韓国に二週間行っていて、藤原紀香の結婚披露宴を見逃しちゃったのは、少し残念だった。その代わり、と言ってはなんだけれど、ミス・ユニバースはタップリと楽しんだ。
日本代表が優勝したミス・ユニバース。あんなに楽しいミスコンがあるなんて、私は全く知らなんだ。オヤジ好みの賢さ、オヤジ好みの肌の白さ、オヤジ好みのモッサリした私服。そういうイメージがミスコンにはある。乳首と性器を隠すだけの役割を持つ水着に、10センチ以上のピンヒールという、女の一生なかなか体験できない格好で歩く女の人たちのカラダは、「美」というよりも「驚」だった。驚で、恐で、狂だった。狂態とエロというのは似ているのだと、私はミスコンの舞台で学んだものだ。ところが、そんなミスコンのイメージが覆された。ミス・ユニバースである。
激しいビートの音楽が鳴り響く中、アニマル柄のビキニを身につけた世界の代表たちが舞台中央に進んでくる。手にした布を振り回しながら、腰を大きく左右に振りながら、まるでかみつきに来るかのようにカメラに向かってやって来る。彼女たちの声は聞こえない。それでも、上からカメラを見下ろす彼女たちは、口を大きく開け観客に向かってガオーっとかみつくように(まるでハリウッド映画のライオンです)吠える。
ビキニの次はドレス。ヒラヒラを両手をふりながら、しかしそれは決して蝶や花のイメージではなく、大きな翼をワッサワッサをはためかせながら獲物に向かって一直線に向かってくる鷹のような動きだ。
そしてインタビューの時間。それぞれ自国語でしゃべることになっているのだが、日本代表の森さんの「私は! 子供たちを助ける! 仕事をしたい!」という(ような内容だった)答えは”模範解答”だけれども、音で聞くと、健康的な欲望に満ちあふれた女にしか出せない腹底からの声だった。
ミス・ユニバース。それはまるで「獣度」の高さを競う、健康的な会なのであった。
敢えてかもしれないが、金髪白人は最終選考にほとんど残らず、色黒の、自己主張の強そうな、ものすごく性欲が強そうな、ものすごく野心家でありそうな、そんなカッコイイ女たちの戦いなのだった。当然のごとく、そこには「ボクの言うことを聞いてくれる優しいお姉さん」なんて幻想を抱く余地など一ミクロンも残されていない。細く長い指を一本一本折り曲げながら「カッッモーン」みたいな仕草を堂々とやってのけて様になる、そんな女でなければ、ミス・ユニバースは戦えない。男の性欲に飲み込まれるスキを与えず、溢れかえる真っ直ぐな肉欲の主体となって、女たちは
腰を大きく振り、顎を高く上げて歩くのだ。
ちなみに。このミス・ユニバースの会場で、女たちは誰一人、名前では呼ばれない。ジャッパーン、メヒコー、タンザニアー、と国名だけで呼ばれる。だって国の「代表」なのだもの。名前なんて必要ない、らしいのだ。そして、こういう獣な女たちが国の代表、というところが、また「国家の威厳」とか「ニッポンの伝統」とか「日本女子の美しさ、大和撫子」とかいう「価値」をゼロにしてしまう力があり。なんてまぁ、ミス・ユニバースはアナーキーなのだと・・・ミス・ユニバースに初めて出会った者として感激しているのである。早くも、来年が楽しみ!
で。藤原紀香である。
私はこの結婚、最初から反対してたのよ・・・と、ついつい隣のオバサンみたいになってしまう。ミス・ユニバースを見てからはよけいにその思いが強まっている。
そのことについては、またあしたー。