近頃、大規模ショッピングセンターがいくつも開店しています。たいていは駅に降り立ってもそうそうたどり着かないような郊外にあるのですが、『女子と鉄道』(酒井順子著)によれば、昨年開通したつくばエクスプレスのおおたかの森駅(千葉県流山市)に大型ショッピングセンターが開店するとの記述がありました。しかも、「…、高所得者層の人口流入を狙っている流山。…」とあったので、どれほどの豪華なものができるのかと思い、ある週末、出かけてみました。
おおたかの森駅に到着してみると、駅前にどどーんとそびえたつショッピングセンタービルがありました。オープンから間もないので、かなり混雑していました。まず、デパ地下の食品売り場をそのまま持ってきたような高島屋(食品のみの取り扱い)やイトーヨーカドーの食品売り場がありました。そして、ワンコイン(500円)でなんとか買えるような値段帯のファストフード店がいくつかありました。それから、その他のお店。ファミリーでは楽しめないお店ばかり……。どちらかというと、女性のためのお店ばかりといった感じです。おじさま、おばさまの楽しめるお店は本当に少ないようです。また、洋服などのお値段もちょっと高いような気がします。やはり、高所得者向けのショッピングセンターなのでしょうか? しかし、近隣のショッピングセンターとは違った目新しさもありました。まずはロフト!プチ渋谷といわれる流山のお隣、柏市にはないのですが、渋谷といったらロフト。流山に出店したとは感激です。結局、新宿に行けば必ず立ち寄っていた紀伊国屋書店がありましたので、滞在時間の大半をそこですごしてしまいました。
ところで、ショッピングセンターは数あれど、お客の対象はそれぞれ違いがあるのだなと気が付きました。代表的なショッピングセンターといえばジャスコですが(私見です)、そこにはユニクロをはじめとしてファミリー向けのお手ごろなお店がありますし、当然のことながらジャスコ自体も全ての年代向けの商品を扱っています。フードコートも105円あればかけうどんが食べられます。それに慣れているからか、このショッピングセンターは少し敷居が高いように感じられました。
このショッピングセンターの開店から、周囲はとても活気付いている、もしくはこれからもっと活気付いてくると思いがちですが、必ずしもそうでないことが最近分かりました。それは周辺に住む知人が教えてくれました。
おおたかの森駅前には、ある小学校があるそうです。そこはつくばエクスプレス沿線整備事業の一つとして区画整理が行われる予定で、その範囲に入る小学校を移転させる方針のようです。小学校は「民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律(PFI法)」(平成11年)により、建設から維持管理、運営まで民間企業がするようです。ただし、教育部分は今と変わらず、公務員の教職員が行うのだそうです。また、小学校の敷地内には、福祉センターや学童保育なども移転が計画されています。
公共施設の運営を民間委託することはどれだけあるのかとインターネットで調べてみたら、小学校などの学校もいくつかPFI事業によって改築や維持管理する例(ただし計画中)があることを知りました。税金の無駄遣いや、公務員の給料が減らされると聞けば一般の私たちは喜ぶようなご時世ですが、よく考えてみたら、自治体が公教育にお金を使わないとなるのは少し心配です。まず、雇用の問題があります。それまで正規の職員だった人が、ある時点で非正規になり、雇用期間が細切れになっていきます。実際に、用務員として正規に働いていた方が、非正規になり、学校が長期休みのなれば無職となるので、その期間はアルバイトをせざるをえないという例があります。これは一部の学校給食でもそうです。結局は教育現場を支える人たちが冷遇されるという危険が高まっていきます。そして、質の問題(質の低下)。これは保育園の民間委託などでも問題になっていますが、この問題もまた、雇用の問題(ベテラン先生がいなくなって、若い人だけを安く使っているとか……)に関係してくるようで……。また、この計画で問題になっているのは、移転先が墓地であることらしいのですが。行く末を見守りたいです……。
では、話を戻してショッピングセンターにおいて雇用の問題はあるのかと考えました。ショッピングセンターが大規模であればあるほど、そこに雇用がうまれます。しかも大人数!でも中身の実際はパートが大半を占め、どのショッピングセンターでも時給はそう変わることはありません。子どもを持つ親なら、昼間の時間帯を狙いたいところですが、ショッピングセンターの平日の昼間なんてお客も少ないのだからなかなか難しい様子です。ショッピングセンターは、夜遅くまであいているところも多いですから、そこに雇用主との間に意識のミスマッチが起きることは必至でしょう。
ショッピングセンターの出現により、雇用があるわりに、従業員が生活に支障をきたす勤務体系となっても私たちにはどうすることもできないのが事実。それは、ショッピングセンターが休日のレジャーとなっているから仕方がないのかもしれません。消費がレジャーであることが体に染み付いている日本人にとって、休みに買い物しないのはつらいかもしれません。「休日は休みましょう」と叫んでもだれも聞いてくれなそうだし、だからといって「ドイツでは、日曜日は掃除機もかけていけないという決まりがあるほど、休日を大切にしているし、お店も閉めていることが多いんだって!」(これは宗教的な意味があります)と昔読んだ本の受け売りをしても、あまり効果はなさそうです。もしかすると、「オランダ人はみんな自転車や公共機関を利用して移動しているのでしょう?」と言う私に、本物のオランダ人が「それは幻想に過ぎない!渋滞は依然としてオランダの問題なんだ!」とつっこんできたような、単にヨーロッパに幻想を抱いていたり、美化しているだけなのかもしれません。でも、朝は朝として、夜は夜として、そして、休日は休日として過ごせるような社会って、理想ではありませんか? それにはやはり、雇用の問題を解決するのが先なのでしょうか? それとも意識改革を先にしなければならないのでしょうか?