2月25日発売!

「ぽっかり穴のあいた胸で考えた」―わたしの乳がん体験記―
高橋フミコ著(バジリコ出版)

早いもので、がん患者としてのサバイバル期間も、この「半社会的おっぱい」の連載も、間もなく満三年(まだ三ヶ月先ですが)になろうとしています。それはめでたい!そしてさらに、この度めでたく、一冊の本としてまとまり、こんな書名で、書店に並ぶことになりました!高橋フミコってフーサンのことです。よろしく。

コラム欄の表題では、「フェミ的乳ガン患者のガンエッセー」となっているけれど、実際には、これはいったいがんと何の関係が?と思われるような内容も多かったのではないでしょうか。書き手の頭が散漫であったためで、あっちもこっちも食い散らかす生来の気質が、こんなところにもしっかり出てしまうのでした。それに幸いがんについて考えるより、フェミについて考える時間の方が多かったし(果たして本当に幸いなのか、よくわかりませんが)。「ぽっかり穴」の方は、書き下ろした章もあり、がん患者ストーリーとしてもちゃんと読み応えのあるものにまとまっていて、ウエブで読むのとはまた違った味わいがあるはず。しかも本のデザインがとってもキュート!ヒントは ○○ 。書店で見かけたら一目でそれとわかります!そして色合いも、偶然わたしのとても好きな組み合わせ。この配色を見ると、幼稚園の頃のお弁当を思い出します。黄金色の卵焼きとピンク色の魚肉ソーセージ。なつかしい!おいしそう!というわけで、皆様どうぞ手にとってご覧下さい。そして本を読んだ感想など、ぜひまたお聞かせ下さい!(つまり、買ってね!)

それから、婆星ラジオ・ファンの皆様、ごめんなさい。北原さんのセクシーな声を楽しみにしていらっしゃる方も多いだろうに、今週のオナニー婦人コーナーで、なんだか要領を得ないトークで、フウとかハアとかアハハとかモゴモゴしゃべっているのは、わたしです。恥ずかしいなあ、早く来週にならないかなあと念じております。「ぽっかり穴」を紹介して頂きました。北原さんありがとう。

自分の書いたものが一冊の本になるというのは、どんな気がするのだろう、とても嬉しいだろうなと憧れていたけれど、実際は、なんだか焦る気持ちがするということがわかった。本というのは商品だから、わたしが仕入れたものではないけれど、売れなかったらどうしようなどと考えて、どきどきしてしまう。腐るものではないけれど、早く売りさばかないといけないような、日が暮れるまでには背負子をカラにしなければというような、露天商のような気持ちがする。わたしの祖母も父もいとこもみんな自営業、遺伝的商売人気質の血が騒ぐのだろうか、なんだか腰が落ち着かない。出版した部数全部ライトバンにでも積み込んで、自分であちこち売り歩くことができたら、どんなに気が楽だろう。わたしの知らないところで、知らない人が買っていくとは、なんだかちょっと寂しい気がする。本はわたしのものではなくて、物流していく商品なのだ、大量生産品なのだということが、体感として納得できないらしい。それは美術の作品とは違うわけで、一つ一つに別に意味はないのだと思い切るには、少し時間が必要かもしれない。なんだか慣れないなあ。

著作権の使用料をどうして印税というのだろうか。編集者にきいてみた。「昔は一冊一冊、印紙を貼って、作者が検印を押していたので、その名残でしょう。」とのことだった。版画と同じ扱いだ。この頃なら、一つ一つに意味があったといってもいいのかもしれない。そう言えば、高価な古本に印紙が貼ってあるのを見たことはある。やがて発行部数が飛躍的に増えて、その手間が省かれるようになり、「検印省略」と印刷したり、出版社の社印を印刷したりした。最近はもう、滅多にそんなものにお目にかかることははい。ただ言葉だけが残っている。物は省略したらそれきりだが、それを指し示すもともとの物がもう存在しなくなっても、毎日発せられている限り、言葉は人々の意識から消えていくことはない。

ところで、「印」自体がすでに複製の意味を孕んでいるではないか。何部くらいに達したときに、「印」が「印刷」になったのだろう。はじめにもう検印を押すのはいやだと言ったのは誰だったのだろうか。まあ、誰でもいいけど。今や、印刷よりももっとすごい、ウエブという、超複製の時代になっている。それでもまだ、本自体が省略されることはない。それどころか、今回の出版のように、まず超複製から印刷複製へと逆流していき、数の少ない媒体になればなれほど、物としての価値が高まるようなことにもなっている。本はまたその歴史を逆に辿るのか。検印を押すから、印税を高くしてくれというのは、理屈として間違っているだろうか、正しいのだろうか。

さて、もしもたくさん売れ残ったら、捨てる前に全部もらおう(くれるのかな?)。そして個展を開くのだ。ギャラリーの中央にきっちり四角に積み上げて、インスタレーションにしよう。それともギャラリーの壁面、床、天井と全部にぐるりと敷き詰めようか。タイトルは「無数の小さなタカハシフミコ」。結構いい作品じゃない?まあ、まだ発売前であることだし、はじめから売れ残ったときのことを考えるのはやめておこう。


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[2006/05/05]
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[2006/04/14]
お腹の中に何か暖かいものが
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「最期まで希望」
[2006/03/30]
同情と共感
[2006/03/17]
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[2006/03/10]
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[2006/02/20]
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