●尾崎豊 卒業

週末から熱が下がらないでずーっとふとんで寝ている。ふだんはベッドだけど、病気の時は一人でふとん。いつもより天井が高い。天井や壁をみているとすぐに眠ってしまう。ときどき起きて、枕元のノートブックでメールをチェックする。中に、ビックリするようなメールが来たりしていて、心、ドキドキする。例えば、私が出したメールの「雰囲気」に怒っているメール。

しゃべってて曖昧だなと思った点を、箇条書きにして確認のメールしたら、”攻撃的でビックリした” みたいな返信が来てた。慌てて自分のメール読み返したんだけど、簡潔、としか私には思えなくて、ビックリした。箇条書きという雰囲気に・・・傷ついたのかな、と思ってビックリさせてゴメンナサイ、って謝ってから、少し哀しい気持ちのため息をついた。そしてまた寝る。寝ているだけなのに、メールのやりとりしているだけなのに、心は目まぐるしいなぁ、と思う。心が目まぐるしいと、世の中が忙しく見える。おかしいなぁ、寝ているだけなのに。

時々テレビをつける。吉川晃司のドキュメンタリーやっていて、イヤな男だなぁと思う。独立して会社をつくった時の自分を、サムライに例え悦に入っている。戦わなくてはいけない、敵をやっつけなければ、味方を守らなければ・・・とかそんなこと話してた。周りはみんな敵、という妄想で奮起するタイプが男に多いのは、なぜなんだろう。

ふと思う。尾崎豊と吉川晃司は同い年だったな。尾崎豊が42才になっていたら、どうなっていたのか。やっぱり、サムライになっちゃってたのだろうか。中学の時、尾崎豊を聴いて、興奮したな。「オレ語り」の歌なのに泣いた初めての歌だった。「オレ」が「チンコ」じゃなくて、「オレ」が「僕であるための僕」みたいな、ただの一人称に聞こえた初めての歌だった。

尾崎豊は、女のアイドルみたいだったんだなと思った。若いうちだけ、若いうちだけ。若さが売りの女子アイドルは、年を重ねれば消えるしかない。消えないでいいのは、母になるか、妻になるか、芸に秀でた本当にわずかな女たちだけ。40代でブレイクした森光子だからこそ、90才近くまで芸を続けていけるだろう。10代でブレイクした宮沢りえは、一度、生まれ変わっちゃったから、やっていけそうなんだろう。

バカな男の歌を最初から歌い続けていれば40代まで日持ちする。いくつになっても「少年の心」を持っていることが賞賛されるチンコ社会に、年齢なんてない。そんな社会で、生々しい言葉で「ほんとうの自分ってなに?」なんて、ものすごーく「女」なことを歌っちゃった「10代」の男が、「商業世界」で成長するのは、長く生きるのは、それこそ死ななくてはいけないほどの大変なことだったんじゃないか。久々に、尾崎豊を聴きたくなった。
こういうとき、病気で寝ててもインターネットは便利だね。沢知恵さんが、尾崎豊の「卒業」をカバーしていたのを思い出し、 ダウンロードして聴いた。聴いて、また尾崎豊のことを考えた。何度も聞いた。何度も聴きたい曲があるとは、しあわせなことだと、思った。

ちなみに。中島みゆきが今でもずっと凄い存在でいられるのは、22才で、これ以上年を重ねる必要のない「時代」を歌っちゃったからなんだろう。とこれもふとんの中で勝手に結論づけた。

若いマンコ持ちよ。息長く、仕事していたいのならば、ワカモノらしいことをしてはいけない。ワカサを売ってはいけない。婆の境地にすばやく達したマンコほど、長く、生きられる。そう、天井に宣言して、また寝た。熱、ようやく下がってきた。


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[2008/05/19]
母としてのわたし
[2008/04/30]
運動と嘘
[2008/04/22]
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