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性暴力を許さない
17.03.16 by 具ゆり



 映画『ザ・ハンティング・グラウンド』(“The Hunting Ground”2015米)を観ました。監督はカービー・ディック(Kirby Dick)、アメリカの大学キャンパス内で起きているレイプ犯罪の実態を暴く衝撃のドキュメンタリーです。日本では未公開の作品ですが、依存症回復プログラムを実施している団体の講演会で上映されると聞き、参加しました。


The Hunting Ground









 今、アメリカではキャンパスでのレイプ問題が大きな社会問題となっています。
 映画では、大学内でどれほどの性的暴行が横行し、被害者が沈黙を強いられ、意図的に封印されてきたか、そして現在もなお問題が起こり続けていること、被害者を生んでいるFACTが次々に暴かれていきます。
 「アメリカの4年生大学のキャンパス内で4人に1人の女子学生が性犯罪にあった、もしくはあいかけた」といわれています。事件で明らかになるのは「氷山の一角」でしかないのは、日本も変わりません。しかし、レイプ・クライシスセンターが全国で1100カ所以上あるというアメリカですら、いまだにそうか、と改めて驚愕せずにはいられません。


 この映画は、ノースカロライナ大学で実際にレイプ被害にあった女子学生2人の訴えを追いかけたドキュメンタリーです。その合格の知らせを受け取る絶頂の瞬間をとらえた映像から始まります。
 名門大学に合格して、嬉々として、前途洋々、夢を抱き、期待に胸を膨らませて大学デビューした彼女たち。


 「まさか、いったいどうして、なんで私にこんなことが・・・」
 受け入れられないような衝撃的なできごとが自分の身にふりかかったときに、誰もが思うことです。
 自分の身に起きたこととは信じたくない被害の事実を、カメラに向かって彼らは淡々と語ります。時には笑みをうかべながら。取り乱さず、泣き崩れもせず。女子学生だけでなく、男子学生もいます。


 彼女は言います。「何が起きたかをすぐに大学に伝えた。もちろん大学はすぐに助けてくれる、問題に対処してくれると思っていた」から。そう、彼女たちは自分を襲った不当な暴力に対して当然の行動をとっただけです。大学は自分を守ってくれるはず、正しく、相手を罰してくれるはずと信じていたのです。でも、そうはいかなかった・・・。
 大学は被害を無視し、口外することを禁じ、警察に通報することを思いとどまらせ、隠ぺいしようとするのです。え、どうして? 彼女が戸惑うのは当然のことです。


 アメリカの名門大学は経営を多額の寄付に頼っていて、そのため事件が表面化して評判が落ちることを恐れたり、加害者が名門スポーツ部のスター選手だったりすることで、事件そのものをもみ消そうとするというのです。
 彼らが守るのは何? つまり、大学の名声、ブランド、利権、・・・被害者じゃない。そう、加害者を擁護することで、大学(=自分たち)を守ろうとする。


 でも2人は立ち上がります。大学が何もしてくれないからと泣き寝入りしません。たかだか、18、19歳の女子学生が、教育と正義のために立ち上がります。大学は何を隠そうとするのか! なぜ加害者を擁護するのか! 事件の真実を認めないのか、受け入れようとしないのか! 加害者を罰しないのか! ・・・ 
 「私」だけじゃない、そのFACTを調べ始めます。全国の大学を調査し、ネットでつながり、彼や彼女たちと出会い、支え合い、被害者が続々と声を上げて告発に動きます。もちろん彼女たちを支持しデモに参加し訴えを共有する男女学生たちが連帯していきますが、その一方で、脅迫やいやがらせ、権力も立ちはだかります。被害者を攻撃する、貶める、デマを流す・・・最悪です。残念ながら、そんな攻撃や様々な後遺症に苦しみ、自らの命を絶った残酷な事実もあります。


 STAND WITH SURVIVORS! ‘NO’MEANS NO!
 性暴力を許さない!という彼女たちの告発によって、国が実態調査に乗り出し、当時のオバマ大統領が直接のメッセージを出す場面まである。メディアや国を動かすまでのムーブメントが、あの大陸を縦断していく場面には興奮します。そして、彼らはサバイバーとなり、活動家になっていきます。


 調査のデータにも嘆息です。性的暴行で退学や停学を受ける学生がゼロかほんのわずかなのに対して、カンニングその他の不法行為で停学、退学処罰を受ける学生の数字はけた違いに多く厳しい処罰が課せられるというFACT! 歪んだ大学のメカニズム、これにも驚き、あきれ、唸ります。今、まだ道のりは遠いとはいえ、キャンパスレイプ問題は次第に国家の問題として認識されつつあるようです。でも急がねば! でなければ、毎年何も知らずに入学してくる学生の10万人が被害者となると予告しているのですから。


 自身もレイプ被害を告白したレディー・ガガがこの映画のために作曲した曲が感動です。
 第88回アカデミー賞授賞式で、自分と同じようにレイプの被害に遭った50人の男女と共にステージに立ち、歌曲賞にノミネートされていた映画『ザ・ハンティング・グラウンド / The Hunting Ground』の「Til It Happens to You(それがあなたにおこるまでは)」を歌った彼女の映像をぜひ見てください。被害者にしかわからない苦しみを表現しているこの曲を聴いてください。泣けます。


Lady Gaga - Til It Happens To You (Oscars 2016) LEGENDADO


著者| 具ゆり深井恵打越さく良阿部悠牧野雅子
プロフィール
具ゆり
具ゆり(ぐ・ゆり)
フェミニストカウンセラー
フェミニストカウンセリングによる女性の相談支援に携わっている。
カウンセリング、自己尊重・自己主張のグループトレーニングのほか、ハラスメント、デートDVやDV防止教育活動など、女性の人権、子どもの人権に取り組んで20年あまり。
映画やミュージカルが大好き。
マイブームは、ソウルに出かけてK-ミュージカルや舞台を観ること。