フェミの品格

 さて、ここで問題です。『女性の品格』の類書と言えばなんでしょう。
1.『国家の品格』(藤原正彦 新潮社)
2.『お仕事のマナーとコツ』(監:西出博子、絵:伊藤美樹 学研)

 っちゅうわけで、今さらながら『女性の品格』の話なわけです。かなり読み進むまで、坂東真砂子の本だと思っていたことはないしょなわけです。
 んで、正解は2番なわけさ〜。結局は、「働く女性のためのビジネスマナー本」なわけです。それ以上でも以下でもない。批判する気まんまんで手に取った私としては、かなり拍子抜けなわけです。

 まあ、帯のキャッチを見ると「強く、優しく、美しい女性になるための66の法則」とか書いてあってげんなりしちゃうわけですけど、裏返すと、

「上品な女性は――
● 礼状が書ける
●約束をきちんと守る
●型どおりの挨拶ができる
●長い人間関係を大切にする
●流行に飛びつかない
●姿勢を正しく保つ
●贅肉をつけない
●花の名前を知っている
●思い出の品を大事にする
●無料のものをもらわない
●得意料理をもつ
●人に擦り寄らない
●プライバシーを詮索しない
●よいことは隠れてする
●愛されるより愛する女性になる
●恋はすぐに打ち明けない
●品格ある男性を育てる」
とある。
まあ、どうでもいい項目も多いと思うけど、そんなに嫌な感じはしなくないですか? 女性誌が「愛され系」(……って「モテ」志向以下ですよね)全盛の中、「愛されるより愛する女性」なんていいじゃないですか。

 ま、あたしはこれらの項目をほとんど満たしてないわけですが、それは「できない」だけであって、「したくない」わけじゃないような気がします。女が男と肩を並べてやっていくには、男並みどころか男以上に努力しなくちゃいけなくて、しかも男に妬まれて足を引っ張られないために「男を立て」なきゃいけなかった、そんな思いをしてきた女たちは確かに存在して、私はやはり彼女たちに敬意を払いたい。同じことはできないしやらないだろうと思うのだけれど。「『女』を押しつけるな!」みたいな反発はあまり感じない。


 だからこの本は、オヤジの「最近の若い女はだめだ。もっと女性ならではの品格を身に付けてほしいよ」なんて説教垂れたいという欲望をまんまと裏切り、「社会でうまくやってくためにはこういうことを身に付けたほうが得」「バカな男と同レベルに落ちないためにも、こういう志を持ちましょう」と言ってるのだと思うのです。「女性であるならば、このように振る舞うべきです」というのとは、ちょっと違うと思うんです。


 だってね。たとえば「内助の功」っていう項があるんですよ。聞いただけで「うへ〜っ」と思うでしょ。でも、
「会社のお金にたかる男性も品格がありませんが、それを自分のもののように思う女性はもっと品格がありません」
「夫の地位や力を自分のものと誤解して、でしゃばったり、会社の人事ややり方に口を挟んだりするのは間違いです。夫婦はよきパートナーとして支えあうのはプライベートな場面にとどめ、仕事の場では夫は夫、自分は自分とけじめをつける気持ちを忘れないのが品格ある女性です。ましてや夫やパートナーが不遇になったら、自分も不遇な被害者のように思うような一心同体ぶりも行きすぎです。常に自分は自分、夫は夫です。」

 「内助の功」って、「自分は自分、夫は夫」っていうことだったかしら? と思いません?

 フェミ友と話していたら、「あの本読んでないけど、『女は花の名前を知ってなきゃいけない』とか書いてあるんでしょ〜。花の名前なんて知らないよ」って言われたことがありました。いやまあ、そうなんだけどさ。
 何度も言うけど、私は、この本に書いてあることなんて実践できない。花の名前なんて知らないし。でも、こうやって、ときに歯を食いしばりながら努力して努力してやってきた女たちがいたおかげで、私は当たり前のように大学で学んだり当たり前のように働いたりしているのだと思うのです。だから、この本を貶めるのは、フェミの品格を欠く行為なんじゃないかと思うわけなのです。そもそも「品格」っていう単語自体には罪はないんじゃないかなと思うしね。

 北原さん、今度『フェミの品格』っていう本、書いてくださいよ。

『女性の品格 ―装いから生き方まで―』(PHP新書)720円+税


INDEX
[2008/09/01]
オトコには読めない漫画
[2008/08/01]
「男の性欲」って奴はそんなに偉いんか?
[2008/07/03]
女子の国の内戦は終わらないという洗脳
[2008/05/01]
「三十路」だから「ミソジニー」なんですか?
[2008/04/07]
「男の幻想」にはつきあいきれません
[2008/02/29]
「『過激な性教育』妄想の暴走」
[2008/01/11]
長田真紀子から深井恵美さんへ
[2007/11/10]
「働きマン」
[2007/10/12]
ジュブナイルにフェミの萌芽を見る
[2007/08/27]
フェミの品格
これより前のコラムを見る
▼コラム一覧へ戻る  ▲topへ