乙女の秘密

「十人十色」と言う言葉が苦手です。
なんて言ったら誤解を受けそうですが、実際にその言葉を会話や文章中に何も考えずに使う人が苦手と言った方がいいかもしれない。一見するといかにも人類「平等」的な言葉だけど、その用途方法が「あなた」と「ワタシ」は「価値観」が違うからの一言で「思考」がストップしてしまうことへの苛立ちから来ているのかもしれない。

密封された『箱型思考』とでも言うのだろうか、「A」の箱は必ず「A」、「B」の箱は必ず「B」、そしてその「中身」は常に「同一」でなければならないとする思考のツールでものを言う人に、ワタシは年齢性別を問わずに結構遭遇する確立が高い。そこで冒頭で意見が食い違うと、大抵この言葉を持ち出されるものだから、卑怯な…と思わざるを得なくなってしまった。そこまで言うならじゃあ、その「価値観」って何? 「違い」ってどこ? ってつい意地悪く聞いてみたくなってしまう。

「あなたがどう考えるか」ではなく「相手がどう思うか」を「尊重」しなさい。と言ったのは、人権擁護を推進する人間じゃなく、実は最近流行の市場ゲームの教えだったりする。

ちょっとした個人暴露をすれば、私は一昨年辺りまでFX関連で金融市場の「教え」に食い付いていこうと頑張っておりました、危うく『欲しがりません、勝つまでは』的な悲壮な決意までいきそうになってようやく降りたのですが、や、本当に顔から火が出そうなぐらい恥ずかしい体験話です。
私の場合、下手に途中まで勝っていたから、手遅れぎりぎりになるまで踏ん張ろうとしてしまったんですよね。恐ろしい……。折角ですから、その時に手に入れたロジックが面白かったので、紹介しておきます。

『アナタがどう思うかなんて関係無い。』
市場のゲームが繰り出すロジック。

最近のニュースで航空幕僚長が、航空自衛隊のイラクでの空輸活動を巡って活動の一部が憲法第九条第一項に違反するという判断を含んだ事について、名古屋高等裁判所の判決に対して
「純真な隊員には心を傷つけられた人もいるかもしれないが、私が心境を代弁すれば『大多数』はそんなの関係ねえという状況だ」

と言う発言を記者会見でしたと言うのを聞いて、思わず笑ってしまった。まさかこの幕僚長が市場ゲームに参加していたかどうかは判らないけど、これぞまさしく数年間、私が耳にタコになるくらい聞いてきた勝つ為の(実際には勝てる人数が少ないから『負けを減らす』為のと言い換えられます)方法だった。

『市場』と言うのは何かから始まるレクチャーでは『市場とは人である』と言う前提の下、『多数』の思惑が渦巻く世界で生き残る為の知恵として『自分がどう動いて欲しい』と思うかではなく『多数』がどう動かすかを予想することが重要だと言う理屈が語られる。
これは一見するともっともらしく聞こえなくもないけど、良く考えたらおかしな話でもある。大体、『自分が考えず』に『多数の意見』を考えろなんて意味が判らない。もし、その通りにやっているのだとしたら一体誰が此処で『考えて』いるのだろう?

最近では機械が受注なんて言っている。大金持ちがどんなスーパーコンピューターを所持しているかは知らないけど、個人で言う機械の受注は数値の設定を人がセットしている。こう動くに違いないと期待しながらそうする訳だけど、ここでもやっぱり『多数』の思惑に自分が入れることを期待する。一見『時流』を読んだスーパーIQとばかりに持ち上げられて(上手く行くと)合理的の名の下に美化されている市場の世界が此処まで『不合理』と共謀していることに呆れてしまう。

「私が心境を代弁すれば『大多数』はそんなの関係ねえという状況だ」
等とどの口が言えるのか。
『大多数』の秘め事なんて判らないよ、つかその前に、誰かはちゃんと自分で「考えて」いたのですか?
ああ、しかしこれってなんか意外と古めかしい「乙女」ちっくな世界だよな。「貴方とは分かり合いたいの」の私の中身は空だけど、貴方色に染めて欲しいの(ハート)。ハードな男らしい男の市場の世界とは、実は自分が中身(思考)の無い空っぽな『乙女思考』の世界の事だったのか。

