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今月のマモルくん
「捜査」と「調査」
17.06.22 by 牧野雅子



安倍総理の応援団(アベソーリをマモルくん!)のひとり、ジャーナリストの山口敬之氏が準強姦事件で問題となっているのは、詩織さんの会見や阿部悠さんのラブピコラムなどで、皆さんご存じの通り。その山口氏、マスコミ各社や自身のFBに、事件についてのコメントを寄せている。わたしは、それを読んだとき、モヤモヤどころではない、強烈な違和感を覚え、氏のコメントを分析せずにいられなかった。今回のコラムでは、その一部をご紹介したい。題して、「山口氏の釈明文を読んでみた」。


警察・検察の1年以上にわたる調査の結果不起訴となりました。
私は、警察と検察の長期間の調査に誠心誠意応じました。
警察・検察の調査は細密かつ厳しく行われました。
全ての調査は任意で行われました。
私は自分が当局の調査の対象になっている事は全く知らず
当該案件について逮捕状はおろか、被害届が出されている事も内偵調査が行われている事も全く知りませんでした。

(山口氏のFB投稿、6月3日付朝日新聞記事(同様の文は6月9日付毎日新聞にも掲載)、TBSラジオ『荻上チキ・Session-22』6月7日放送分 で紹介された山口氏の回答書き起こし。以下も同じ)


お気づきだろうか? 本来「捜査」と書かれねばならないところが、全て「調査」と書かれているのだ。ここにあげたのは、その一部。取るに足りないこと? いやいや、そうではない。調査と捜査は違うのだ。例えば、わたしのような研究者が行うのは「調査」であって、それが犯罪者や犯罪に関することであっても、「捜査」ではない。何かを明らかにするために調べる行為であっても、捜査機関が行う、犯人を発見し証拠を収集する一連の活動は「捜査」である。
もっとも、山口氏は調査と捜査の語を間違って使ってしまったのかもしれない。メールの送信先を間違えて、週刊誌の編集部に個人的な相談メールを送ってしまったという話もあるくらい、“うっかりさん”なのかもしれないから、調査だと思い込んでいたとか、捜査のつもりで調査と書いちゃったとか、そういう可能性もないとはいえない。そうだとしても、ジャーナリストとしてはどうかと思いますけどね。
ところが、山口氏、自分がされた事は「調査」と書く一方で、「捜査」という語も使っているのだ。


もし記事中にあるように、私が「デートレイプドラッグ」なる薬物を使用したり、盗撮したり、レイプしたのであれば、日本の優秀な捜査機関や司法機関が見落とすはずはありません。 
いただいた質問状の内容は、すでに何度も当局の方にご説明したのと全く同じ事についての、週刊新潮としてのいわば「再捜査」と、私が示談を申し込んだのではないかというようなものでした。それでも、出来るだけ丁寧にお答えしたつもりです。



警察を持ち上げて書く部分では、捜査機関と書き、調査機関とは書いていない。週刊誌からの取材を捜査にたとえて皮肉っている部分では、「再捜査」と「」をつけて強調までしている。「再捜査」というくらいなのだから、自分がされたのは捜査だという認識はあるということだ。なのに、捜査されたとは書かない。自分が捜査の対象になったとは書かない。
“うっかりさん”のケアレスミスなどではなく、きっちりと、「捜査」と「調査」の語を使い分けているのだ。


1年余りにわたる証拠に基づいた精密な調査が行われ、結果として不起訴という結論が出ました。よって私は容疑者でも被疑者でもありません。


被疑者という、一般には耳慣れない言葉を使っておきながら、自分にされたことは捜査ではなく調査という。捜査なんていう言葉は、日常的に使う言葉だろうに。その上、こうも書くのだ。


あらゆる証拠となるものを当局に提供し、全面的に調査に協力した結果、犯罪行為がなかったという結論が最終的に出ているわけです。
一市民として、警察・検察の調査に誠心誠意応じ、結果として不起訴という結論を得ました。
 


どうやら、警察に協力したという立場なのだと言いたいらしい。しかも、事件の当事者としてではなく、「一市民として」警察の「調査」依頼に応じたということらしい。自分がまるで目撃者や情報提供を求められた関係者であるかのような、善良な一市民が自発的に警察に協力したのだとでもいうような書きぶりだ。
奇妙なほど、捜査という語が避けられている。語そのものだけでなく、捜査の対象となったこととして書くことが避けられている。


ところで、事件を扱った警視庁は、「必要な捜査を遂げた」とコメントしている。衆議院本会議で、この事件の捜査のあり方について質問された国家公安委員長も、同様の答弁を行っている。少なくとも、準強姦事件として必要な捜査はされた、というのが公的な見解だ。つまり、山口氏は準強姦事件被疑者として取調べを受けていたのである。


まず、私は法に触れる事は一切していません。ですから、一昨年の6月以降当局の調査に誠心誠意対応しました。
やましい事は一切なかった私は、全面的に応じる旨お伝えして全ての調査がスタートしたのです。



ここでは、法に触れることをしていないのだから調査に協力したのだと、「調査」に応じた理由が述べられている。多くの事件は任意で処理される。そうした事件の被疑者たちは、みな、やましいことがないから捜査に応じたのか? やましさの有無は問題ではない。
本来ならば、警察から呼出しを受け、準強姦事件被疑者として取調べを受けました、と書くべきところだ。やましい事がないのであれば、そう書けばいい。その結果不起訴になりましたと書けばいい。それがなぜ、できないのだろう。


山口氏は、マスコミの質問に対する回答という形で、あるいは、親しい人に対する報告として、自分が見せたい姿をこのように描いた。自分は被疑者として扱われたのではない、捜査の対象となったのではない、警察の調査に応じ、事実の解明に協力した善良な一市民なのだ、と。
もっとも、山口氏が被疑者として取り調べられていなかったという可能性はある。山口氏の言う「調査」しかされていないのであれば、警視庁のコメントも、国家公安委員長の国会答弁も虚偽だということになる。でも、山口氏には書いていたではないか。「日本の優秀な捜査機関や司法機関が見落とすはずはありません」。


不起訴という判断は、捜査があって下されるものだ。いわば、準強姦事件の被疑者であったからこその不起訴だ。しかし、山口氏はその事実をねじ曲げ、不起訴という結論から、それに至る経緯を都合良く書き直そうとする。「調査」に協力する、善良な一市民の物語として書き直そうとする。
事件そのものの真相はさておいても、釈明文からあふれ出る「事件史修正主義」に、さもしさを感じないではいられない。


著者| 具ゆり深井恵打越さく良阿部悠牧野雅子
プロフィール
牧野雅子
牧野雅子(まきの・まさこ)
大阪府立大学客員研究員
『刑事司法とジェンダー』の著者。若い頃に警察官だったという消せない過去もある。
週に1度は粉もんデー、醤油は薄口、うどんをおかずにご飯食べるって普通やん、という食に関していえば絵に描いたような関西人。でも、エスカレーターは左に立ちます。