別主義者の発言として報じた。ちなみに、私ももちろんオンライン署名に加わったし、怒りに満ちてネット上に寄稿したし、何とかならないかと都議会でロビーもした。

 本著を手にとる人の多くは、セクハラ野次の顛末に関心があることだろう。序章では、リプロダクティブ・ヘルス/ライツが国連の文書で個人の権利の問題であることが明記され、第三者に強制されて産むとも産むなとも言われるものではないことが国際スタンダードになって久しいのに、このスタンダードに野次議員たちは全く追いついていないこと、さらに小さい会派から野次をする弱いものイジメ、差別があることが、指摘される。
 しかし、本著はこの問題に終始するではない。ロスジェネ世代のひとりの女性が困難な中でも誠意をもって仕事をし、人々との出会いから学び、仰天するような苛酷な選挙運動をくぐり抜けて、都議になり、奔走するという、胸が熱くなるようなビルドゥングスロマンでもある。

 セクハラ野次問題で、ネット上、塩村都議を応援する声ばかりではなかった。男を「公の場で謝らせた」ことが批判されたり、過去の経歴や出来事を歪曲した情報も流されたりしたという。フリーランスの車のライターとモデルの仕事をしていて、顔と名前を売らなくてはと考えていた折、バラエティ番組に応募し、1年間の出演が決まる。面白くなければ外される。ライターの仕事を増やすため、絶対に番組に出続けたい。そのためにはどうしたらいいか。話を盛ったり大きく膨らませたりして、面白くすればいいのである。このときの「過激な言動」が、都議になってから問題にされもした。塩村都議は、「政治家になる前のこととはいえ、不快に感じたみなさまにあらためてお詫び申し上げたい」と書くが(56頁)、むしろ「全力でヒール役をやってきたんだなあ」と清々しい。バラエティ番組では話を盛っていることなど織り込み済みで視聴してきたはずなのに、ガタガタ生真面目に文句を言うのはどうかと思う。政治家としての資質に直結する金銭授受疑惑などがあった議員が大目にみられているというのに、不思議だ。

 「恋のから騒ぎ」を卒業し、放送作家としてラジオ番組を担当し、結局は政治を変えなければという思いを抱いていく。そして、維新の政治塾に加わり、みんなの党の公認申請をし、都議選に出る。今までの仕事を辞め、乏しい資金で政治家になる、この決断をすることも大きな勇気がいることだったろう。その上、駅で演説をしていると、毎日同じ人からぶつかられたとか(!)。頬を叩かれたり、胸ぐらを掴まれ揺さぶられたり、殴りかかられたりしたこともある(!!)というのだから、恐ろしい。高い供託金など、制度的にも女性が政治家になるにあたっての壁がある。

 都議会という不思議。審議会のポストは多数会派に多く回る、一見平等に見えて不公平なシステム。参加するだけで何も発言しなくても、「費用弁償」という名の経費や交通費支給がある。報告書すら出さないでも「海外視察」を、多数会派に重点的に割り当てがいく。議員同士が平等ではなく、「強い者について忖度すればいい」という空気の蔓延。ああ、小池百合子現都知事の人気にあやかろうとする都議らを思い浮かべる。真摯に勉強して、「下」でなく、都知事と「対峙して」都政の問題点を追及してほしい。そうでない都議などいらないと都民としては切に思う。
 そんな中で、塩村都議のような、勉強し冷静に分析し誠実に行動している女性議員がいることが嬉しい。本著を読むと、少数会派・ひとり会派でも、懸命に頑張れば、都議1期生でも、女性でも、手応えを感じるお仕事ができるのだ、と感動する。

 しかし、セクハラ野次問題については、発言者のたったひとりしか特定されず、その鈴木章浩自民党都議もいったん会派を離脱したものの、2015年7月には自民党会派に復帰した。離党勧告も除籍もない。他の発言者は名乗りを上げず、特定もされなかった。なんとぬるい解決。男たちに占められている都議会の限界を感じる。塩村都議は、マイノリティの意見をも尊重されるようになるには、時限的にでも、クオータ制を設けることに賛成とする。確かに、必要に違いない。


女性たちがネットワークを組み、ポジションにつけば変わる
 女性差別を経験した政治家は、塩村都議一人ではない。三浦まり編著『日本の女性議員 どうすれば増えるのか』(朝日新聞出版、2016年)に紹介されているアンケート調査(2014年実施)によると、964人の女性地方議員回答者の22.3%が抱きつかれたり触られたり、「抱かせてくれたら(票を)入れたるわ」などと暴言を吐かれたりしたという…。絶句である。本著が列挙するように、女性が議員になることを阻む要因としては、自他ともにある「女なんて」というステレオタイプ、性別役割分業といった認識の問題、勝てる候補=現職=男を優先しがちな小選挙区という選挙制度の問題、「利益誘導政治」が横行する風土で発達する男たちのホモソーシャルなネットワークから女性は弾かれてしまいやすいという問題等、諸々あるが、露骨な女性蔑視は、女性議員が少ないことの結果でもあり要因ともなろう。

 「日本の女性議員に関して包括的に論じる初の一般書」とある通り、がっつりした調査研究の成果である。研究書なのに、涙がこらえられなくなるところがいくつもあった。議員になった女性たちの乗り越えてきた苦難とそれにも挫けない彼女たちが愛おしくて、だ。

