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TALK ABOUT THIS WORLD! ドイツ編
日本人だって外国人
18.03.09 by 中沢あき



年末に一時帰国していたときのこと。「ドイツは難民の人がたくさん来ちゃって大変なんですってね!」と家族団らんの際に母が言った。その話のネタ元は、母の知人の娘さんでドイツ人男性と結婚し、ドイツに住んでいるという人が、夫婦揃って日本の実家に遊びに来たときにこんな話をしたんだそうだ。
私たちの町にも難民がたくさんやってきて、大変なの、と娘さん。ほんと、ドイツはこんなことになっちゃって、日本の方がいいですよ、とそのドイツ人夫。

またか…。難民はたしかにたくさんどこの町にもやってきたけど、普段の私たちの日常生活の中で大きな影響はないよ、とこれまでもたびたび母に話してきたのにこれである。人から聞いた話をセンセーショナルに語る母に、私も夫も困惑し、いや、私たちのところはそんなことはないけど、と否定をし、そんな伝え聞きの井戸端話を扇動的に話すもんじゃない、と母にも釘を刺しておいたのだが。他人の娘の話は衝撃的に聞こえるのに、肝心の自分の娘の話は頭に残ってないんだなーと脱力…。

ちなみにその娘さんが住んでいるのは日本人街があることで有名な大都市である。私の住む街と同じく、その大都市にも難民はたしかにやってきているのだろうが、その娘さんたちが難民が多く収容されている地区やその側に住んでいるとはあまり考えにくい。なぜならその街では、日本人や日本人と関わりのある人たちが好んで住んでいるのはたいてい、そこそこ、いやだいぶ収入なども安定した家庭が多い地区だからだ。

大変って何がだろう?税金負担が増える、とかそういうことかな?日本の方がいいって、お世辞じゃなくて本気?と、同じく在ドイツの私は突っ込みたくなるが、私が直接聞いた話じゃないので、なんともいえない。もしかしたら本当に難民の人に出会って、何か嫌な思いでもしたんだろうか。がしかし、町中で難民の人とすれ違っても、その人が本当に難民かを知るには、直接本人に訊くか、または何事かが起こって、身元調査でもしなければわからない。つまり、ぱっと見た目だけでは、アラブ系やらアフリカ系やらの人は普通に町中を歩いているし、彼らは既に移民として長年住んでいる人であったり、またはドイツで生まれ育った人だっているのだから、外見だけではそう簡単にはわからないことも多い。

たしかに難民の大量流入以降、全く何のトラブルがなかったわけではない。難民の人が起こした犯罪事件も起きている。が、全体として、難民が来たから犯罪が増えた、ということはないという統計は既に出ている。とはいえ、実際にネガティブな感情を抱く人だっているんだろうし、偏見だってあるだろう。それがドイツ人であれば、自分たちの国なのに、という思いがある人もいるのも、受入れ難いことだが存在するのはわかる。
が、私自身は在独の日本人として、移民や難民のことを見下げたように話す日本人を情けないと思う。ときどき出会うのだ。この辺はトルコ人が多いから、とか、難民が来て困る、とか、眉をひそめて悲劇的に語る日本人が。でもよくよく話を聞くと、彼らのほとんどが、自分自身で経験した話をしているわけではなくって、そういう話を聞いている、という伝え聞きのケースが多い。つまりドイツに住んでいるのに、ドイツに住んでいない私の母と同じように伝え聞きの話をセンセーショナルに話すのだ。やれやれ。

そもそも難民に限らず、ドイツは移民も含め、この国にやってくる多くの外国人に扉を開いてきたように思う。例えば大学などの高等教育は外国人にも同じ条件で機会が与えられる。つまり、学費は外国人もドイツ人と同じなのだ。尚、学費といっても、その内訳は学生に発効される学区域の交通機関利用パスだったりと経費的なもので、いわゆる授業料はほぼ無料である。外国人となるとその学費が何倍も高額になる、英国の制度とは違う。ドイツの高等教育や研究機関は各分野で名高い所が多い。その恩恵を受けた日本人留学生も多いはずだ。滞在査証の取得も少しずつではあるが難しくなってきているという話を聞くものの、最低所得額の条件などが厳しい他の欧州の国々に比べたら、まだハードルは低いほうだと思える。

またいつかあらためて書きたいと思うが、哀しいかな、人間にはどうも、他人との差を比べ、そのヒエラルキーの中ででアイデンティティを確認しようとする性分があると思う。そしてなぜだか日本人には、欧州や米国以外の国々の人を見下す人がいる。その妙な特別意識はどこから来るのか不思議なのだが、驚くくらい、それを明確に出す人がときどきいる。(しかし本人はおそらくそのことに全く気がついていない)

ちなみに件の母の知人の娘さんはかつてドイツに音楽留学をしていた人だそうだ。彼女がクラシック音楽の本場で豊かな教育を受けられたのは、外国人に対して扉を開くこの国であったからである。その姿勢は難民へも手を差し伸べようとしたこととも根底で繋がる。もちろん、外国人留学生を多く受け入れる背景には、ドイツ文化を学び、それを自国に持ち返って世界に広めてもらいたいという文化政策の思惑もある。難民に手を差し伸べたのは、彼らが来る高齢化社会のドイツの経済を支える可能性があるという思惑もある。それでも、私たち日本人もその恩恵を少なからず受けている外国人である、ということを忘れないでいるべきだ。

そんなドイツ社会であるからこそ、日本人の私たちもここにいられるのだ、ということを忘れずに、難民や移民政策にもできるだけ理解を示していくべきだ。そうでないといつか、外国人もドイツ人と同じ利益を得るのは不当だ、という思想がこの社会に広まってしまったりしたら、その矛先は日本人にだけは向かない、なんてこと、誰が言えるだろうか?


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© Aki Nakazawa
真ん中奥に見えるのは、現在は難民の収容施設として使われてる、市が管理する古い建物。市内の中心部にも近い我が家から数百メートルの場所です。急に増えた難民向けの住居は、空いている建物を可能な限り利用していかなければならない状況なので、こうして町中にも彼らの住居があります。別に郊外だけに隔離されているわけではないのです。というわけで、普段気づかないうちに、難民の人たちも、私たちの町中を歩いていたりするわけで。それによるかすかな変化(ときどき起こる難民が関わった犯罪事件やそれに対する私たちのかすかな不安など)、というのもないわけではありませんが、日本の方がいい、とまで思える程の変化なんて、私は知りません。ほんとかいな…?


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© Aki Nakazawa
この住居は高速道路脇に立っているので結構騒音も大変そう。ちなみにもっと住宅街の中の一角にも収容施設となっている家もあります。

プロフィール
中沢あき
中沢あき(なかざわ・あき)
映像作家、キュレーターとして様々な映像関連の施設やイベントに携わる。2005年より在独。以降、ドイツ及び欧州の映画祭のアドバイザーやコーディネートなどを担当。また自らの作品制作や展示も行っている。その他、ドイツの日常生活や文化の紹介や執筆、翻訳なども手がけている。