●差別問題・・・って?

ラブピースクラブのメルマガが盛り上がっている。
購読されていない方のために。このメルマガは一人のスタッフ(トッチー)が書いている。彼女はメルマガの中で新商品のことを紹介しながら、日々のあれこれをエッセーにしている。最近の話題はチンコとの生活だ。最近チンコと暮らし始めたトッチーにとっての一番の話題。迷いながらも様々を決断していく様子はとても頼もしく、そして刺激的な読み物になっている。

そのメルマガで先日、「批評は読んでからしろ」の長田真紀子さんの原稿について触れた。というのも、長田さんの原稿が更新されると必ず何通か「批判」メールが来るのだ。それは同一人物からの批評かと思えるほどに似通った内容で(そうじゃないとは思うけれど)、たいていは「男との関係の話など聞きたくない」というようなものだ。それがあまりも続いたので、なぜ長田さんの原稿は嫌われるのか?  と身も蓋もない率直な質問をメルマガ読者に問うたのだった。

結果、驚くほど、たくさんのメールをいただいた。読者の興味を惹く話題だったのかも・・・そして、その中に一通、こういうメールがあった。
“トッチーのエッセーもうざい”

問うた本人にこの切り返し・・・。嗚呼。平たく言えば、あんたが男と暮らそうが、男を愛そうが、憎もうが、もーそんな話はどうでもいいよと。それよりも、マンコの楽しい話をしたい!  と。すっぱり、潔いメールだった。

たくさんの賞賛よりも、一つの酷評に気を取られるのが”人”というもの。今まで何通も「トッチーおもしろーい」のメールを受け取っていたにも関わらず、彼女はこの一通で激しく顔が曇ってしまったのである。あらら、と思いつつ、「どうしよう・・・?」 というトッチーに私は、あまり真剣に向かわなかった。
“楽しんでくれてる人もいるんだからチンコとの生活の続きは書くんだよ〜じゃ〜な〜”
と、ラスベガスに行ってしまったのだった。メルマガはトッチーの管轄だ。

そして私はメルマガをラスベガスで受け取ったのだった。
そして私はラスベガスで驚いたのだった。
トッチーは、男とのエッセーを書かないどころか、「フェミのナイスな小咄」みたいなつまんない話を並べたあげく、
「異性愛社会の中で、ヘテロの話はありふれてつまらんどころか、抑圧になるのかもしれません。申し訳なかったです。」
と謝っていたのである。

もし彼女が「じゃぁ、おまえ、メルマガ読むのやめちまえ!」と逆ギレしていたら、シャチョーとして「っざけんなよー」と怒るだろう。もし彼女が「傷つきましたー。書くの怖くなっちゃいましたー」と記していたら、「あんた、正直すぎ・・・」とつぶやくだろう。「それでも、アタシは書きたいことを書くわ」と言うのだったら、応援するだろう。・・・でも、謝っていたら・・・というのは想定していなかった。私はギュンと、複雑な感情のポットに入り込んでしまった。そして、一つ、ふつふつと、一つ、大きな問題がわき上がってきた。

「差別問題とは何だ?」
である。
女性差別に向き合ってきたつもりの私が、改めて思う。
差別問題とは何だ?

セクシュアルマイノリティを気遣って、自分のセクシュアリティの話はしない、というのが、ヘテロに期待される「リベラル」な生き方なんだろうか。そういう“状況”を求めて、セクシュアルマイノリティは運動してきたんだろうか。それでは、セクシュアルマイノリティが「男との話はうざい」とヘテロに言うことは「抑圧」にならないのか? それを抑圧と捉えることは間違い? だったら何が抑圧で、何が抑圧でないのか? セクシュアルマイノリティが正直であることOKだが、ヘテロはもっと広い視野をもたなくちゃいけない? なぜなら無自覚的な抑圧者だから?  「抑圧」にセンシティブになり、己の態度を客観視し規制する、ということが「差別問題」のゴール? それでは、誰がどのように抑圧を控えれば、この世から差別はなくなるんだろう。(ちなみに、メールを送って下さった方は、ご自身が「セクシュアルマイノリティ」”だから”「つまらない」とおっしゃったわけではないです。)

ふーむふーむふーむ。
こう書いていくと、なんだかバカな右翼男と同じようなコトを言っているように思えてくるが・・・そういうんではなくて・・・私にとって気持ち良い世界を・・・と求めていくことが、誰かの抑圧になるのだとしたら、いったい「差別問題」にはどんな道が敷かれるべきなのかしらん、みたいなことを改めて、心から、思う。

抑圧にセンシティブなリベラルなマンコ持ちたちが私の周りにはたくさんいる。自分に誠実なマンコほど、自分が他者へ与える抑圧にもセンシティブになる。そして「気をつける」。けれど、その道はどこに向かうのだろうか。
女差別問題の結末はどこか?
なんだか「原点」というような感じだが、原点過ぎて、そこで止まることを私はしてこなかったようにも思う。とにかく、自分が受けた痛みや、自分が受けた被害が甚大だ、と思っていたから。自分が気持ちいいものを作るんだーーーーーー! しか考えて生きてこなかったから。

さてー。あなたはどう考えますか?
フェミ嫌いの人も、フェミに疲れてきた人も、フェミにはまっている人も。
男に疲れている人も、男が大好きな人も、男が目に入らない人も。
あなたは「差別」とどう向き合っていますか?

なーんてことを、久しぶりにネコを抱きながら考えている。幸せだけれど、ちょっと、難しい気持ち。


INDEX
[2008/10/01]
愛せない、という罪悪感
[2008/09/24]
男女平等というルール
[2008/09/17]
ワガママなわたし
[2008/09/09]
女の候補者
[2008/09/02]
セックス・アンド・ザ・シティな夜。
[2008/08/26]
ハウスキーパー
[2008/08/20]
オトコジャパン
[2008/08/10]
お久しぶりのご挨拶。
[2008/05/30]
女の罪、男の罪
[2008/05/19]
母としてのわたし
北原みのりの書籍はコチラ
これより前のコラムを見る
▼コラム一覧へ戻る  ▲topへ