●あけましておめでとうございます。

はい、おめでとうございます!
リレーエッセー、着々と進む中ですが、ここでご挨拶。あけましておめでとうございますっ!
今年もよろしくお願いいたします。
さきほど、テレビ東京で「オトコの事情×オンナの事情」という番組が放送されました。くだらなく、そして素晴らしい番組でした・・・。テレビであそこまで女子オナニーについて取り組めるなんて・・・。私は「笑える」女子オナニー番組、初めて見ました。少し前MLでも記しましたが「女子オナニー」への嫌悪からか、スポンサーが降りてしまいお蔵入りになりかけたものを・・・スタッフの方の努力で放送することができたのでした。お疲れ様でした。及川奈緒さんがステキで・・・出演できて本当に嬉しかったです。私は私が美人だったらよかったのに、と反省しました。

そんな中・・・昨日、銀座のデパ地下でリンゴを買いました。リンゴ。一個1200円。ばかげてる、と思いましたが、あまりにもキレイなリンゴだったので一つだけ手に取りました。レジに並びました。前後に並ぶのは、お金持ちそうな”ご婦人”方。会社の帰りとか通りすがりという調子ではなく、デパートの地下で一本300円のネギを買う人にはどんな生活があるのでしょう。しばし「お金持ち」な想像を巡らしながら、ふと気が付きました。ふだん近所のスーパーでは全く意識しない格差問題に。並ぶ女性とレジ打つ女性。近所のスーパーでは意識されることのない、レジ台を挟んだ女たちの格差。お正月にデパ地下でレジを打つ人と、一個1200円のリンゴが売られるデパートで野菜を買う人たちとの・・・。

そういう目で見ると・・・レジを打つ人たちがとたんに苦労に苦労を重ねてきたような顔に見えてきてしまう。さっきまでは、銀座の一流デパートの地下で、もっともらしく高い野菜を売る時給の高い”セレブレジ”に見えていた女性たちが。
格差問題は、まさに、「比較」する両極の間にある幅のあまりの広さなのだと、改めて思いました。そして、私は・・・・。両極のどちらに立っているわけでもなく、中途半端に「格差問題」を抱え支えている多くの中間層の一人です。
そして中途半端に格差問題に関わっている者としては、レジ打ちの女性を貧乏くさく見てしまう自分の傲慢さや、デパートでネギを買う人に対する軽い嫉妬を抱える己とは何者だ・・・な、そんなことくらいしか考えることができなくて、たかがリンゴ一つ買うだけで考えさせられてしまうこんなデパートの地下で買い物をするのは今後やめよう、と決意するくらいなものなのでした。
そして私はもじゃもじゃ考えながらも静かにレジに並び順番を待ちました。
静かに・・・リンゴは私の手に入るはずでした・・・が。事件が起きました。

順番が来た私はリンゴをレジ台に起きました。すると私のリンゴをレジに通したその女性が・・・。年の頃、私と同じかな。40にはまだいかないけれど、30代にしては苦労しすぎたね、というような感じの人。胸には「研修生」のバッチ。働きはじめて間もない同世代の女性です。彼女が、私のリンゴを手に取る前に指を口もとに持っていき、その指をペロっと舌で舐めたのです。そして、その唾液を付けた指でビニールを取りました。その唾液についた指は彼女の利き手だから彼女は取ったビニールを利き手ではない手に持ち替え、唾液のついたその指で私のリンゴを取り上げ、ビニールに入れたのでした。
とっさに私は叫ぶように言っちゃいました。舌を出し指をあてながら、
「これ、止めた方がいいと思う」
しかし彼女の反応はありませんでした。一日中の立ち仕事で疲れたからなのか、もともとそういう人なのか、私が何を言っているのか分からなかったのか、ボーとした顔で私を眺めると、意味が分からないというような顔で
「はぁ」
と気の抜けたような声を出しました。

