コンビニの弁当は不幸なのか?

 ある日の新聞の読者投稿欄に、男性からの子育てに関する意見が掲載されていました。その男性は小さな子どもがいるんですが、今までは共働きできたけれど、最近は妻が仕事をやめ、子育てに専念していると。で、この男性の意見の趣旨は、子育ても大事な仕事だというようなことだったでしょうか。

 すでにその日の新聞がリサイクル業者の手に渡ってしまったため、確かめることができないのですが、私が気になったのは、この男性が「子どもと(多分、妻が)接する時間が増えてよかった」と思っていることではなく、これは確かなのですが、「(作る時間がなくて買ったのであろう)コンビニ弁当を食べることがなくなった」と書いている点です。

 学生時代からさんざん世話になったコンビニ弁当。コンビニの夜勤あけの友人(まぁ、ほぼ男性だったけど…)が、朝、廃棄処分の弁当を持ち帰ってきて、こっそり私に分けてくれたっけ……(今そんなことすると確実にクビになるだろうな。まねしないでね……)。

 しかし、コンビニの弁当はそんなに不幸なのでしょうか? 私の大嫌いなキーワード「食育」にしても、この共働きの食事問題においても、コンビニ弁当、もしくは、持ち帰りできる弁当や惣菜がどうしても"よくないもの"の代名詞となっています。

 これらはよく、店屋物と言われるものたちでありましょう。確かに食品添加物は入っているだろうし、多くのメニューが油を使った料理なので、栄養学的な面から見ればよくないのかもしれません。

 それでは仮にコンビニ弁当や店屋物の類が世の中からなくなったら、食卓に平和が戻るのでしょうか? 考えてみました。そしたら、泣く人がたくさんいることに気がつきました。そう、それは弁当や惣菜を作っている人たち、そして、売っている人たちです。

 ここ数年、私の自宅の周囲には、引っ越してきた当時とは比べ物にならないくらい、スーパーをはじめとする大型店舗が進出してきました。最初は徒歩でいける範囲にスーパーが一軒もなかったのですが、今では食品も日用品も、贅沢品も全てそろうくらいにお店ができました。また、中には大型ショッピングセンターもあり、弁当や惣菜コーナーが充実していました。よって、この地域に限っても、持ち帰り可能な食品の製造・販売でお金を稼いでいる人が結構いるわけです。そしてこの仕事をしている人たちの多くが、パートタイマーです。そしてこの地域の求人とは、もちろん、これらの店舗のパートタイマーがメインといえるでしょう。

 子どもを持つ女性が午前からお昼過ぎまで働くという場面に多く遭遇します。知人の経営するコンビニで朝から昼まで働いているのは義務教育の年齢の子どもを持つ女性でした。また、弁当屋の裏口あたりに自転車が止めてあって、そこに「○×小学校 防犯パトロール中!」なんてプラスチックのプレートがかごにくくりつけてあるのを見ると、やはりと感じてしまいます。そうやってどれだけの方が、その多くは女性が、持ち帰り可能な食品の製造・販売の分野で働いていることでしょう。逆に言えば、この分野があるからこそ多くの雇用がうまれるのかもしれません。(待遇などは別にして。)

 だから私は「コンビニ弁当を食ることがなくなった」というのが"幸福なこと"という考えには賛成できないのです。自分がその分野で働いていれば、そのような意見になるでしょうか? また、女性が自宅で食事を作ることが"幸福なこと"なのでしょうか?

 一方、持ち帰り可能な食品を買わずにいたら、全て手作りの食事ができるのかといったら、世の中そんなに甘くはありません。実際、ラーメンで有名な地域のスープはその半数以上のお店が大手食品メーカーのスープを使用しているという噂です。また、旅館の食事でさえ、業務用の冷凍食品を使用しているという、これは本当の話です。自宅で料理するにも、だしや調味料の類は保存料や食品添加物が含まれていると思われるものを多く使っています。食品添加物や保存料から、とうてい人は開放されることはないでしょう。

 やはりここまでくるとコンビニ弁当は不幸ではありません。持ち帰り可能な惣菜も不幸ではありません。お金があれば、買う余裕があれば買いましょう!

 そこで私は考えました。いったいコンビニ弁当や持ち帰り可能な惣菜たちが無条件に受け入れられることってあるの? と。そうしたら、一つだけ見つかったのです。

 その答えは、妊娠・出産のマニュアル本にありました。ここには、出産後は普段通りの料理をすることは無理なので、コンビニの弁当、スーパーの惣菜、レトルト食品などをうまく利用して産褥期(特に退院直後)を乗り切りましょうと書いてあるのです。ちょっとびっくり。だけど、妊娠中に関してはあまりそういうものを食べないでねと書いてありますよ、念のため。

 ということで、こんな些細な一言にイラっとしてしまったわけですが、それもそのはず、先月やはり出産しまして、子どもがぐずっていて作れなかったとか、体がきついとか言っては、お弁当や惣菜、夜遅ければコンビニの弁当を、パートナーにメールで頼む日々を送っているからです。


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年齢を重ねるということ
[2008/09/26]
内緒の理由
[2008/09/18]
ため息
[2008/05/01]
関わり方
[2008/04/17]
めざせよき母
[2008/03/27]
サービスと再就職
[2008/03/06]
とあるニュースが差別に思えて……
[2008/01/25]
女の腹
[2008/01/05]
坂戸恵美から江川綾子さんへ
[2007/12/20]
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