●北原みのりからみなさまへ

リレーエッセー、みなさん、ありがとうございましたっ!

私への最後の質問。深井恵美さんから。
「10年後、北原さんはどんなことをしていたいですか? どんなことをしていると思いますか? そして、10年後のLPC、10年後の社会(日本・世界)をどんなふうに想像しますか?」

いただいた時、クスリとしちゃいました。深井さんは高校の先生。生徒に同じようなこと聞いているんじゃないかな、って思ったんです。そして深井さんのクラスを想像しました。私が高校生だったら、どんな風に答えたかなって。そう想像することは、今の私の10年後を考えることもでもあるように思います。

高校生にとって10年後は、絶対に高校生じゃないのよね。ここにはいない、この制服は着ていない、高校生ではない、そういうことがハッキリ分かっている10年後は、私には恐ろしく不安なものでした。毎日が辛かったよ。辛い理由もよく分からなくて辛かったな。何をしたいのかが見えなくて、ただただ長い長い長く見える人生が怖かったです。

だから、受験しようっ、大学に行こうって決めた時は本当に清々しかった。どう生きよう? と考えることをやめたとたん、受験勉強して偏差値を上げる、ということだけを考えればよい状況に、陶酔しました。ついでにダイエットもした。サムライの気分で、腰にサラシを巻いてお腹をへっこませて、食事は母がつくってくれるお弁当を昼・夜に分けて食べる。一日18時間勉強しました。アドレナリン出しっぱなしで、ずっとハイよ。
ついでに、私が受験をしようと決めたのは高校3年生の9月。試験まで3ヶ月しかないからすごい集中力で勉強したよ。体重は3ヶ月で12キロ落ち、偏差値は40もあがった。津田梅子のお墓まで行き「私を入れてください」って1時間くらい跪いてた。怖いね。でも気持よかったよ。生きているっという実感をしたもんです。

それでも、その勉強をしながら私、誓ったことがあるのね。
「こんな時間の潰し方をしないですむ人生を送りたい」
数字を上げたり下げたりすることは、快感を見いだしやすい。でもそうじゃなくて、本当に好きなことをやっている自分をエライねー、と言いたいよぉって。そう、でもねぇ、本当に好きなことをやって「エライエライっ」と自分を誉められる瞬間ってなかなかないものなんだよね。

誰もが認める才能がある人はいい。でもそうではない時、自分自身でその才能を育てていく力や、自分自身で自分が好きなものを好きと言える感性を育てていく力がなければいけないから。才能や好きなものは、ふって沸いては出てきてくれない。見つけて、育てる。その、丁寧な作業をしていかなければならぬのです。そしてたいていの人は、その丁寧な作業を諦めてしまっているように思う。私自身も含めて。

そんなことを考えるのも、私は今でも「本当に好きなことをしている?」という恐れに時々苛まれることがあるから。もちろん、仕事は好き。ラブピースクラブも好き。コラムを書くのも好き。ラジオでしゃべるのも好き。でも、もっと私は自分を知っていきたい、もっと我を忘れるようなものすごく好きなことに出会いたい、とどこかで深く渇望しちゃいない? なーんてことを今更、思ったりするのよ、深井さん。そして私にとっての10年後は、高校生のように「ここにいないことは確実」というような風には見えていない。今とつながる道の先にいる自分がくっきりと見えている。だからこその不安もある。このままなのか、私は。このままでいいのか、私は、と。

でも、この年になれば、”それ”が自然に「外」からやってくるものではないことを知っている。自分の生み出したものによってしか満たされないような幸福のあり方こそが、私が求めているものだと思う。それによってしか人は幸せにはなれないと、思ってる。その「幸せ」のあり方を、私はもっと真摯に追い求めていきたい、というようなことを・・・最近、思うのよね。ああ・ ・・・抽象的だねぇ。まぁ、具体的に言えば、満足できるような仕事をもっとしたい、満足できるようなことをもっともっと生んでいきたい、ということなのよね。

そう。だから私の10年後は、私がもっと私を好きでいられるようでありたい、ということを目標におきましょう。自分を好きな仲間たちと、楽しく10年後もラブピースクラブをやっていけたらいいな、とも。
そして、10年後の世界のことは・・・わからんな。今よりも、いい世界であることは、なんとなくぼんやりとした希望で分かっているような感じがするんだけれども、ね。

ということで、今年もみなさんよろしくです!



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女の罪、男の罪
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母としてのわたし
[2008/04/30]
運動と嘘
[2008/04/22]
掃除機ロボット
[2008/04/09]
深夜の病院で
[2008/03/22]
ドラマ「斉藤さん」
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ゴメンナサイッ!
[2008/03/13]
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