●人とのつきあい方。

先日、ある人を取材した時、その人が「基本的に、人間が好きなんです」というようなことをおっしゃった。「それって、例えば、どういうことでしょう?」と聞こうとしたら、同席していた人が「人間が好きな人に、悪い人はいないですよね」みたいなことを言うので、なんだか意味を問うのも、反論するのもできない空気になってしまって、そのままになってしまった。
以前もこのコラムで書いたことがあるけれど、「人間が好き」っていう言葉を聞くと、私、軽く、混乱する。

猫が好き、とは言える(これ以上、愛らしい生き物を私は知りません)。シロクマ、浅く知っている程度だけど好き、とは言える。ハムスターは嫌い、と言える。象は好き。パンダはふつう。チワワは嫌い。柴犬は好き。キリンは・・・・好きでも嫌いでもない。よく知らない。
さて、その勢いで「人間は!?」と自分に問うてみようっ! と敢えて軽さを演出しながら自分に聞いてみたけれど、やっぱりうぅと詰まる。好きな人、嫌いな人がいます、という平凡な答えを苦しまみれに出してはみるが、どうも歯切れが悪いです。

人間。どちらかと言うと、緊張します、というのが私の一番シックリくる答えかも。

先日、友人の結婚式に行った。赤坂ミッドタウンの中のオシャレなレストランでの立食パーティー。いつも行ってから気が付くのだ。そういえば、私、立食パーチー、苦手だったぁ、と。席が決まっていて、なつかしい友だちだけで丸いテーブルを囲みながら、新郎新婦の顔を遠目に眺めながら運ばれてくる食事を食べ続ける、そんな保守的な結婚式がいいな、と思った。だって。始まってほぼ1時間、私は誰ともお話ができなかったんだもの。立食パーティーって、コミュニケーション力を試される場だからね。

久しぶりに出会った知人たちの名前が思い浮かばなくて話しかけられなかったり、話かけようと思って近づくと、その人が誰かと楽しげに話しはじめたりしちゃってオロオロ(文字通り)した。お皿をもってハムを食べたり、ワインをチビチビ飲みながら外を眺めたり、お祝いのスピーチをする人の目の前で熱心に話しを聞いたり(するふり)しながら、「このまま誰とも話さないで帰ろう」という決意をしたとたんに気が楽になったりする自分をバカバカしく思った。私は子どもっぽい。自意識過剰で、気軽じゃなくて、人の目を見て話せない。(「人の目を見て話せない人は、心に何らかの問題がある」ということって、よく言われるけれど、私は人の目を真っ直ぐ見てそらさないように話す人が、ちょっと怖いです。)

子どもの時のスキー教室を思い出した。一人で参加したスキー教室。初対面なのに気安くしゃべりかけてきてくる子どもたちが怖くて(自分も子どもだけど)、「私のこと、誰か違う人と勘違いしているのかな?」と、半日ほど疑いながら会話していた自分を思い出す。あの時に感じた、「気安いコミュニケーション」に感じる違和感みたいなものを私はまだ抱えているんだなぁ、なんて思った。一方、結婚式に来ていた知人の多くは大人だった。「みのりさん、久しぶり。元気そうだね」とやさしく話しかけてきてくれた知人たちと、私のこの違いはなに?  私はいったい、いつになったら「慣れる」んだろう、いろんなことに。急に、「人生」を反省したくなった。

最近のこと。知人に預けた荷物が予定日を過ぎても返ってこなかったので、どうした? と、何度かメールや電話をしたのが、全く返事がなかった。心配になって、職場に電話をしたら、「もう返しましたけど」と少し苛立った声が返ってきた。返ってきてないよ、調べて、とお願いしたが、なかなか連絡がなかった。再度催促すると、ようやく「違う住所に送っていた。戻ってきてたので、送り返します」と言われた。それからまた3日ほど経ったので、「まだ、返ってきてないんだけど?」と電話すると、「荷物がですか?」と言われた。荷物以外に何があるんだろう・・・と思ったけれど、そう荷物が、と答えて、調べてね、とお願いしたけれど。それからまた2日間、連絡がない。

例えば、こういう時に、どうすればいいんだろう、ということが、私はよく分からない。
パートナーのモッコチャンは、「しょせん、その程度の人だよ。ほっておけば?」と言う。が、私は、「その程度の人」という風に、決めつけることができなくて、「私はこういう思いで、不安でおります。私はこういう思いで、あなたにガッカリしました。私はこういう思いで、あなたに誠実に対応していただきたいのです」という自分の思いを伝えたくてたまらない。でも、そういう風に思いを込めれば込めるほど、人からは疎ましく思われるものだ、という経験があると、なかなかそういうこともできなくて、そっとミクシーをのぞく・・・というような、やはり子どもっぽい態度を取ってしまうのであった。

例えば・・・こういうような話が、私、とても多い気がする。信頼できて、話が通じて、言葉が交わせるわずかな、本当に限られたわずかな友人がいればいいんだ、と思いながら、なんでこんなにも「意味が分からないこと」って多いんだろう、と戸惑う。人とのつきあい方が分からない。
「ねぇ? どうしよう。どうやって、人と話していいのか、分からない。立食パーティーで何を話せばいいのか分からない。友だちに不信を持ったとき、どう接すればいいのか、分からない」
深刻な顔でモッコちゃんに聞くと「40間際になって、そんなことで悩んでいるの?」
と本当に驚かれた。「それって、10代で悩むことだよ」と。
そうなの? 


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[2008/10/01]
愛せない、という罪悪感
[2008/09/24]
男女平等というルール
[2008/09/17]
ワガママなわたし
[2008/09/09]
女の候補者
[2008/09/02]
セックス・アンド・ザ・シティな夜。
[2008/08/26]
ハウスキーパー
[2008/08/20]
オトコジャパン
[2008/08/10]
お久しぶりのご挨拶。
[2008/05/30]
女の罪、男の罪
[2008/05/19]
母としてのわたし
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