●キコサントマサコサン

ワーイワーイワーイワーイワーイ、これでワーイ遺伝子続行だね! ということなんだろうか。キコサンの妊娠。夕方のニュースが流れテレビの前で、ひゃーと腰を抜かしていたら友人から、友人からケータイにメール。
「紀子解任! これで決まりだ祝万世一系くん延命!!」
私と同じようにテレビの前でギャー! ワーイワーイワーイYYYYYY! と叫んでいる彼女の顔が浮かぶ。それにしても「懐妊」の変換が違っていたのは、なんだか意味深である。紀子懐妊で、雅子解任。そんな言葉が一瞬、頭をよぎる。最近、雅子さん離婚説がメディアを賑わしているしね。

それにしても キコ! 世の中のすべての原則は、キコとマサコという二人の女で動かされているんじゃないかという錯覚に、私はこの数時間陥っている。

「女の領分」を受け入れ、領分をはみ出さない程度の欲望を剥き出しに幸福を手にしたプリンセス、キコ。「女の領分」に無頓着で「己の才能」のまま生きていけると信じていたプリンセス、マサコ。「男女平等」の正論がいくら声高に叫ばれようが、「女は子産みの道具」との本音が現実を支配する世界で、どちらが生き延びられるかと言えば、答えは明白だ。

キコとマサコ。女を分類したいわけでも、「女の敵は女」という下品な言葉を使いたいわけではない。「キコの敵はキコ」でも「マサコの敵はマサコ」でも「マサコの敵はキコ」でも「キコの敵はマサコ」もないのだから。それでも、対照的な二人のプリンセスをみて思うのは、「男と女」の物語にはなぜこんなにも既視感が漂うのか、ということだ。

「東京ラブストーリー」。最近、読み直したから、そんなことを思うのかもしれない。コンビニで売られていたのです。久々に読んで面白かったので、ついでにドラマもビデオで観た。だから思う。この世の中の男女の物語はいつも、リカとサトミで、マサコとキコだ。

リカもさとみも、何のことか全く分からない若い読者のために説明をすると。リカは会社員で、さとみは保育園の先生。リカは「セックスしよう」と自分から誘う女で、さとみはそういう事は言わないと男から思われる女。リカはIUDで避妊をする(そういうシーンありました)がさとみは「コンドーム」とさえ口にできない人(これは想像)。リカは男を振り回すがさとみは男に振り回される。リカに女友だちは多いが、さとみには職場の同僚一人・・・だいたいこんなんで二人のこと、分かる・・・でしょう?

このマンガが登場した当初(もう16年も前だよ)、私はリカに共感した。愛とセックスを切り離し、欲望を表現する術を持っているように見えたリカをかっこいいと思った。一方、どれだけさとみを憎悪したことか。女友だちを裏切るんじゃねーよ、おい、さとみよぉ! とどれだけさとみを罵ったことか。
リカの敵は明らかにさとみ、だと思っていた。

それが。久々にマンガやドラマを見返すと。不思議とさとみに対する嫌悪がなくなっているのだった。むしろリカに対しての苛立ちがわきあがった。昔はかっこよくみえたリカの態度が、今読み返すと、「男が責任を負わないですむように」先回りして先回りして頑張っている痛いものにしか見えなくなっていた。むしろ太々しくみえたさとみの方が、「自分の欲望に忠実」であるようにすら感じたのだった。かといって決してそれが「幸福」には見えないのが皮肉だけどね。

1990年、東京ラブストーリーの年にキコサンが結婚したのは偶然でしかないけれど。この16年で、女の生き方はどのくらい変わっただろう。私自身の変化だけだろうか。マサコサンやリカが痛々しく哀しく感じられるくらいに、今、「自由に生きたい女」がボロボロに見える空気がここにあるんじゃないだろうか。

大学卒業と同時に結婚したキコサンと、キャリアを積み重ねている途中で皇室に請われて結婚したマサコサン。結婚記者会見で「初恋の人です」と恥ずかしいことを堂々と語ったキコサンと、「(仕事を辞めたこと)後悔はしていません」と神妙な顔で語ったマサコサン。16年前の私はリカ&マサコサンの敵はサトミ&キコと言っただろうが、今の私は、そう言い切れない。二人の女はコインの表裏でしかないことを、十分に知ってきたように思う。

「幸福な家庭はいったいによく似かよったものであるが、不幸な家庭はみなそれぞれに不幸である」とはトルストイの小説の言葉としてよく引用される。私は昔からそれが実感できないでいる。なぜって。女の不幸はいつもどこか似ているから。男に、家に、先祖に、血に、生殖に、子どもに、振り回されている女の物語はイヤというほどに見聞きしてきた。そんな似通った不幸を持つ女たちが、どうして敵になれるだろう。

キコサン、マサコサン。これからどうなるだろう。皇室は!? Y遺伝子(笑)は! 
ミチコサンにそっくりになっていくキコサンをマサコサンはどうみているのだろう。
そうそう、サーヤ、どうしているんだろう。

皇室から目が離せない・・・ね。


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[2008/10/01]
愛せない、という罪悪感
[2008/09/24]
男女平等というルール
[2008/09/17]
ワガママなわたし
[2008/09/09]
女の候補者
[2008/09/02]
セックス・アンド・ザ・シティな夜。
[2008/08/26]
ハウスキーパー
[2008/08/20]
オトコジャパン
[2008/08/10]
お久しぶりのご挨拶。
[2008/05/30]
女の罪、男の罪
[2008/05/19]
母としてのわたし
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