この連載も今回で20回目。予定の3分の2を終えようとしている。いつも熱心に読んでくださって、本当にありがとう。
ところでみなさん、そろそろうんざりしてきませんか。だって避妊にしろ中絶にしろ、オンナが熱心に情報を収集し、オンナが細心の注意を払い、オンナがすべての結果を負わなければならない。リプロにおける男女共同参画を求めているわけでもないけれど、自分のカラダを念入りに管理すればするほど、オトコってお気楽でいいわよねー、という気分になる。ずるい。不均衡だ。だから低容量ピルが普及しないんだよ(きっと)。妊娠・中絶はこっちが負うんだから、避妊はオトコが負えよ、それが負担の公平ってもんだろ、という気分にもなる。
とはいえ、男性用ピルの開発はボチボチ進んでいるとは聞くが、この日本で認可される日など来るのだろうか。わたしが生きている間に実現するのか。わたしが閉経を迎える前に認可されるのか。
以前、リブの溝口明代さんのお宅にお邪魔したとき、当時のビラや会報などの貴重な資料をたくさん見せていただいた。目に留まったのはこんな記事だ。
<メイルピルかパイプカットか>
どうして男性側の避妊法が考案されないのか。元気な精子君でなければ卵子ちゃんと結合できないのだから、精子君の成長をストップさせる方法とか、パイプカットでも、いたずらに男心に不能になるような悪宣伝をするのではなく、医者がまじめに取り組めば、もっと再生率も高まり、また今のように錆びついたネジではなく、水道のじゃ口のような開閉自由なネジ式にすれば、こんなに完全で体にいい方法はないと思う。(おんなの船 1975年7月7日号)
もう30年も前から、オンナたちは、男性ピルとパイプカット技術の向上を訴えてきたのだ。友人と一緒にそれを眺めながら、「男性用ピルって・・・徳川埋蔵金みたいだね・・・」と遠い眼になってしまった。
埋蔵金の発掘は、いつまでも少年の心を忘れないオヤジたちによるファンタジーだが、男性用ピルの実現も、本気で信じてる人の方がバカ、っていう類のデマなんだろうか。
『ピル博士のピルブック』によると、男性用ピルには、おおまかに2つの方法があるという。ひとつは間接的方法で、精子の産生過程を促進する脳下垂体ホルモンの働きを阻害するもの。もうひとつは直接精巣に働く薬物を用いる方法だという。
前者は女性用ピルの原理に似ていて、ホルモンの量をコントロールすることで精子の産生を抑制する。そして『ピルブック』によると、この方法のデメリットは、「男らしさをも抑えてしまう」ことだという。ほほう。いったいナニが起こるんでしょうね。なんの説明もないんだもの。チンコがしぼむんでしょうか。飲み続けるとどんどんしぼんでいって、大きなクリトリスになっちゃうのかしら(ステキだわ)。どなたか、岩月謙司センセイに聞いてみてください。
そして、精子産生を直接阻害するのが、中国で開発されてきた「ゴシポール」という薬剤だという。これは、綿の実で製造した油に避妊効果があることから発見されたもので、1万人以上の中国男性のボランティアが大量に服用、さまざまな副作用が発見されたそうだ(なかには不妊になっちゃった男性もいるらしい)。アメリカでは囚人たちが自由と引き換えに男性用ピルの臨床試験に協力させられたらしいと、さきほどのリブの会報には書いてあったけれど、中国のボランティアっていうのもなんかワケアリってかんじがしますね。
ただし、開発過程で重篤な副作用が出たのは、女性用ピルだって同じ。歴史が古いぶん、こちらのほうが紆余曲折さまざまなことがあった。現在の低容量ピルが生まれるまでに、どれだけのオンナたちが命を落としたか。頭痛とか吐き気とか、そんな程度でガタガタ言うなという気分にもなる。
さきほどの『ピルブック』やら、『ピル避妊のすべて』といった本を読んでいると、男性用ピルの開発について、「〜なって〜なると〜の機能が抑制されるが、しかし、インポテンツが出現してくるためこれはダメ」といって選択肢はどんどん減っていく。なるほどね、穴が開いてりゃセックスができるオンナとはワケが違うのね。
昨年、ドイツのシエーリング社とオルガノン社が、ヨーロッパとアメリカ向けに男性用ピルを開発すると報道された。5年から7年後の実用化を目指しているらしい。少子化がますます進んでいるであろう日本で、認可していただけるんでしょうかね。
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