市場主義の台頭と中身の無い美少女キャラの相関性が此処でも良く出ている。そういえば今年の仮面ライダー・シリーズのコンセプトは「オトメン」でしたっけ……連続ものは最初を見ていないと中々乗る気になれないけど、せめて最初ぐらいは確認してみようかな。しかし「オトメン」って……去年までこんなカテゴリーは無かったような気がするけど……何の仕掛け?(市場的発想)

因みに現在、流通しているオタク業界の「乙女」ものは女子向けと銘打っていますが、乙女…乙女…乙女……聞くだけで耳の後ろがくすぐったくなる様な言葉だけど、何かをイメージしようと思ったら、意外と近代の乙女ってどんなんだ?と首を傾げたくなった。言葉として流通している割には実像に向けたイメージ性がつかみ難い。亜麻色の髪の……はカバー曲だし、我がオタクの領域の乙女ゲームの主人公と来たら、「星の王女」シリーズのように、一部を除いて主流派向けは余り個性がなくのっぺらぼう的な主人公が好まれる傾向にあるので、ひじょーにイメージし難い。辞書で引いても「年の若い女。また、未婚の女性。むすめ。しょうじょ。処女。」ぐらいだよなー。……さー困った。そもそもBLよりも女子向けで主流になって来てるのは明らかにこちらだから無視して通る訳にはいけない。(市場的呪い)

そう言えば、腐女子と言う言葉も最初はBL好きの女子から発生した呼称ではあるけど、最近は乙女ものが好きな女子や、果ては実写のジャニーズオタクまでもが「腐女子」自認をしてしまっているので腐女子市場は大混線…してたら良いな。とりあえず、暫定的に、「ヘテロ女子」(百合スキー派を含む)をターゲットとした、身体性(sex)が女子の主人公が近代的な自立要求と反近代的なジェンダー規範、或いは市場の読み込み過剰な「スーパー市場乙女」とでも銘打っておきたい。

一部のギャルゲー化している乙女ゲーも増えてきているけど、大体の主人公は現代的な自立モデルを目指していて、其処はフェミ的な優等生キャラなんだけど、何故か「ハッピーエンド」を迎えた途端に、それまでの攻略キャラのタイプも無視して、皆一様に「市場の乙女」化になってしまうのは何故………。

私、Hの時はまっさら「赤子」なのー(ハート)と言わんばかりにHは彼任せの主体性の無いカオナシ主人公、乙女だから処女っぽい(オボコもNG)演出にこだわっているのでしょうか…其処が知りたい……乙女の秘密。
因みに此処で言う「ハッピーエンド」とは、意中のキャラと「結ばれた」(※朝チュン含む)状態の事を指します。主人公が女王になったとか、良い教師になった等の「社会的地位」は「乙女」的な世界では未だに二義的な扱いです。其処が男シェアーの美少女ものとは未だに線引きされる点かな。地位も名誉も色も金も全部オレ様のモノーでは「乙女向き」とはまだ行かないようです。手には入れ(られ)ても控え目をアピールなところが「乙女」ですかー?

惜しい…惜しいよ「乙女」キャラ、勝っても負けても何故だか「下っ端」。ある意味、其処にしつこく止まろうとする、その根性はこの流れの中ではすごいけどさ。だから、個人として負けてるのか……うーん不毛な読み込み、これも市場。

大多数の『乙女思考』これが読めればどんな心情もあなたの思いのまま!フェミが言うように『私の思う事』を相手に主張するのはもう古い。『アナタがどう思うかなんて関係無い。』から。そういえば最近流行った、どこかの有名アニメにも似たようなセリフがあったね………さて、次は…………。

※※全年齢向け、或いは15禁程度で、セックスシーンを触りの部分だけでぼかして描写すること。ベッドに2人で入って朝を迎えた程度の描写で露骨なシーンをスルーする仕組み。


INDEX
[2008/06/06]
腐女子は変身ヒーロー(2)
[2008/05/30]
BL妄想カルチャー
[2008/05/23]
ロストジェネレーション
[2008/05/16]
エレメンタラー
[2008/05/09]
「毒めぐ事件」とリセット装置
[2008/05/03]
オタ友
[2008/04/25]
乙女の秘密
[2008/04/17]
みんなのワレワレ星人
[2008/04/11]
歌は世に連れオタクは世にツンデレ
[2008/04/04]
カオナシたちの聖戦
これより前のコラムを見る
▼コラム一覧へ戻る  ▲topへ