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名倉が悪いわけじゃない
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14.07.21 by 田房永子


 深夜にテレビをつけたら衝撃的な番組(「DEEPナイト」)が流れてきた。
 お笑い芸人が司会で、水着姿の無名の女の子たちが18人ほどひな壇に座っている。“タレントのはしくれ達が激ヤバな実話を暴露”というテロップが出ていて、早押しで体験談を話すというものだった。


 私がテレビをつけた時、茶谷伊織というタレントが話し始めたところだった。
 「夜、自転車で帰宅していると、男性が自転車で併走してきた。男性は曲がったはずなのに自分がいる道に戻ってきて追いかけてくるので、『ヤバイ』と思って、猛スピードで漕いだ。スピードが出すぎていたため、曲がりきれずにそのまま人の家の玄関に突っ込んでしまい、自転車ごと倒れた。男性が迫ってきて、男性が自転車を降りた。私、その時ズボンを履いてたんですけど、そのままズボンを脱がされたんですよ」


 男性が何か意外な行動をした、という展開なのかと思ってボーッと聞いていたのに、普通に強姦未遂の話だったので「えーっ!!」と声が出てしまった。
 「本当に怖い時って声が出ないんですよ。傘で抵抗したけど手ではじかれて意味ないし、やっと『助けてー!』って声を出したら、逃げていきました」


 司会の名倉潤が驚きながら「お前よかったなぁー!」と言った。よくねーよ。「その日から、後ろに誰かいたり物音がするのがトラウマになっちゃって、背後恐怖症になっちゃいました」と話す茶谷さん。
 名倉が「ハイ、おひねり一枚」と言った。そして、スタジオにいるバーテンダーの格好をした金髪の白人女性が、茶谷さんの胸の谷間にお札を挟んだ。強姦未遂の体験を話した女の、胸の谷間に、お札を、ご褒美として、挟んだ。そんな映像が流れるんだなあ〜〜! 私が住んでるこの国は〜〜!!


 目がまん丸になって、アングリ開いた口がしばらく閉じられなかった。男による女への性暴力の体験が、こういった形で男の娯楽に変わり、消費するのも男。聞いている男達に、自分がその強姦魔と同じ性であるという自覚があるとは思えない。男はどこまで無邪気に、女をしゃぶり尽くすんだろう・・・。


 あまりにびっくりしすぎて、この回の動画をあとで見てみた。
 ほかの女の子の話もすごかった。「彼氏と自分がいる家に、自分の親友が泊まった時、夜中、彼氏がセックスに誘ってきたけど眠くて寝てしまった。ふと起きると彼氏と親友がセックスしていて『俺とやりたかったんだろ?』という彼の声が聞こえた」という話。それは強姦だと思うのだが、名倉潤は「そんなの親友違うやないか!」と言い、話してる本人も「そうなんです、ひどいですよね」みたいな感じで、「同じ空間で人の彼氏を誘ったひどい親友」みたいな話になっていた。そしてまた、「おひねり一枚」。


 「中学の時、自転車のサドルに精液をかけられた」という女の子の話では、「雨の日、自転車を学校に置いたまま帰ったら、男友達が電話をかけてきて『君の自転車に白いものがかかってる』と報告された」という。結局、犯人はその男子だと思う、という話だったのだが、名倉潤が「その男子、あなたのこと好きやったんやろうね。お尻をつけているサドルだから、妄想してたんやろうね」と言って、「おひねり一枚」。


 ここまでくると名倉潤のブレなさがすごい。彼は常に的確な「普通の男の目線」を保持している。見知らぬ男による強姦犯罪はまるで自然災害のような扱いになり、交友関係内での強姦は「女側が性交を許した」という話になる。学校の校舎内での他人の所有物に対する射精も、「恋心」で片付けられる。都合よすぎだろ! 


しかしこの感覚は社会にじっとりと染み込んでいて、そこをしっかり押さえる感覚が鋭いからこそ、名倉潤は今の日本で重要な司会者の一人として君臨できる。むしろそれがないとこの国では司会者にはなれないだろう。性暴力が性暴力であると認識されずに語られる番組の中で、ほかにも性癖や下着の色の話などをしたあと、最後に名倉は「こんなくだらない内容で大丈夫なのか、うんざりだ」という意味の発言をしていた。男が作ったもののくだらなさに男がうんざりする、という感覚もよくある光景だ。そこに「女」は人としては存在していない。名倉潤が悪いとかそういう話じゃない。番組内のおひねり制度も彼の発案というわけではないだろう。だた彼はとにかく、一般男性からブレていない、というだけなのである。

プロフィール
田房永子
田房永子(たぶさ・えいこ)
漫画家・ライター
1978年 東京都生まれ。漫画家。武蔵野美術大学短期大学部美術科卒。2000年漫画家デビュー。翌年第3回アックスマンガ新人賞佳作受賞。2005年からエロスポットに潜入するレポート漫画家として男性向けエロ本に多数連載を持つ。男性の望むエロへの違和感が爆発し、2010年より女性向け媒体で漫画や文章を描き始める。2012年に発行した、実母との戦いを描いた「母がしんどい」(KADOKAWA 中経出版)が反響を呼ぶ。著書に、誰も教えてくれなかった妊娠・出産・育児・産後の夫婦についてを描いた「ママだって、人間」(河出書房新社)がある。他にも、しんどい母を持つ人にインタビューする「うちの母ってヘンですか?」、呪いを抜いて自分を好きになる「呪詛抜きダイエット」、90年代の東京の女子校生活を描いた「青春☆ナインティーズ」等のコミックエッセイを連載中。