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女子中高生に固執する成人男性たち
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15.10.21 by 田房永子



このコラムに何度も書いていますが、私は中高生の頃、登校中や下校中、休日に出かけた先、至る所で、見知らぬ成人男性たちにあとを着けられたり、やけに楽しそうに声をかけられたり(ナンパではなく「このへん危ないから送りますよ」等、親切をしていますよ、という内容の声かけ)触られたり体をくっつけられたり勝手に写真を撮られたりした。
 毎日毎日どこからともなく、そういった見知らぬ成人男性が湧いて出てくるのである。周りの友人たちもそんな感じだった。つまり女子中高生に嫌がらせをする成人男性がとんでもない数、存在するということである。


 最近、とあるイラストがツイッターのTLに流れてきた。
 それは、街で見かけた女子中学生を美少女ゲーム風のイラストに起こしたもの。制服の小さいマークや、服の袖などのデザインの細部に渡り、胸や尻の大きさ、髪の毛の匂い、素朴な表情や動作、スカートが風で揺れて見えたふともも、などが注釈付きで細かく書かれている。イラストは1万件近くファボられている。
 見た時、私は「うわあ」と思った。このイラストが本当に実際の女子中学生をもとに書かれているとしたら、相当、じーーーーーーーーっと観察してると思う。
 書くことやそれをネットにアップすること、10代以下の女子にときめく気持ち自体を、私は否定したいわけではない。このようなアカウントを断罪せよという話にはしたくない。
 ただ、そのアカウントの記述を見ていると、
「ああ、なるほど・・・・・・あの“見知らぬ成人男性たち”はこういった視点で、心理で、私や私の友人たちを見ていたんだ」
 というのがすごくよく分かるのである。


 そのアカウントの記述を書いている人をA氏と呼ぶことにする。一人でイラストを書きこのアカウントにアップしているようだ。3万人以上のフォロワーがいる。A氏のツイッターをさかのぼって読んでみた。
 ある日のA氏は、道ばたで見かけた「JC(女子中学生)」と一瞬目が合った。そのJCに「キモイ!」と言われたという。そのエピソードを漫画に書いていた。
 A氏はその件で大変落ち込み、「チラっと見ただけなのに・・・」と綴る。
 私はもちろん、A氏がどんな人なのか知らない。成人男性だと思われるが、確実にそうだとは言えないし、この内容が本当のことなのかどうかも分からない。
 だけど、実際にこういうことが起こったと考えることにする。
 この流れからいって、たぶん、A氏は、絶対、「チラッと見ただけ」って感じじゃないと思う。かなり、じーーーーっと見てるか実際いろいろなものが含められた視線であるはずだ。私の記憶の中に、これと同じ視線が大量に保存されている。それらとこの記述が一致した。やっぱり、本人はそんなにじっと見てるつもりないんだなあ、と思った。


 長年、痴漢行為がやめられず何度も逮捕され、治療を受けて「元痴漢加害者」になった人に話を聞いたことがある。
「昔は電車に乗るだけで不思議と女性たちがぱーっと自分から離れていった。その時はそんなつもりなかったけど、今思い返してみると、普段から相当、女の人というものをすごくジロジロ見てたんだと思う。今は見ないから、女の人たちが散っていくこともない」
 と言っていた。
「見る」という行為は、まず第一歩、だと思う。いきなり触ったりなんだりしてるわけじゃないのである。まず、ものすごい見てるのである。


 事務のアルバイトをしていた24歳の時、職場でものすごい見てくる人がいた。もうハンパなく見てくる。すぐ隣の席の人だったんだけど、私が席に戻ってくるだけで、グイーンと首をこちらに向け、わざわざ私の全身が視界に入るように自分のイスを少し後ろに移動し、ハッキリと首を上下させながら、しかもニンマリした表情で、信じられないほど明白に、私の体を見る。
 そうやって見られるのは言葉で言い表せないほど気持ちが悪く、尻の底から嫌悪感が一気に昇り上がり、全身の毛穴から噴出する。その勢いと同時に大きな奇声を張り上げたくなる。自分の体から発散されるそのパワー自体もストレスだが、それを一人で必死抑えてこらえて何事もないかのように振る舞わなければいけない労力、それがものすごく自分の心身に負担をかける。
 私は露骨にイヤーーな顔をしているし、大きなため息をついたり、普段の態度もそっけなくしている。それでもぜんぜん関係ないのである。
 別にその人になんの恨みもないから、私のその「あなたは行きすぎた行動をしている、やめてほしい」というメッセージを込めた態度で「あ、俺、なんか気持ち悪かったかな」と気付いて改めてくれればいいだけである。


