「うれしいですー、涙が出ました!」
「いやー、いいニュースです。お父様もお喜びのことでしょう」
テレビの街頭インタビュー。また皇室の人が生まれたのん? と思ったら、安倍晋三氏の地元インタビューでした。インタビューを受けている人たちはまるで阿倍氏の親戚のように、そして懐かしい子供を見守るように祝っていました。
「育ちの良さ」に安定感を見いだすような卑しさを、私たちはいつまで持ちつ続けるんでしょう。
さて。札幌パレードの前日に行われた尾辻・北原カフェの様子をご報告します。
大阪府議の尾辻かな子さんと私のトークを企画してくれたのはラブピースクラブでもコラムを書いてくれているカネゴン。札幌レインボーマーチの委員長を去年勤め、札幌のクィアカルチャーを先導してきたレズ番長です。また、バニラブルーカフェ、マムカフェといった、札幌では知る人ぞ知るクィアのためのカフェのマスター。残念ながらバニラブルーカフェもマムカフェも諸々の事情で閉店してしまったのだけれど、今年9月から、カネゴン自身がオーナー&シェフとして店にたつ「星空カフェ」をオープンしました。
いやー、むちゃくちゃかわいいお店だったよ。すすきののど真ん中に舞い降りた、一粒のダイヤモンドのごとく。精子漏れているんじゃないかっていうような、目がうつろなチンコたちがソープランドに集団で向かう街の唯一の聖域のごとく。ほんと、舞い降りた、っていうような感じでその小さな店はありました。元は焼き鳥屋さんだったお店は10人も入ればいっぱいになる規模で、奥に細く伸びている。カウンターを挟んでカネゴンやスタッフの人とおしゃべりし、お酒のみ、お食事もできるんですって。「星空カフェ」、名前の由来を聞くと、
「夜、一人でご飯食べるのって寂しいじゃないですか。でも、星空のもとで食べたら、楽しいよっていうような意味を込めて」
というようなことをカネゴン言ってました。(あいまいでゴメン。)
さて。そこで始まった尾辻・北原カフェ。尾辻さんとお会いするのはこれで4度目くらいかな。もちろんみなさん知っていらっしゃると思うけれど、大阪府議でレズビアンであることを去年カミングアウトして話題になった、あの議員さんです。それにしても美しい人。議会というオヤジ率がむちゃくちゃ高い職場にいながら、あれほどキレイな瞳を保ち続けられる人は貴重です。オヤジと同化せず、オヤジにこびず、それでも自分を通していくコツを私は尾辻さんに聴きたいと思って、トークにのぞみました。
と言っても。私の意気込とは裏腹に。7時のカフェオープンなのに、お客さんが誰も来ないのでした。
毎回毎回札幌に行くたびに思うのだけれど。北海道の時間の流れは雄大すぎる。7時オープンで、6時40分くらいからオシッコしたり、深呼吸したり、そわそわする私などは本物の小物だと思う。実際、約束の時間に遅刻して道に迷い混乱気味に電話した私に向かってカネゴンは、「遅れていいですよー。ゆっくりきてくださーい」と、本気で言うのである。それが6時35分。え? 6時30分から打ち合わせって言ってなかった? と思いながら、ようやくお店についてさぁ打ち合わせ、と思えば、誰も私のように焦ってはいなく、カネゴンはゆったりと「カレー食べますか? 私のカレー、評判なんですよー」と、カレーをふるまってくれたりするのである。うれしいけど、トークは・・・? と思いながら、なんだか良く分からないままカネゴン手作りのスープカレーをいただく。(これが本当においしかったです。旭川の有機野菜農家から仕入れた野菜たっぷりのスープカレー。特にトマトがまるごとボンと入っているのにはビックリ。トマトをかんだら甘くてね、本当においしかった。オススメです)
7時30分を過ぎたあたり、ようやく一人目のお客様が登場。以前、札幌で私が講演をした時に来てくださった方のよう。尾辻さんやカネゴンが気を配って「北原さんに会いに来たんでしょう。さぁさぁ。北原さん、こっちに来て! なんでも北原さんに質問してもいいよ」と、たった一人のお客様である彼女を盛り上げるのだけれど、なんだかそういう時、私はものすごく恥ずかしがり屋になってしまう。「いいですよー」と、場違いで迷惑な遠慮をついついしてしまい、気まずい空気が流れちゃう。
で。尾辻さんに聞かれたのでした。たぶん尾辻さんはお客さんへのサービスもあったのでしょう。意味のある会話をしようと思ってくださったのでしょう。
「今日のトークは、尾辻・北原レズビアントークってタイトルについているけど、北原さんってレズビアンなんですか?」
え? あまりにもストレートな問いかけ。尾辻さんのまっすぐな視線。そして私は、一瞬、答えにつまってしまっていました。私はこの質問、すっごく苦手だなぁ、と意識した瞬間。さらにお客さんは一人。これはトークなのか、それとも、個人的な内緒話(そんなワケないだろう)? なんだか一瞬の内に心が急に忙しくなり、私は、「まー、人がたくさん来てから答えるわ」とか、心の中の動揺を隠すように、エラソーに返事をしたのでした。つくづく私はイヤな感じ。
さて。それにしても、なぜ私はこの手の質問に動揺してしまうのだろう。
結局、人が集まり、トークらしいトークが始まったのは・・・・9時でした。その2時間の間にいろいろと考えたのでした。続きはまた明日。