●北海道札幌レインボーマーチの報告その1

両親とのプチ同居問題はまだ片付いていない。前々回の、「続き」を書こうと思っているけれど、世の中では男子誕生でにぎわっていたり。作家の猫殺しのエッセーが話題になっていたり、あああああああ、心の中は常に忙しい。心の中が忙しいと、じっくりと机の前に座っている場合じゃないんじゃないかと、家の中を猫と一緒にウロウロしたりして。原稿の締め切りの催促(が、たくさんはないが、少しはある。守られていない。)に怯えながら、心だけが忙しく、体は暇。やること、やらなくちゃいけないことはたくさんあるように思うけれど、深く突き詰めて行けば、本当は何もやらなくていいことなんじゃないかと思うと、だるーいなー。これを鬱っていうのかな、とか思うけれど、ホンモノの鬱の人に話を聞くと、こんな程度じゃ鬱じゃないと、諦める。中途半端なやる気のなさ。だらしのなさなのである。

と。

そんな気分で過ごしていた私だけれど、週末、札幌で行われたレインボーマーチはすばらしかった。
ラブピースクラブでもコラムを書いてくれているカネゴンが、きっと詳しく報告してくれると思うけれど、ちょっと私もご紹介。

レインボーマーチ札幌は今年で10回目。私は3回目の参加になる。
北海道以外は台風の影響を受けて大変だった9月18日、札幌の空は青く澄み、予定通りにパレードが始まった。今年は今までで一番たくさんの人が集まった。1100人以上。ラブピースクラブのブースにもたくさん人が来てくれたのだけれど、東京で見知った顔も多く。北海道だけでなく、いろんな地から来ているパレードなのだなぁ、と実感。

すばらしかったのはラブピースクラブブースの隣の「おにぎり屋さん」。運営しているのは、「おやの会」のお母さんたち。(そういえば、父親はいなかったね。) ゲイの息子を持つお母さんたちが中心になって(当日はレズビアンのお母さんはいなかったけれど。会にはいらっしゃるのかしら?)、パレード参加のみんなにおにぎりを握ってくれたのである。すじこ、梅、おかか、シーチキン。

たまたまブースが隣合わせになったので、互いの店を行ったり来たりしているうちに、お母さんたちがレインボーバンダナやレインボーバッチを買ってくれた。「レインボーっていいよねー! かわいい! ウチに飾ろう」 一人のお母さんはレインボーバンダナを買ってくれて、「これ、今日はつけて働こう!」 パレードスタッフが 「フロート(パレードを先導するトラック)に乗りませんか?」と提案すると、「なんでー、そういことは、早く言ってくれないと! ドレスを着たかった!」とみんなで顔を見合わせて笑う。なんとも、明るく、楽しそうなのだった。

「なーんだか、ったのしー!!!」
一緒に来ていたスタッフのアンティルが叫んだ。きゃー! とくるくると踊るようにおどける。
「札幌、すてきー! オニギリおいしいー!」
そして、お母さんたちと一緒にイラッシャーイ!! と声を張り上げる。
その声に、私もなんだかワクワクしてくる。イラッシャーイ! バイブ屋だよー! 行ってらっしゃーい! パレードだよー! 楽しさの煙がおなかの中に充満していくような感じだ。尾崎翠風に言えば、「心臓が久々に星形になりました」とか、表現したくなるような調子で。

東京のパレードももちろん、パワフルで印象深い。でも、毎回札幌に来て強く印象に残るのは、札幌のパレードの軽やかさと暖かさだ。こう書くと、トーキョー人が「田舎は素朴」と、上っ面だけを眺めるような感覚と思われるかもしれないけれど、そういうのでは決してなく。なんというか、驚くほどの「まともさ」が、これほど「軽やか」に全面に出ていることの、なんていうクィア! っていうか。
そう。軽やか、なんだよね。仰々しくもなく。えらそーでもなく。大きなスポンサーがついているわけではなく。自分たちのコミュニティの延長にパレードがある。そんな感じの軽やかさが、たった一日参加している私にも十分に伝わってくる。
もう日本では札幌しか生きる場所はないんじゃないか、なんて感極まっちゃうような状況が、パレード最中に何度も何度も味わえるのだ。

特に、パレード後のイベントで札幌市の市長が挨拶するのは、特筆すべきことと思う。「すべての人権が尊重される、当たり前のことを札幌から広めていこう!」 至極まっとうなまっとうすぎる普通すぎる挨拶だからなのか、青空の公園のもとで聴くとなんだかぐっと来るものである。しかも、隣にはレインボーバンダナを巻いたお母さんたち・・・。行政も親も、敵ではない。私たちが連帯し、ここに集っているのは、私たち自身を祝うため。そして、この札幌のレインボーな空気が全国に広がることを祈るため。

ううううう。私は一人心盛り上がってしまい、ブース紹介でステージにあげてもらった時、あまりのうれしさに「マンコー! マンコー!」と叫んだ。公園でマンコー! とマイクを持って叫べるのは、たぶん、今は札幌しかない。(というか、叫んで良かったのか?) 

・・・さて。ここまで書いた時、原稿の催促がありました。ひー。
明日またパレードの続きを書きます。写真をアップするよ。それから、尾辻かな子さんとのトークの様子も。尾辻さんに「北原さんはレズビアンなのですか?」と、キラキラした目で問われた私・・・・。自分はレズビアンなのか? と改めて自分に問うことになった、私の札幌パレードです。

ではまた明日。


INDEX
[2008/10/01]
愛せない、という罪悪感
[2008/09/24]
男女平等というルール
[2008/09/17]
ワガママなわたし
[2008/09/09]
女の候補者
[2008/09/02]
セックス・アンド・ザ・シティな夜。
[2008/08/26]
ハウスキーパー
[2008/08/20]
オトコジャパン
[2008/08/10]
お久しぶりのご挨拶。
[2008/05/30]
女の罪、男の罪
[2008/05/19]
母としてのわたし
北原みのりの書籍はコチラ
これより前のコラムを見る
▼コラム一覧へ戻る  ▲topへ