 だが問題なのは、そのジロジロ見る本人は、オノレ自身のことを爽やか青年だと確信していることだった。男性社員の中では自分が一番、女子から親しみを持たれている、と信じ込んだ状態で堂々と接してくる。こっちは嫌ってる態度丸出しなのに、「俺が一番頼られてる」前提の言動をしてくる。大丈夫か?と心配になるほどヤバい。無意識な感じで尻などをじーーーっと見て、その数十秒後には、健全な職場に見合ったほがらかな世間話をしてくる。その人の意識と無意識の分裂具合がめちゃくちゃすぎるのと、社員のあいだではマトモな人として成立している状況が恐ろしかった。


 こんな風に体を見られるのは、相手が老若男女誰であろうとイヤなものだと思う。イケメンならいいんだろう、という言い草がある。いま、上記の男性社員が福山雅治や玉木宏のような極上のイケメンだったら、と想像してみた。どうにも想像がつかない。彼らとそういう行動が結びつかない(イケメンとジロ見は両立しない。そういう行動をしている時点でイケメンと認識されにくい)し、1〜2回はよくてもやはり3ヶ月、半年、1年のスパンで日常的にそういった行動をしてきたら、イケメンであっても、いやイケメンなら尚「イケメンなのに」と気持ち悪さが複雑化するだけのような気がする。


 その男性社員は他にもその手のことがいろいろあったので、もうどうにも耐えられなくなり同じバイトの女の子と一緒にセクハラ相談課に行き相談した。すると、どう耳に入ったのか分からないが、その男性社員は私たちバイトに突然ブチ切れてきたり、怒りを露わにした態度をとってくるようになった。
 私としては、席も遠くに変えてもらえたし、尻なども見られなくなったので快適なバイト生活に戻れて助かった。


 そして話はA氏に戻る。女子中学生から「キモイ!」と言われたA氏は、「このままではJCのイメージが総崩れになってしまう」と書いていた。
 さらにその後、「○○県は女の子の気が強くてだめだから、隣の××県に行って女学生を見て癒やされてくる」とツイート。そして停車中の車の中からセーラー服の女子中学生を見つけ、クラクションを鳴らすA氏。「鳴らしたらこっちを向いてくれた!嬉しい!」と報告していた。 
 こういう人って、勝手に街をコンサート会場にしてるんだなあと思った。歩いてる女の子をアイドルかなんかだと思ってる。感覚的にはステージ上のアイドルと目が合ったというのと同じレアな状況を感じているのだろうけれども、街なかでクラクションを鳴らせば犬でもおじいちゃんでも振り向く。言ってみればコンサート会場の自分の座席で火や爆発を起こしてアイドルの目線をこちらに向けているのと同じである。
 そのクラクションツイートに対し、フォロワーたちから「停車中のクラクションは違反だ」と指摘されたA氏は、「警察にいって自首して減点されてきた」とツイートで報告していた。A氏のような人たちは、法律を大変気にかけているように思う。


 私が中学2年の時、街に「痴漢は犯罪です」のポスターが貼られ出した。それと同時に「手のひらで触ったら有罪」という警察だか裁判官だかが決めたルールが出回り、大人の男の人たちが「手の甲なら無罪」とやたらと主張していた光景を覚えている。テレビだったかなんだか分からないが、とにかくこの頃、「電車内痴漢は手の甲なら無罪」という認識が世の中に出回った。
 だけど、それは加害者側の、そしてそれを裁く側のルールである。被害者側からしたら、ひらだろうが甲だろうが、「本来、安全に乗って過ごせる電車内で気持ち悪い、怖い思いをさせられる(保有する安全、安心を盗まれる)」ということが被害なのである。
 しかしA氏のような人たちは、自分の言動をセーブする基準を「法律」に設定しているので、当の女子中高生が自分の言動に対して何を感じ、どう思っているかについて思いを巡らすことがガッポリ抜けている。こんなに、女子中高生に興味を持っているのに。


 自分は犯罪者ではない、というところが彼らの行動についてとても重要なんだと思う。だから他のことはすごく常識的で正義感にあふれている。自分の趣味・嗜好・性癖が一般的には「キモい」と言われるものだということも重々わきまえている。それでも彼らはそれを“表現”しないと生きていけない、と自分で分かっている。他の大人に対しての対応は完璧であり、精神力も強靱で、ポジティブであり、頭脳明晰で戦い方もうまい。
 だから、女子中高生のほとんどが自分らに、害虫的な気味悪さ・唐突さ・迷惑さしか感じないということに、全く気付いてないはずないと思う。だけどないことにして、その事実を脳内でかき消しかき消し、近づいていく。自分ではこれを迷惑行為だと思っていない、だから迷惑だと思わないでほしい、ふりでもいいから、という無理な要求を出しながら、近づく。


