あたくし、フー姐さんが少女漫画にボットウしていた当時流行っていたのは、「ポーの一族」とか「ベルサイユのばら」とか。とにかく決☆定☆的に。そりゃ、あたし的にってことだけど。あの頃のボットウ感をもう一度味わいたくて、今評判の少女漫画を大人買いすることも。最近は同時進行で映画になったりアニメになったりするので、そちらの方も目が離せない。しかしながらぶっちゃけ40代にもなると、頭真っ白になるほど(いや、髪の毛ではなく思考がね)夢中になるということはないです。脳内物質の量とか質とかが違っているから?かしら。とにかくマンガというのは、もう一つの体、空想ボディの五感を総動員して味わうような、こう言っちゃなんですが、大変リアル。
現刊行18巻大人買いするのはちょっと勇気がいったけれども、映画を観ただけでははっきりしないことがあったから、二晩かかって一気読みしてみました。面白かった。けっこう夢中になって読みました。けれどあたしは何かを確かめるどころか、益々もって「NANA」ワールドを彷徨うことになってしまった。主人公は二人。しかもDNAの二重螺旋みたいに切り離せない存在で、互い違いに表に出ては裏に回り物語を紡いでいく。しかも二人の恋愛は一つではなく、それぞれ細くなったり太くなったりしつつも、一つも終ることなく続いていく。別れながら互いに好き合い求め合う。すごい貪欲な主人公たち。フー姐さんは軽く眩暈を覚える。
はじめ映画を観たときあたしは、二人の主人公ナナとハチのレズビアン物語なのかと思った。実際この映画がロードショウされていた2005年頃は、女子高生がラブラブと手をつなぎ合うのが流行っていたとかいう話も聞いていたし。物語の軸には常に二人の互いを求める気持ちがある。けれどそれだけじゃなく、ナナもハチも男との恋愛に翻弄されていく。男との恋愛に傷つきながら、人生選択の重要局面に立ち向かいながら、心の支えは常にナナでありハチである。二人はセックスはしないけれど、キスしたり抱き合ったり同衾したりする。ナナはハチの妊娠を知り、嫉妬に狂って泣いたりもする。ハチはナナとの同居生活を捨て男の元へと立ち去る時に「わたしのヒーローはあなた」などと書いたラブレターを残していく。男たちはまるで二人の同性愛を形作るために周りを取り囲んでいるかのようだ。なのにどうして、何のセンセーションも巻き起こさず世間に受け入れられているのだ?わたしの確かめたかったことは、原作では同性愛をどう考えているのかってことだった。
しかし矢沢あいの頭の中はあたしの頭の中よりも数段複雑なのであった。同性愛か異性愛かという選択では毛頭なかった。「夢が叶うことと幸せになることはどうして違うんだろう」などと言いつつ、次々に欲望し、望むものを手にしていく主人公たち。現代女性のテーマ、仕事(自己実現)と家庭(愛)の両立は、ここでも大きなテーマになっている。この物語で二人の女子に芽生えたものは、どうやらレズビアン・ソーシャリズムと呼ぶべきものみたいだった。分かち合う女、励まし合う女、信じ合う女、認め合う女、そして愛し合う女。「女性の社会進出」というとき、その社会とは男社会、ホモ・ソーシャルのことであったわけだけれど、女にもそんな居心地のいい連帯があっていいじゃない。
「NANA」の隠された本当の価値とあたしは言う。それは、レズビアン・ソーシャリズムは家父長制家族を下支えしないということ。この物語の主人公たちの多くの子供時代は波乱万丈だ。親アル中だったり、親非情だったり、養子だったり、施設で育っていたり、天涯孤独だったり。子供時代を過ごした家族は「旧家族」、つまり壊れかけた古い家族の形態として描かれているのではないかと思う。そして物語は二つのバンドの歴史でもあって、互いのメンバーの交流がバンドに精気をもたらしている。つまりバンド仲間は「新家族」というべきものとして描かれていると思う。
回想の形で語られてきたこの物語はそろそろ終わりの時へと近づき、17巻、18巻とだんだん現在形で語られることが多くなる。数人のバンドメンバーがハチの子供を囲んで談笑している。特に本当の父親が大切な存在という扱いはない。どこにいるのかもわからない。失踪していたナナに焦点があてられ、夢を追い求めたナナの栄光と挫折そして復活の予感。ナナを挫折させたもの、それはおそらく実の母親の出現で、それはだから旧家族が新家族にパラダイムシフトする瞬間の軋轢ではないのか、と予想させる。
今、少女漫画にアドレナリン出まくりの女子たちが、自身で新しい家族を築こうとする頃、「家族」という形態がどうかわっていくのかと、フー姐さんは楽しみにしている。
今回はマンガランランになってしまいましたー。ごめんなさーい!
強いて映画を語るなら、あたしは中島美嘉が好き。。。。。
そんだけかい!
では、また、次回、請う御期待!
「NANA」 2005年
「NANA2」 2006年
原作 矢沢あい
監督 大谷健太郎