●藤原紀香の結婚

今さらですが。藤原紀香さんの結婚のこと。
なんだか、腑に落ちない気持ちが続いちゃって。
何に対してかと言えば、藤原紀香の結婚に対する”世間一般”の結論の出し方のようなものに。

だいたい”世間”はこんな風に言っている。
「仕事が限られてきた35才の藤原紀香にとって、この結婚は仕事の幅を広げる機になった」とか。
「ムリをしない生き方を選んだ紀香に、多くの女性が共感」とか。

一時期「美人」の代名詞のように言われていた藤原紀香さんの、この数年間の停滞ぶりは、拷問のように見えた。レオパレス21のCMで「夢中で頑張るキミへー」と、リズム感のなさをさらけ出しながら歩く藤原紀香さんの姿は正視できない痛々しさがあった。なぜ痛々しいかと言えば明白で、「消費されすぎた」というようなボロボロ感がにじみ出ていたからだ。で、この場合「消費した」のは、「テレビの前の視聴者」というよりも、芸能界関係の男たちに・・・というようなイメージが、なぜか”藤原紀香”という人からは漂ってしまう。なんでだろ。なんだか周りの男、悪そう・・・な感じ、しません? 

なんでか、と思い、考えるに。おそらく、藤原紀香さんの隠しようがない「従順さ」みたいなものに原因があるのではないか、と。あれだけのスタイル、あれだけの美しさを持ちながら、男を威嚇しない、男を怖がらせない、というのは、皮膚からにじみ出る「従順さ」がなければムリでしょう。で、藤原紀香さんという人は、昭和の日本人が目指していた「欧米なカラダ」を持つ、「昭和な女」だったからこそ、ものすごく受けまくったのではないか、と。で、従順な女にたかるのは、たいてい悪い男、と相場が決まっているんである。言い切るである。

で。そんな「従順さ」故にトップに立ち、「従順さ」故に落ちるままに落ち続けている藤原紀香さんの今後はどうなるのだろう・・・と、私は他人事ながらとても心配だったのだ。演技も下手、歌も下手、踊りも下手、ただ「藤原紀香だった」ということしかない藤原紀香さんに、どんな道が残されているのか。がんばれ、紀香、今は修業よ、辛抱時よ! と、私は励ましていた。「藤原紀香だった」ことが売りの藤原紀香さんだからこそ、「レオパレス21」のようなCMの仕事をさせてはいけない!! 私がマネージャーだったら紀香にこんなことさせない! と、強い感情を持っていたのだ。 

で。結婚。
小さいショックを受けた。ホントに。
男で苦労した女友だちを賢明に励まし。仕事を頑張ろうよ。いいことあるよ。アンタにしかできない仕事がきっとあるよ。とか、前向きなこと共に語り合った友だちが、あっけなく結婚しちゃった・・・という感じに似ている思いを、味わった。男で苦労した分、苦労をかけそうもない男を選んだ女友だちの幸せそうな顔を見ながら思う、あの思い。さみしいな、しあわせにね、でも少しだけさみしいんだ、だけどしあわせになってよね、というような、小さくしゃがみたくなるような思い。

さて。そんな私の思いなど、もちろんヨソに。藤原紀香さんの結婚は、好意的に報道されている。多くは、冒頭に書いたような内容。藤原紀香さんの仕事が増えた。30代後半になっても美しくあろうとする紀香さん、誠実な男性を選ぶ紀香さんに女性も共感とかなんとか・・・。

でも、なんだか、ヘンな感じがする。すごく奇妙な思いにかられるのだ。それは、メディアの報道の調子が単なる「おめでとう!」というものではないからだと思う。なんというか、みんなが「ホッとしている」感じが、どこか感じられるからだ。感じられない?
親戚でもなんでもないのに、藤原紀香さんの結婚に、ニッポン社会がホッと感を一斉に打ち出した、みたいな。ああ紀香さん、いいところに着地できたわねぇ、よかったわねぇ、ああこれでもう不安な気持ちでレオパレス21のCMを見なくても良いわねぇ・・・というような。大げさに言えば、自分たちが紀香から解放された・・・みたいな、ホッと感。

ほら。親戚のお姉さん、近所のお姉さんでもいい、いませんか? 周りに。もしくは、あなた、当事者ではないですか? 「将来どうするの?」「ずっと独りでいられると思っているの?」「年を取るのよ」「その時どうするの?」 本人以上にハラハラと見守る周囲の人々の存在を抱えて生きている、30代後半以上の独身女。藤原紀香さんという人は、いつの間にか、そういう女たちの代表のように、思われていたんだな・・・ということが今回の結婚で明らかになったように思う。そのことが、私に軽いショックをもたらしたのかもしれない。府に落ちない感を深めているのかもしれない。

だって。やっぱりこの結婚は、他人の心に介入する傲慢を問われてもなんでも、「あんた血迷ってるんじゃない?」と必死に止めるのが、女友だちの(友だちじゃないけど)役割だったんじゃないか、と。ホントにそれでいいのか、紀香! と問うくらいのことはしなくちゃならないんじゃないの? と。さらに、こういう着地でホッとされるような社会って、むちゃくちゃ女にとっては不安定なんじゃないのか、と、女たちは声を上げてもいいんじゃないか、と。結婚で現状打破されるような、そんな女の人生って、どーなのよっと。なんだか色んな風に、叫びどころ、異議申し立てどころがあったんじゃないかと、ホッとしている場合じゃなかったんじゃないかなんてことを、考えてしまうのだ。

・・・とここまでのことを、口でモッコちゃんに話したら、モッコちゃんはとても頼もしくこう言い切った。
「紀香、結婚式で、幸せそうだったよ! 郷ひろみも凄かったよ! あの人たちは大丈夫だよ!」
(あの人たち、というのは誰なんだろう)
そう。モッコちゃんがそう言うのなら・・・紀香さん・・・お幸せに・・・・だね・・・と、なんだかおかしくて、笑った。きっと私やモッコちゃんのことも、親戚からみたら「不安要因」なのだろうな、ということを少しだけ思う。


INDEX
[2008/08/26]
ハウスキーパー
[2008/08/20]
オトコジャパン
[2008/08/10]
お久しぶりのご挨拶。
[2008/05/30]
女の罪、男の罪
[2008/05/19]
母としてのわたし
[2008/04/30]
運動と嘘
[2008/04/22]
掃除機ロボット
[2008/04/09]
深夜の病院で
[2008/03/22]
ドラマ「斉藤さん」
[2008/03/21]
ゴメンナサイッ!
北原みのりの書籍はコチラ
これより前のコラムを見る
▼コラム一覧へ戻る  ▲topへ