 A氏はイラストやツイートで、電車のホームやバスや駅の待合室のベンチなどで自分の隣に女子中高生が座っていることを「隣に座って来た」「隣に座ってくる」「警戒心のない子」と書く。
 確かに、自分が座ってるベンチの隣にイケメンが座ったら、「イケメンが座って来た」という文は文法的にはおかしくはない気がする。しかし・・・。
 私の邪推なのだけど、やっぱりこういう人たちは普段から女子中高生をめっちゃジロジロ見てるから女子中高生に露骨に警戒されることが普通になっているのではないだろうか。だから公共のベンチで隣に座っただけで「座って来た」(俺の隣に座りに来た、近づいてきた)という言い回しになるのではないだろうか。自分がめちゃくちゃ見るからパーッと女の子が散ってるだけなのに、自分はそんなに見てるつもりがないから「女の子=警戒心が強い生き物」と認識していて、だから自分の隣に普通にいる子を「警戒心のない子」と感じるのではないだろうか。
 そしてフォロワーたちの一部はそんな彼のイラストに対し「声をかけてみては」「気があるのでは?」「俺だったら声かけちゃう」とリプライを飛ばす。


 過去の、見知らぬ成人男性たちはいつでもどこでも単独だった。必ず一人で行動していた。一体どんな生活を送っている人なのか同年代の友達がいたりするのか謎だったが、きっと彼らには励まし合ったり自慢しあう仲間はたくさんいたんだなあ、と思った。


 彼らは、自分の思い描くような女子中高生と、自分の思い描くようなシチュエーションでの交流は、したいと思っているんじゃないだろうか。その思い描くイメージがあまりにも確立されすぎていて、ちょっとでも「生身の反応」がそれと違っているだけでガラガラと崩れてしまう。だから別に触りたいとか付き合いたいとかじゃなくて、見るだけ、がちょうどよい、という人もいるんじゃないだろうか。
 謎が解けていく。大人は誰も説明してくれなかった、見知らぬ成人男性たちのあの表情、あの言動。「あの〜、あ、怪しいもんじゃないんですよ(笑)いえ、僕もね、同じ方向なもんで、ちょっとお話しながら歩きませんか? いえ、変な意味はないんです」とニコニコしながら暗い道で話しかけてきたあの男のセリフ。エロ目的の「ナンパ」とは明らかに違って、目的が分からないからもっともっと気持ち悪い感じ。
 あれは、「俺のイメージを崩さない程度に、君と交流させてください」という、超一方的な、向こうの必要な部分だけを私の中から強引に搾り取ろうとする行動だったんだなあ。 
 なんかあるかも、って思ってるんだろう。恋愛とかセックスじゃなくても、ピュアな心の交流みたいな、一方的に持っているイメージのことが起こるんじゃないかって、信じてるんだろう。
 起こらない、滅多に・・・。起こらないからこそ、ギャンブル性が刺激されるんだろうけど、もし、その思い通りのシチュエーションが体験できたとしても、それまでに多くの女子に多大な恐怖と嫌悪を感じさせていることを知るべきである。自覚を持つべきである。それが大人のマナーである。そうじゃなきゃ、その賭けをしてはいけない・・・。




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プロフィール
田房永子
田房永子(たぶさ・えいこ)
漫画家・ライター
1978年 東京都生まれ。漫画家。武蔵野美術大学短期大学部美術科卒。2000年漫画家デビュー。翌年第3回アックスマンガ新人賞佳作受賞。2005年からエロスポットに潜入するレポート漫画家として男性向けエロ本に多数連載を持つ。男性の望むエロへの違和感が爆発し、2010年より女性向け媒体で漫画や文章を描き始める。2012年に発行した、実母との戦いを描いた「母がしんどい」(KADOKAWA 中経出版)が反響を呼ぶ。著書に、誰も教えてくれなかった妊娠・出産・育児・産後の夫婦についてを描いた「ママだって、人間」(河出書房新社)がある。他にも、しんどい母を持つ人にインタビューする「うちの母ってヘンですか?」、呪いを抜いて自分を好きになる「呪詛抜きダイエット」、90年代の東京の女子校生活を描いた「青春☆ナインティーズ」等のコミックエッセイを連載中。