●橋下知事のこと

NHKに出演した橋下大阪府知事が、30分遅れでいらっしゃいました、と自分を迎えたアナウンサーに腹を立て、「NHKのスタジオには今後一切、出演しない」と怒っているのをテレビで観た。
驚きました。
こういう「やりとりのスレチガイから感じるストレス」や「相手の言葉の選び方に対する違和感」を公共の電波を使って、怒ってもいいもんなんでしょうか。

仕事上で腹を立てたら、その時に相手に対して異議を唱えればいいじゃないの。対等な立場で怒ればいいじゃないの。と思う私には、あまりにも不可思議で、横暴で、勘違いな行為にみえる。しかも「30分遅れでいらっしゃいました」と言ったのが女のアナウンサーだったってことにも、意味があるんだと思う。みのもんたに同じ事を言われても、きっと橋下知事はここまで怒らない。

また、先日、某テレビ番組でジャーナリストの江川紹子さんが、「図書館以外の公共の施設は全部、不要なのか?」と橋下知事に突っ込んだところ、橋下知事がキレたことがネットのニュースで伝えられている。これも、江川紹子さんではなく、有田芳生さんあたりに言われたら、ブチ切れずに冷静に対応したのではないか。実際テレビを観た人の意見では、「男性」と「女性」に対する話し方が違い過ぎる、というものもある。その番組では江川さんに対してだけ高圧的で威圧的な物言いだったと。

相手の性別によって話し方を変える人というのは、男女問わずいる。女からの意見や、反論や、ツッコミに不慣れであり、女からの率直な意見を「失礼」だと感じる感性を持つ男はたくさんいる。そして、橋下知事もこういう類の男の一人であるということなのだろう。

さて。NHKに怒りまくった数日後、橋下知事は大阪府の高校を訪れ「社会で一番大切なのは、挨拶だ」と力説していた。「だから、オレはNHKに怒ったんだよ」とも。アーバカバカシイ、とテレビのチャンネルを変えようとした瞬間、私は驚いた。文字通り、テレビの前でのけぞった。

橋下知事の学校訪問後の記者会見での一言。
「大学を出てから初めて、学校に足を踏み入れました。現場をみなければ分からないものです。ボクは机上の空論を述べていました。自分自身が反論していた机上の空論をやってしまっていたことが分かりました!」

潔く反省もできるオレ、というパフォーマンスにしか見えない薄っぺらさ・・・に驚いたのではなく、学校を出てから一度も学校に行ったことがないというそのことに、私はヒエーと叫んで、そばにいたネコのしっぽを踏みました。

だって、この人、7人、子どもいるんでしょう?
一度も・・・一度も・・・一度も・・・学校に行ったことがないの? 
妻と一緒に親として学校教育論を真剣に考えたことはないの? 親として学校に足を踏み入れる機会はたくさんあるだろうに・・・一度もなかったの?

少し前のことになるけれど、映画監督の河瀬直美さんのインタビュー番組で、男性プロデューサーが河瀬監督の「凄さ」に感動し得意げに話していた一言が衝撃的だった。保育園に子供を送り迎えする河瀬さんの映像とともに・・・
「カンヌで賞を取るような監督が、保育園の送り迎えをするなんて」

そうか、と。その時私は長年の謎がとけたように感じた。
なぜ、男は自分の子供なのに子育てに女ほど関わろうとしないのか、という謎。
「忙しい」「時間がない」というよく聞く言い訳が謎だったのだ。だって女にだって体力の限界はあるし、時間は平等に限られている。それなのに共働きの夫婦でおいてさえ、妻に子育ての比重や責任が大きくのしかかってくるカップルが多い理由はなぜ?
その謎が解けた。
「俺の方が仕事が忙しいから」ではなく、「俺の方が社会的な地位があるから」だったのである。・・・意味わからないけれど・・・そういうこと。そんな理由で保育園の送り迎えをしないということもあるのだな、と。少なくとも、河瀬直美監督を紹介した男性プロデューサーは、プロデューサーでエライから送り迎えはしなかったのかな、と。
そんなことを、橋下知事の発言でふと思い出した。橋下知事は保育園にも小学校にも、送り迎えはせず、また授業参観も、また妻からの「学校でこんな問題が起きていて・・・」というような相談も・・・「女の仕事」としてやらず、触れず、考えずに生きてこられたのではないか、と。子供が7人いるのに学校に一度も行かないですまされる母親はいないよ。

・・・・と話が脱線してしまったけれど。橋下知事。30代。若くみえ、改革派にみえ、とにかく何でもやってやろうっ! というような勢いは感じる。けれど、その勢いの先になにがあるのか。その勢いを支えているのは、「俺は、俺だ、俺は男だ」というようなあまり意味のない自負でしかないのではないか、というように思う。政治家として、お前は何者だ、ということが問われる時。この人の薄っぺらさはすぐに剥がれてしまうのではないか。

最後に、インターネットのあるサイトで「橋下知事は、『男』か『子供』か」と投票しているページがあった。ココ。橋下知事はNHKに対して立派にものもうした「男」なのか、それとも単なるわがままな「子供」なのか、と。もうっ、この問いかけ、変だから! 「侠=オトコ」という現実にはいないファンタジーとしての「男」と、生物学上の「男」の区別をしっかりしてもらわないと困ります! 「男」が「男」であるだけで立派だという勘違い、やめてほしいです。いいこと、ちっともないから・・・。
敢えて言うけど、橋下知事、私にとっては男の中の男です。ニッポン男児の悪い面を総結集さえた類の男の中の男。こういう男の中の男の人が、女の生き方や、子供の生き方や、男以外の生き方を想像する力を失ったまま政治の中で力をつけていくことが、私はコワイです。


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[2008/04/30]
運動と嘘
[2008/04/22]
掃除機ロボット
[2008/04/09]
深夜の病院で
[2008/03/22]
ドラマ「斉藤さん」
[2008/03/21]
ゴメンナサイッ!
[2008/03/13]
「恥」ということ。
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一言。お知らせ。
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