お久しぶりですー!今回は「映画座談会」第2段アップ!に寄せまして、オススメ「余命宣告ファンタジー映画」ってことでいくつかご紹介しようと思います。「余命宣告ファンタジー映画」ってなんだ!?とお思いでしょうか。余命宣告ということ自体がすでにして、フィクションの世界ではファンタジーとして扱われているのではないか?はたまたそのことが翻って、現実の社会や医療現場でさえ気づかぬうちに、わたし達をとりこにしていないか?という思いつきから、敢えてファンタジーと呼んでみたということなのでございます。またそのような視線で映画を観てみますと、まさに!本気で、驚きの、あるいはすてきな想像力豊かな、さまざまなファンタジーが語られていることに気づかされもするのです。はい、では、どうぞ!
「死ぬまでにしたい10のこと」★★★★
原題 My Life Without Me
2002年 スペイン=カナダ合作
監督・脚本 イザベル・へコット
原作 ナンシー・キンケイド
トークの中でも話題になりました。数少ない(日本ではおそらく皆無)の、女性による女性の生き死に語りの映画です。余命わずかの診断を受けた23歳の主人公アンは、短すぎる自分の全人生を受け入れるのに、少しだけ夜の雨に打たれます。このシーンは忘れ難く好きなシーン。何か常ならざるもの、語りえないもの、乱れた心と停止した行動を表すのに、雨に打たれることほどぴったりな表現があるでしょうか。雨に紛れて、彼女が泣いてるかどうかは判らない、そこがまたいい。彼女はその後、たくさん持っていたはずの可能性の海の中から、たった今、両手で掬い取れるだけのことを10項目書き出します。それを見極める彼女の視線はとても静か。特別なドラマなんて何一つない、どちらかと言うとついてない小さな人生だけど、彼女は、自分の居たこと、居なくなったことを、自分の思いで創り上げていこうとする。「死ぬこと」への余計なデフォルメがなく、だからこそ切なく心に残る「余命宣告ファンタジー」。
「天国の口、終わりの楽園」★★★★★
原題 Y Tu Mama Tambien
2001年 メキシコ
監督・脚本 アルフォンソ・キュアロ
ティーンエイジャー男子二人組みと魅力的な家出妻とのロードムービー。仲良し男子二人組だけど、ハイスクール卒業後の人生は大きく違ってしまう。格差社会のしがらみです。そんな現実からの逃避行、伝説の海岸「天国の口」を探しに行く旅は、陽気で気ままで、おまけに人妻はセクシーで自由奔放。ある美しい海岸にたどり着いたとき、彼女はそこに残り、この矛盾に満ちた実社会に二度と戻ってはこない。二人は卒業し道を分ち、やがて彼女の死を知り、隠されていた本当の旅の重さ、人生の重さを知ることになる。海を前にした彼女の清々しい後姿が印象的。都会のうだるような暑さ、廃屋の草だらけのプール、真昼の海岸の強い日差し、そんな生々しいメキシコの人と自然の描写が、この映画のシーン一つ一つを得難いものにしています。
「生きる」★★★
1952年 日本
監督 黒澤明
たぶん、元祖「余命宣告映画」。志村喬の名演が全編を制しております。哀しくも滑稽で、孤独で、惨めで、切なくて。切羽詰った苦しげな表情に、そのジタバタぶりに、観ている方は涙を流しながら声を挙げて笑ってしまう。やはり黒澤は人間が好きだけど、意地悪だったんじゃないか?とすら思える、容赦のない人間性追及。意志を持つことの尊さは、人という生き物が弱いからこそなのだと、身悶えすら覚えます。
もう半世紀以上も前の映画で、ガン事情も随分違い、ガン=死神とすら、何度も発言されるのにはのけぞりますが、やはり人の生き死には赤裸々なものだと納得。テレビ版リメイクを観てしまった方、お口直しにどうぞ。トム・ハンクスによるハリウッド版リメイクも近々だとか。
「コンスタンティン」★★★
2004年 アメリカ
監督 フランシス・ローレンス
キアヌ・リーブス主演のホラー映画。悪魔払いのジョン・コンスタンティン、ヘビースモーキングでついに肺がんに。超能力を持ち、天国と地獄の狭間を制し、魔王ルシファーとさえ渡り合う彼も、病には勝てぬ。彼は、そのプロ根性と、死んで地獄へ落ちることの不都合に突き動かされて、いつにも増して仕事熱心。そこへ現われたるは美しき女警察官。彼女はその超能力ゆえの孤独と後悔に苛まされ・・・つまりコンスタンティンの唯一の理解者、未来のコイビトですな。テンポのいい展開、洒脱なジョーク、見ごたえあるCG、それと、キアヌ好きなんで、★三つ付けました。コンスタンティン命がけで、信心深いわけでもないのに聖書の教えを貫いた末、成し遂げる偉業!それは・・・禁煙。
以上四つ挙げてみましたが、他に「余命宣告ファンタジー映画」として”オススメしなかったもの”もいくつかあります。残念ながら、「象の背中」に及びもつかない、という理由で。まあ、あれです、アカデミー外国映画賞なんかも取ったという、「みなさん、さようなら」ですとか、父と息子の感動作「海辺の家」ですとか、実話を元にした「Life 天国で君にあえたら」ですとか。やはりこのへんのものでは「象の背中」の右に出るものはないでしょう。「象の背中」絶賛!というわけで、トークの方も合わせてお読みいただき、是非とも「余命宣告ファンタジー」なるものの理解を深めていただきたい!