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いつまでたっても「高齢者」になれない?!
17.01.12 by 深井恵



 2017年が始まりました。今年もよろしくお願いします。メリルストリープのゴールデングローブ賞でのスピーチ、しびれた。いままでも大好きな尊敬する俳優だったが、さらに惚れ込んだ。多様性を認めない権力者を批判し、報道の在り方にも一石を投じた彼女のスピーチ。そして、そのスピーチを伝えた報道関係者。同じことを日本の俳優(女性)がスピーチしたならば、あれほど報道しただろうか。想像しても、残念な結果しか浮かばない。


 権力を批判し、報道の在り方に一石を投じたと言えば、笙野頼子さんの『ひょうすべの国』(河出書房新社)がすごい。近未来の予言の書・・・と、ならないといいなと思えるほど、実際に近い将来起こりそうな恐ろしい世界が描かれている。この本の存在を知ったのは、北原みのりさんの『性と国家』を読んでから。詳細は皆さんに読んでほしいので避けるが、北原さんの本『性と国家』とともに、ぜひ『ひょうすべの国』も一読いただきたい。


 さて政権は、いよいよ共謀罪にまで着手しそうな勢いだし、福島の「汚染土」を再利用しようとする動きも出始めたし、「高齢者扱い」を75歳以上にしようとしているし・・・まさに『ひょうすべの国』を地で行く恐ろしさだ。自ら選んで「生涯現役」を名乗るのならわかるが、人から定義づけられて75歳以上にならないと高齢者とは言わないとされても、体力気力経済力がもつかどうか・・・甚だ不安である。


 昨年の夏、母が夕食の配食サービスとヘルパーによる掃除の支援を受け始め、年末年始はより一層の修羅場が展開。高校卒業後県外に出ている弟は、年末に帰省したものの、母の「何もできなさ加減」に対して私以上に苛立っているようすで、何かにつけ怒鳴り散らす事態に。そもそも、昨夏、配食サービスを受け始めてはどうかと地域包括支援センターの所長から言われたときには、懸念を感じていた。


 料理しなくなったらボケるのが早まるのではないか。食材を買いに行かなくなったらますます歩かなくなり(母は運動が大嫌い)、筋力が衰え、寝たきりの状態を自らが招き寄せることになりはしないか。いまはまだ、おなかがすいて買い物にいく必要性を感じ、近所のスーパーまで買い物にいっているのに、配食をあてにすると、誰とも話さず、お金のやりとりもせずに(配食サービスにかかるお金は、私の口座から引き落とし)、テレビを見る以外は一日中寝たまま過ごすのではないか。そもそも他人に訪問されることを極端に嫌がる母が、配食サービスを受けるだろうか・・・さまざまなことが次々と浮かんだ。


 母に配食サービスを受ける気があるか打診したところ、最初は拒んだのだが、結局サービスを受けることになり、いまでは「毎日違うメニューだし、お肉と魚が交互に来るし、デザートもあるし、おしいわ」と大満足している。栄養のバランスも考えられていて、栄養失調にならずにすむという点では、こちらも助かっているのだが、実は、食べた後の容器の後始末に困っている(・・・困っているのは私だけ?)。


 もともとおおざっぱな性格の母。ゴミの分別も適当にしてゴミ置き場に出していたので、同居しているときは端から見ていて冷や冷やしていた。そのため配食サービスセンターには、「食べた後の容器の回収」を条件に加え、依頼していた。食べた後、そのまま容器を外に出しておけば、次の日に回収してもらえるよう手配していたのだ。これならゴミの分別に母が苦労することなく、おいしく食べた後に容器を外に出して、業者に持って行ってもらえると安心していたのだが、ことはそう簡単にはいかなかった。


 母はお弁当を食べ終わった後、容器をそのまま食べた部屋に置き去りにしていた。あるときは居間に、あるときはベッドの上に、またあるときは客間に。年末に実家に行って片付けていたら、出てくる出てくる・・・プラスチックゴミの山。幸いほとんど完食していたので、生ゴミとの分別はたいしたことはなかったのだが、ゴミはプラスチックだけにとどまらず、紙類や割れた食器や空き缶(お歳暮にいただいたビールをちゃっかり飲んでいた)、スプレー缶、ペットボトル等々、完全に片付けてしまうのを、こちらが諦めざるを得ないほどの状況だった。