 1990年代を取り上げた第2章はとりわけ涙なくしては読めない。今では夢のようだが、女性議員が女性政策をいきいきと動かしえた時代。数はまだまだ少なかったが、それでも、責任のあるポジションにやる気のある女性がついた場合、女性の人権を守り、男女のより平等な社会を構築するための政策が制定されうるのだ。私が弁護士として依頼者を救済するツールとして活用しているDV防止法の制定経過がとりわけエキサイティングである。同法は、超党派の女性議員たちのパワーが結集した成果であった。官僚たちが必要ないとし、組織の縦割の間隙に放置されてしまうところだったDV防止法を制定しようと、女性議員たちは奔走した。その背景には、彼女たちが女性に対する暴力防止への国際的な潮流を肌で経験したことや、草の根の女性たちとのネットワークや自身の前職(メディア、弁護士、看護師etc.)で女性の被害の現状を知っていたことがある。「DV防止法成立に尽力した南野千惠子と小宮山洋子」とキャプションがついたお二人の笑顔(小宮山は背中が写っているのだが間違いなく笑顔)の写真etc.をじっくり見て、女たちの党を超えた信頼関係を築くことの意義に感じ入り、感謝の涙が目からあふれ出る。

 ああ、それなのに…。2000年代以降の停滞を取り上げた第3章は重苦しい。女性の非正規労働者の割合は正規労働者のそれを逆転し、女性の貧困は悪化。働くシングルマザーの貧困率は50%を超える。待機児童問題は一向に解決しない。女性の視点に立った政策を一層充実しなければならないのだが、女性議員は活躍する主体というよりも、小泉チルドレン、小沢ガールズといったかたちで話題性を期待される政治的客体へ…。少子化問題への危機感から女性の身体に国家が介入するかのような政策が志向され、ジェンダー平等政策は停滞している。私がライフワークにしている(というか実現してくれればライフワークにしないですむのだが(涙))選択的夫婦別姓も強固な反対に阻まれ、実現していない。閣僚に女性がつくのも定石となったが、ポジションについた女性たちは女性関連政策にコミットしてくれるどころか…。「客体」として政党に選ばれた女性たちは、女性たちとのネットワークがなく、政党の意向に忠実になっているだけなのか。女性が少なく、孤立していると、「男性」化してしまうのか。んぬ…。
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 落ち込みながらも、女性議員のキャリアに焦点をあてた第4章(男性と違う!)、女性議員と男性議員の政治意識の違いを論じる第5章、地方議会に目を向けた第6章、女性議員が少ないこの社会の要因を分析し必要な法整備等を論じる第7章を読み進めれば、やるべきことはたくさんあると襟をただす。


女性議員が少ないままでは民主主義の土台が危うい
 女性議員を増やそう。そういうと、編者である三浦まりは、耳にタコができるくらい「女性議員を増やすことに何のメリットが?」といわれるようだ。女性議員が少なく男性議員が圧倒的な現状に何のメリットが?と三浦でなくても切り返したくなる。

 女性議員が増えれば、セクハラ野次に象徴される、女性に対する差別、蔑視、人権侵害、攻撃暴力が置きやすい現状が改善されうる。民主主義を実践するための機関である議会において、差別や人権を侵害する言動が横行し放置されれば、民主主義の土台が危うい。女性の参画が阻まれたままでは、男女平等の実現に向けた政策は進展しない。少子高齢化社会の日本が、女性の権利やニーズに配慮しないのであれば、その「老衰」は加速度をつけていくこと必至。女性議員を増やすことはこの社会を次世代に豊かな社会として引き継いでいくことにもつながる問題なのだ。

 日本の女性たちが初めて参政権を行使した1946年から今年で71年。女性の政治代表が公平なものとなるよう、それぞれができることを始めてほしい、と三浦は本著をしめくくる。よおっし!できることをやらねばならぬ。「選択的夫婦別姓も何も実現してくれない、オトコばかりの政治め」とふてくされていてもしかたないのだから。

プロフィール
打越さく良
打越さく良(うちこしさくら)
弁護士・第二東京弁護士会所属・日弁連両性の平等委員会委員日弁連家事法制委員会委


得意分野は離婚、DV、親子など家族の問題、セクシュアルハラスメント、少年事件、子どもの虐待など、女性、子どもの人権にかかわる分野。DV等の被害を受け苦しんできた方たちの痛みに共感しつつ、前向きな一歩を踏み出せるようにお役に立ちたい!と熱い。
趣味は、読書、ヨガ、食べ歩き。嵐では櫻井君担当と言いながら、にのと大野くんもいいと悩み……今はにの担当とカミングアウト(笑)。


著書 「Q&A DV事件の実務 相談から保護命令・離婚事件まで」日本加除出版、「よくわかる民法改正―選択的夫婦別姓&婚外子差別撤廃を求めて」共著 朝陽会、「今こそ変えよう!家族法〜婚外子差別・選択的夫婦別姓を考える」共著 日本加除出版

さかきばら法律事務所 http://sakakibara-law.com/index.html
GALGender and Law(GAL) http://genderlaw.jp/index.html 
WAN(http://wan.or.jp/)で「離婚ガイド」連載中。