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パンテーンのCMが気持ち悪い
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16.03.10 by 田房永子



 パンテーンシャンプーの「バージンヘア対決」っていうCM、ものっすごく気持ちが悪い。最初見た時に「あ? 気持ち悪ッ」って思ったけど、なんか見なかったことにした。その後もネット(勝手に流れてくる)やテレビ(勝手に流れてくる) で見ても、その間だけは心を無にしてた。でもやっぱ、なにが気持ち悪いのか、書きたくなりました。


 CMの内容は、「パーマやカラーを繰り返す女優の綾瀬はるかの髪と、バージンヘア(パーマなどの加工を一切したことがない髪という意味)女子中学生の髪、同じくらい輝いてるぅ?」という、髪の輝き対決をするものです。
 つまりいろいろ髪をいじくりまくった女優でも、パンテーンを使うことによって、女子中学生と同じバージンヘアに到達できます、という主張をする広告なんですよね。
 どこが気持ち悪いのか、ってどこから説明していいか分からないくらいなんだけど、まずやっぱ「バージンヘア」って言葉と、それの代表として女子中学生が一人だけ出てくるところ。セーラー服で。ほんとキモい、なんでこんなにキモいのか分からないくらいキモい。
 なんで単独の「女子中学生」なのか、高校生じゃだめなんですか、30代40代でもバージンヘアの女性はたくさんいるんじゃないですか、その人じゃだめなんですか、赤ちゃんや幼児や小学生じゃだめなんですか、むしろ本当のバージンヘアって野球部員の5分刈りの男子が適任なんじゃないですか、あれ生えたてじゃないですか、生えてすぐ刈って生えてを繰り返してるんだから野球部員の1センチくらいの髪が人類で一番輝いてるんじゃないですか、それに比べたら女子中学生の髪なんて整髪料とかドライヤーで痛みまくってるんじゃないですか、野球部員じゃだめなんですか、と蓮舫さんばりに質問攻めしたくなるんですよね。


 なんで「バージンヘア」代表なのが女子中学生で決定したのか、って考えると、小学生だと子どもすぎる、高校生・大学生だと髪の毛いじくってる人が多いだろう、ってツッコミが入りそう、っていうので女子中学生になったんだと思うんですよ。つまりここで代表を女子中学生にするのは無難な選択だと思うんですね。
 でもその「バージンヘア」の印象って、そのまんま「バージン(処女)」の印象でもあると思うんですよ。私はそう感じるんです、このCMを見ると・・・。 言ってること分かりますか!? もうここからは、「やっぱ田房永子って偏ってるよな、頭おかしいわな」っていう感想も出てくる気配びんびんなんで、ここまでの私の言ってることが分かる人だけ読んでくださいね、ここからは!
 つまり「アイアム バージン」って言い切れる、言っても違和感がない年齢、それは中学生なんですよ。
 「バージン」という言葉は、「バージン肌」とか「バージンな唇」とか、美容界で普通に使われてる言葉だから、このCMでもその使用例に則って「バージンヘア」って使ってるだけなんですよね。だから「バージンヘアのバージンという部分を、『処女』という意味で捉える人は頭おかしい」みたいな前提があるわけなんですよ、そういう前提を感じるわけです。
 でも、どうしても私は、バージンという言葉を使う時にその代表で「セーラー服姿の女子中学生」が登場することに、無条件でウゲエ〜って思ってしまいます。 
 このCMで「バージンヘアの女子小学生」って言ったらなんか生々しくないですか? 間違ってないのにめっちゃ違和感ある。逆に高校生・大学生だと逆の意味で「いやいや、そうじゃない人もいるでしょう(髪いじくってる人もいるでしょう)」みたいな感じで別の違和感がある。見た目では性別不明の赤ちゃんだと、対決にならない。
 その違和感って、「バージンヘア」を「バージン(処女)」に変えても成立すると思うんですよ。
 だからこのCMを見た瞬間にそういう、「バージン(処女)という言葉で形容しても違和感のない存在=女子中学生」っていう、誰も発表したことのないのに実は大衆が心の中で共有している印象の方程式を具現化した映像を見せられた気がして、気持ち悪〜〜と思ったんです。しかも「気持ち悪〜」って思うほうがおかしい、みたいな感じもつらくて、だからこのCMが流れてきても感情を無にしていた。


 それに、女優で30代で人気者の綾瀬はるかが、なんで女子中学生のような髪にならなきゃいけないのか、対決しなきゃいけないのか、その価値観が分かんない。別によくね? 日本のトップのスーパースターとさ、そのへんの中学生を戦わせるってどういうことなわけ? 綾瀬はるかくらいお金稼いでたら髪のケアくらいどうってことないだろうし、本気出せば地球上最高レベルのヘアケア受けられるだろ。中学生よりきれいになるでしょ、ほんといみわかんない。
 意味が分からないからこそ、そこに「いくら女優でも、髪だけは女子中学生に劣っている」っていうメッセージを感じて、「バージンヘア」じゃないってだけで、綾瀬はるかの今までの業績も大した価値ありませんよね的な、つまり「バージン(ヘア)」のほうがそれを上回る勢いの価値があります的な、女の価値って仕事とか地位じゃなくって結局そこが一番ですよね的な、そういうのを感じてめっちゃ気持ち悪くなる。
 例えば、嵐の5人が、男子中学生と肌のきれいさ対決みたいなCMしてたらどうですかね、メンズビオレとかのCMで。パンテーンと同じことだと思うんだけど、なんか変じゃね? 松井秀喜が男子中学生みたいな肌になる挑戦! とか。ちょっといい例えが思いつかないんですけど、とにかくスーパースターの男と男子中学生を対決させたら(しかもその人の本業とは少しはずれた分野で)、○○さんの実績をバカにしてんのか! みたいなことになると思うんですよね。だからCMとして成立しない。
 だけど、女だと成立する。
 そこがすごく悔しくて、悲しくて、ムカつくし、気持ち悪いんです。
 そしてそういうことを感じる自分って、“歪んだ解釈”するオバハンって揶揄されそうっていうのも重なって、孤独感が高まり、誰か優しくしてくれ!! という気持ち悪い感情になるのも、このCMが流れてきた時の私の常です。

プロフィール
田房永子
田房永子(たぶさ・えいこ)
漫画家・ライター
1978年 東京都生まれ。漫画家。武蔵野美術大学短期大学部美術科卒。2000年漫画家デビュー。翌年第3回アックスマンガ新人賞佳作受賞。2005年からエロスポットに潜入するレポート漫画家として男性向けエロ本に多数連載を持つ。男性の望むエロへの違和感が爆発し、2010年より女性向け媒体で漫画や文章を描き始める。2012年に発行した、実母との戦いを描いた「母がしんどい」(KADOKAWA 中経出版)が反響を呼ぶ。著書に、誰も教えてくれなかった妊娠・出産・育児・産後の夫婦についてを描いた「ママだって、人間」(河出書房新社)がある。他にも、しんどい母を持つ人にインタビューする「うちの母ってヘンですか?」、呪いを抜いて自分を好きになる「呪詛抜きダイエット」、90年代の東京の女子校生活を描いた「青春☆ナインティーズ」等のコミックエッセイを連載中。