ベルリンはクロイツベルグというトルコ人街、旧東ドイツの香りが強く残る小さな街でこのエッセーを書いている。
なーんてね。”ダンディでロマンな男作家”の真似をして書いてみた。
言葉が思うように通じない不自由やちょっとした諸々の習慣が違うためにレストランで食事するのも一つ一つが「イベント」のようになる海外滞在中は(うわ、長い!)、こうやって一人、机に向かって言葉を選ぶ作業がすごく癒しになる反面、なんだか奇妙な人格が出てきてついついかっこつけたことを書こうとするものなのでしょうか。海外での旅行記を書く男作家の文体ってキザなのが多いなぁ、なんて思ってたけど、あれってジェンダーじゃないのかな。どうなのかな。
さて、私は今、ベルリンで行われているセクスポに来ています。セックス関係のエクスポ、だからセクスポ。世界中、様々な年でこういったショーが行われているのだけれど、ドイツで10年前から行われているこのショーは、セックス産業界の中でも最も大きいと言われていて、私のような日本の小さな店のオーナーから、ヨーロッパ各国、アメリカ、中国などの大きな大きな問屋やメーカーなどがいっせいにやってくる。セクスポ関連の人が宿泊する、というホテルは、セックス産業の人で溢れ、一つの街のようになっていたりして、大変な賑わいなのです。
とにかく驚くのは、「セクスポ」の広告が町中に張られていること。こっちの地下鉄の広告は東京の地下鉄広告の2倍くらいの大きさがある。その大きさで、裸のオンナの人が横たわっているのを観ると、複雑な思いになる。複雑なのか単純なのか分からないけれど、とにかくそのポスターを観ながら私が考えているのはこんなようなこと。
裸のオンナの人の写真かー。セックス産業はやっぱりチンコ向けかよ。でも、セックス産業の見本市の広告が、地下鉄や町中に張られるのはうれしいねぇ。規制が薄いんだねぇ。
ああ、書いてみると、非常に単純な思いであった。イヤだけど一部イイ。イイけど完璧じゃない。それって、私の人生、そのまんまな感想のようだ。
世界で初めて株式公開したのはドイツの「ヴアテウーゼ」という女性オーナーの会社だという。日本はそもそもアダルトグッズをやる会社に、お金を貸す銀行はないし、株式公開なんてあり得ない、と言われている。実際、セックス産業に対する規制は年々厳しくなっている。私たちのような小さなオンナ向けの店、といっても容赦なく、公安への書類提出などは、ソープランドやデリヘルやその他諸々チンコのための風俗とほとんど変わらないものが義務づけられている。仕事をする上で必要な書類、だったら仕方ないと思う。医師に医師免許が必要なように、薬局開くのに薬剤師がいなくちゃいけないように、バイブ屋開くのにも何か免許が必要なら取ろうと思う。それでも私に求められるのは、公安への身分証明、というような類のものだとしたら、そしてそれを提出したところで、何ら社会的に保証されるものではないとしたら、バイブ屋をやり続けるとは、監視されている、ということと同じだよなぁ、とゲンナリしたりもする。
なもので、時々海外に行き海外のセックスグッズ産業事情などに出会うと、あまりのあまりのあんまりーのの違いに、愕然としたり、希望を持ったり、それでも裸のオンナかよ、とブリっとしたりと、まぁ、いろいろと刺激を受けるわけです。
ちなみに、ヨーロッパの中でもドイツは特にセックス産業に寛容な国のように思う。たとえばフランクフルトの空港にはバイブ屋がある。「空港にアダルトグッズショップがあるなんてねぇ」としみじみする私に、ドイツに住む友人は「空港って暇だもんねー。時間あるしねー」と、かみ合わないけど、これがカルチャーギャップだよね、と返答をしてくれたりする。
さて。せっかくセクスポに来ているので、セクスポの様子を、また書いてゆきます。毎日更新、と騒ぎながら、失礼しますです。
また、今日、アエラで「浜野佐知」さんについて私が書いた記事が出ています。読んでね!