 週一回のお掃除サービスも受けていたはずなので安心していたのだが、こちらもあてが外れていた。ヘルパーに掃除して貰う部屋を座敷のひと部屋に限っていて、それ以外の部屋の片付けを、母は拒否していた。母が一番いる時間の長い居間と、最も汚れそうなキッチンには、ヘルパーは入っていなかった。帰省した弟と二人で、黙々と片付けた。そのとき母も一緒に片付けるのならまだいいが、それを母に望むべくもなかった。


 年末年始で45リットルのゴミ袋、実に8袋分のゴミが出た。そのゴミを、元旦の明け方、実家から運び出して自宅に持ち帰った。初日の出を拝みに行く元気はなかった。ゴミの回収は6日からだったため、正月早々、自分の部屋はゴミ袋がゴロゴロした状態に。夜明け前に布団に入り、昼過ぎまで眠り、夕方再び弟の待つ実家へ移動。


 料理をする道具も材料も、使えるものはほとんどないので、自分の部屋から実家へ持ち込むことになる。包丁、まな板、布巾、各種調味料、カセットコンロ、土鍋、餅、ご飯、パン、野菜、肉類、おつまみ、日本酒、ワイン、シャンパン、シャンパングラス、ワイングラス、コルクスクリュー、オーブントースター等々。ちょっとした引っ越しレベルの道具を持って行くことになるので、部屋から車までを数回往復して、実家に着いたらまた数回往復して荷物を運び込む。当然、正月が終わる時には、再び自宅へ持ち帰る。


 大量の荷物運びはうんざりするが、持って行かないと弟をもてなせないし、自分自身も実家で快適に過ごせない。持ち帰らなければ母によってすぐに使えなくされてしまうので、年末年始のプチ引っ越しは恒例になってしまった。幸い私の弟は家事を進んで行うので、こちらとしても一緒にこの年末年始の難局を乗り越えられている。が、果たしてこのような状況はいつまで続くだろうか。


 母と別居して四年目。いまの母の状態は、おそらく「要支援2」のレベル。まだ60代なのに。お金の計算がイマイチできなくなってきているのか、釣り銭のないように小銭をその都度使うことができなくなって、財布の中は小銭で溢れているので、母の財布と自分の財布で、ときどき逆両替(母の財布にある小銭を、自分の財布の中の紙幣に替える)をしているが、買い物はそれなりにできていて、好きなものを買って食べ、好きなものを買って着ている。


 しかしこれが、「高齢者は75歳以上」とされたら、支援・介護のサービスも、75歳にならないと受けられなくなるのではないか。75歳になるまでは、介護保険の対象外で自己負担10割・・・そんな将来が思い描かれる。母とは21歳しか離れていないので、自分が20年後、いまの母のような状態になるのかもしれないと思うと、年を取るのが非常に憂鬱にもなる。いや、20年後は、「高齢者は85歳以上」などと定義されているかもしれない(笑)。そうなったら、「高齢者」になる前に死んでしまう確率も高まりそうだ。大人になれない私は、いつまでたっても高齢者になれそうもない。いまの自分にできること・・・正月太りの体を少々鍛え直して、寝たきり状態を少しでも先送りにできるよう、自己防衛するしかないかな。そして、締め切りを守ってコラムを書き続けることもまた、いまの自分にできる大切なことだ。

著者| 具ゆり深井恵打越さく良阿部悠牧野雅子
プロフィール
深井恵
深井恵(ふかい・めぐみ)
九州某県の高校日本語教員。
日教組の「教え子を再び戦場に送らない」に賛同して組合加入。北原みのりさんとは、10年以上前(ジェンダー・フリー・バッシングがひどかった頃)に組合女性部の学習会講師をお願いして以来の仲。