ここで、ピンと来る人と来ない人がいるかもしれません。私を神経質・・・と思う人がいるかもしれません。
でも・・・私は、指に唾液をつけてビニールや紙類を触る・・・という行為は、正直、嫌煙権と同等な権利で反対を主張したいと思う。煙が健康を害するものであるならば、唾液は気分を害するものであり、もしその唾液の持ち主が風邪をひいていたら感染源の元でもある。だというのに、この世の中には、ちょっと信じがたいほどの数で、指に唾液をつけた手で図書館の本をめくったり、指に唾液をつけたビラを街角で配ったり、指に唾液つけた「住民票」を差し出したり(区役所の・・・オジサン!)・・・という人がいる。それが、「プライベート」な領域で行われるのは全く問題ない、私だって時々はやるよ。でも!! 他人が受け取るソレに、自分の唾液をつけられる神経には、どうどうと嫌唾液権を主張したい。

私は家に帰りました。まっさきにリンゴを洗い、テーブルの上にかざりました。そして呼吸を整えてデパートに電話をしました。2008年、初クレームです。健康じゃなければ、心がまっすぐじゃなければ、邪があっては、クレームをしてはいけません。よけい自分が疲れるだけです。私は、心の底から、ピュアなクレーマーであることを確信してから、電話をかけました。

デパートの青果係の若い男が電話に出ました。彼が現場の責任者だということでした。
「指に唾液をつけて、ビニール袋を取るのは、よくないと思います。食べ物を扱うところなのだから、注意してほしいです」
彼は言いました。
「まことに申し訳ありません。どのレジでしたか?」
「覚えてません。まだ研修生の方でした」
「年配の・・・女性ですね?」
・・・私は戸惑いました。年配、なのだろうか。私と同じ年くらいにしか見えなかったけれど。年配? え? 私も年配か?! 
「・・・・分かりません。女性は女性です。研修生のバッチを付けていらっしゃいました」
「今後、厳しく指導いたします。申し訳ありませんでした」
男は伸び伸びとした、元気いっぱいの声でそう答えました。

電話を切った後、ひどく疲れました。あれだけ呼吸を整えたのに・・・ぐったりしました。
二つの矛盾する気持が交互しています。
デパートの正社員であろう若い男に、研修のバッチを付けた30代の女性は怒られるのだろうか。見たくない図式だ。だいたいなんだよ、年配の女性でしたか、という言い方は。いかにも、年配の女性らしい間違いだ、というような感じでイヤな感じだ。ああ、責任者がせめて女性だったらよかったのに! ああ。
そして一方で、こんな気持も浮かびます。というか、そういう思いがあったから私は電話したのだけれど。・・・仕事をきちんとしてほしいんです、という思い。生ものを扱う職場であるという意識で働いていたら、唾液を指につけることはしないんじゃないか、という「人間」というものに対する信頼に近いような、そんな思い。仕事に対する「信頼」を損なわないでほしいんです、という思い。

それでも、そんな私が発した私の言葉は届くのでしょうか。
私の言葉は、1000円以上のリンゴを平気で買うお金持ちの、小うるさい小言のようにその若い男の責任者には取られてはいないでしょうか。というよりもむしろ、責任者の男の「年配の女性ですか?」というような問いかけにこそ、クレームをするべきなのじゃないか、という気持にもなったりし、半ば本気で「そういう言い方はちょっとどうなのか」というような電話は何処にかけるべきか、と考える自分のフェミ魂を抑えたりもしているのです。クレームをしてもスッキリするどころか葛藤が深まってゆきます・・・・。

そんな思いで2008年。今年も、たくさんのことに葛藤するんでしょう。言葉の無力さへの絶望と、言葉の力への信頼。その間を葛藤しつつ、このページも記していきたいと思います。今年もよろしくお願いします!


INDEX
[2008/10/01]
愛せない、という罪悪感
[2008/09/24]
男女平等というルール
[2008/09/17]
ワガママなわたし
[2008/09/09]
女の候補者
[2008/09/02]
セックス・アンド・ザ・シティな夜。
[2008/08/26]
ハウスキーパー
[2008/08/20]
オトコジャパン
[2008/08/10]
お久しぶりのご挨拶。
[2008/05/30]
女の罪、男の罪
[2008/05/19]
母としてのわたし
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