タイトル画像
ラブピースクラブショップ
スタッフおすすめトーイランキング
バイブレーター編!
No.1
誰もが虜になる大人気吸引式バイブ!!
No.1
うっとりするほど美しいトーイ
No.1
ラブピースクラブロングセラー! 北欧の最高傑作トーイ。
女印良品
ニューハーフクラブにて
アイコン
17.09.19 by 田房永子



 このあいだ、女友達と3人でニューハーフショーを見に行きました。新宿の地下にある面積は広くないお店。細い階段を降りて席に座ると、客はまだ私たちだけで、ニューハーフの人たちがミーティングみたいなのを終わらせて私たちの席に5人くらい来ておしゃべりを始めてくれた。

何人も来てショーが始まるまでの1時間半くらいは、キャバクラみたいにニューハーフのお姉さんが何人もついて座って喋ってくれた。なんかすごく普通に落ち着いた感じで話してくれて、それに全員、本当に美しくて、おしゃべりは友達に任せて、ニューハーフの人の顔をウットリ眺めた。
毎日ちゃんと手入れをしているプロの顔、皮膚、歯って美しい。そういうのを見れるだけでお金を払う価値があるというか、ショーではおっぱいも見せていただける。10年前くらいにニューハーフショーがある別の店に連れて行ってもらった時、ヌードショーで感動して泣いてしまった。昔はエロ本の仕事でよく行っていた女性ストリッパーのストリップショーも好きだけど、今は行く機会がぜんぜんない。だから今回、友達に連れてきてもらった。

 ショーのことを聞いたら、一人のベテランニューハーフの人が「私たちもね、やっぱりお客さんが盛り上がってくれるとやりやすいわよ」と言う。「男性のお客さんは緊張するのか、むっつりした感じで、じーっと見て手拍子とかしない」んだそうだ。「そうそう、女の人はね、ワーワーってカワイイ〜とか言ってくれたりするけど、男の人は腕組んで黙って見てるわよね」と言っていた。

 隣の席に男性二人組がいて、ソファの席にぎゅうぎゅうに座るので、電車以上に隣の男性と太もも同士が当たるのがやだったけど、仕方なかった。

 トイレは男女兼用っていうか、一個しかないのでショーが始まる前は行列。私の前に、隣の席の男性の片方がいた。ちなみに私と太ももが当たっている人じゃ無いほう。その男性は酒を飲んでちょっと酔っている感じで、私に「このお店は初めてですか?」と聞いてきた。私は目を合わせずに「はあ(YES)」と答えてスマホに目を落とした。
 「僕、25年前にこの店でボーイやってたんすよ。今日は25年ぶりに来たんですよ」と続ける男性。チラッと顔を見たら50歳くらいの感じだった。言葉は発さず「へえ」みたいなニュアンスの表情と動きをして見せてまたスマホに目を落とすと、「珍獣ですから! みんなね、ここで働いてるのは、珍獣珍獣! 珍獣みたいなもんですよ。珍獣って言うとあいつら喜びますよ」とトイレのドアの前で威勢良く言う男性。

 なに、珍獣って。ぜんぜん意味が分からん。全員めっちゃくちゃ綺麗で優しいし、お店のHPに「ニューハーフクラブ」って書いてあるからニューハーフって呼んでるだけで、今どきニューハーフって言葉自体古い感じするし、そういう人を珍獣とか言うのさらに古いし、「昔ここで働いてた俺」感を存分に味わうために他人を珍獣呼ばわりしてまで見知らぬ女にマウントしないと気が済まないお前が珍獣だわ、って感じだった。

 その後席に戻ってから、またその男性が「25年前に働いてて25年ぶりに来た」って話をニューハーフの人とか私の友達にしてて、みんな「へえ〜」と返していた。そしてショーが始まった。 

 きらめくレーザービーム、爆音で流れるJ-POP、ライトの下で軽やかに舞うニューハーフの人たち。私は両腕を上げて頭の上で手拍子し、ニコニコ顔で「キャ〜〜〜!」と言いながら、ニューハーフの人たちに大きく手を振った。
 その時、私の心は「そうしなければ」と思っていた。さっき聞いた「お客さんが盛り上がってくれるとやりやすい」という言葉が体にまとわりついていた。
 隣の「25年前」の男性とその連れの男性、二人とも腕を組んで微動だにせずショーを見つめている。他の男性客も1〜2人を除いて全員怒ったような顔でショーを見ている。別にそんなにドエロなショーではないのに。

 私はそんな男性客の無反応が視界に入るたび、ますます「盛り上がってますよ、見に来てよかったです! というメッセージを体中で表現して踊っている人たちに伝えなければ!」という気持ちになった。本当に楽しくて盛り上がっているんだけど、実際は体を揺らすくらいのテンションなのに、目玉に血管を浮かせながらイエエエエ〜〜〜〜!!!みたいな300%のテンションにしてた。どうしてもそうせざるを得なかった。なんで私はこんなに、踊るニューハーフの人に気を使っているのか。すごく不思議だった。

 ショーが始まる前までは、私より男性客のほうが意気揚々としていた。だけどショーが開始されてからの私は、男性客の無表情が見えると不安になり、ニューハーフの人が気持ちよく踊れるように、男性客の分も盛り上がりを表現した。そんなこと別にしなくていいのに、あの場ではそうしないといられなかった。勝手に板挟みになっていた。お金払ってるのに。私以外の女性客もみんなステージに手を振りワーワーと騒いでいたが、彼女たちも私と同じ心境だったのかは分からない。私の性質がこの手の店に来ることに向いていないとも言える。
ただハッキリしているのは一つ。ちょっと一度試しに、自分が自然でいられるかどうか、女性客しかいないこういう店に行ってみたいなということである。 

プロフィール
田房永子
田房永子(たぶさ・えいこ)
漫画家・ライター
1978年 東京都生まれ。漫画家。武蔵野美術大学短期大学部美術科卒。2000年漫画家デビュー。翌年第3回アックスマンガ新人賞佳作受賞。2005年からエロスポットに潜入するレポート漫画家として男性向けエロ本に多数連載を持つ。男性の望むエロへの違和感が爆発し、2010年より女性向け媒体で漫画や文章を描き始める。2012年に発行した、実母との戦いを描いた「母がしんどい」(KADOKAWA 中経出版)が反響を呼ぶ。著書に、誰も教えてくれなかった妊娠・出産・育児・産後の夫婦についてを描いた「ママだって、人間」(河出書房新社)がある。他にも、しんどい母を持つ人にインタビューする「うちの母ってヘンですか?」、呪いを抜いて自分を好きになる「呪詛抜きダイエット」、90年代の東京の女子校生活を描いた「青春☆ナインティーズ」等のコミックエッセイを連載中。