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捨てていく私
「オトウサン」
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17.12.01 by 茶屋ひろし



すっかり寒くなりました。
春から集めだした鉢植えをベランダから台所に入れたら、4畳半の半分が埋まってしまいました。はまるって恐ろしい。
初めは小さい鉢を買っていましたが、よく枯らすので、ある程度育ったものをと30センチくらいのものを買いだしたら、夏ってすごい、どんどん育って今や1メートル近くになった鉢もいくつかあります。
花が咲くものはなく、ぜんぶ緑です。緑落ち着く。

自分で育て始めたらよその鉢も気になり始めて、自転車で出勤しているときに、人ん家や店の前の鉢をよく眺めるようになりました。少しお洒落なところはだいたい大きなオリーブの木を前面に出しています。
オリーブ可愛い、実がなればワインのつまみになるし、いつか手に入れよう、と狙っています。

植物を可愛いと思う日が来るなんて。
動物は可愛く思うほうで、猫はアレルギーですが、街角で見かけたら目で追っています。
前にコラムで書いた「駐輪場の猫」ですが、その後、餌をあげていたおばあさんが駐輪場のおじいさんたちに注意を受けているところに遭遇しました。座っている小さなおばあさんを3人のおじいさんが立ったまま取り囲んでいて、黒猫はその下で片足あげて股間をなめていました。

翌日には少し長めの注意書きがフェンスに掲げられました。その最後には、「猫に餌をあげるのなら、糞尿の始末もしてください」と書かれています。
それくらい、おっちゃんらで何とかすればいいのに・・と思いましたが、誰がするのか問題になるのか、と想像しました。
ということは、餌をあげる人を減らして、駐輪場から猫を遠ざけようという作戦か。
無理じゃない? ここ繁華街だし。一車線の道路を渡ったところにあるビルの跡地には三毛猫が二匹いて、黒猫と三匹で日向ぼっこしている光景も目にしています。

道路を渡って餌をねだりに来るのは黒猫くらいですが、しばらくはおばあさんも餌をあげにくくなるかもしれない、そう思った帰り道、家の近所のスーパーのライフで猫の餌を買っていました。
今まで買ったことがないので何を選んでいいのかわかりませんでしたが、モンプチの乾いたのとシーチキン系を買ってみました。

遅番で上がる時間帯には、駐輪場のおじさんたちはもういません。夜にも餌をあげている人らがいるみたいで、よく黒猫は姿を現します。
もはや、ギャーと鳴くのは、餌くれるんか、という意味にしか聞こえません。
しゃがんでフェンス越しに餌の袋を見せてやぶると、すぐに寄ってきました。コンビニで買った白い紙皿に固形の餌を入れて、フェンスの下から猫の足元まで押しやります。
少しドキドキしましたが、がっつく猫にほっとしました。

何回かその機会に巡り合った後、あるとき食べているところをスマホで撮ろうとしたら、警戒されて、1メートルくらい後ずさりされました。距離感むずかしい。
あのおばあさんには腹まで見せてたのにな、と、その付き合いの深さを思いました。あの人は昔猫を飼っていてその子が死んで、今はもう年だし先を思うと飼えなくて、この黒猫に餌を与え続けているのかしら、なんて。

野良猫と一緒にするのもなんなんですが、その界隈で気になっているホームレスのおっちゃんもいます。
3年くらい前から見かけていますが、背が大きくて何も持たず、何だてめえら、と言った風情で街中を歩いているような人でした。
見えている肌は真っ黒で髪と髭は伸び放題、そのうち着ていた服もどす黒くなり、ズボンがずり落ちてくるようになりました。
ズボンの前だけ持って歩いていましたが、先ごろ、後ろも破けてお尻が丸出しになっている姿を目撃しました。

臭いもひどく、自転車で通り過ぎただけで、今いた! と存在がわかるほどです。梅田の地下街にもそういう人はいるのですが、そこまで臭くなってしまうと、誰も近寄らないし、嫌がられるし、簡易宿泊に泊まるのも困難になるかと思われます(よくわかっていない)。

ボランティアの方が声をかけているとは思いますが、それを振り切って路上にいるのだとは思いますが、お尻出てるし、もう寒くなってきたし、と、ある日の仕事帰りに、今度は職場近くのスーパーのライフの2階に行って、3000円くらいで、あったかスウェットで水はじきそうな素材のLサイズを買ってしまいました。LLのほうがいいかな、入るかな、あの人に、とサイズが気になりました。初めて見た頃よりずいぶん体が小さくなった印象もありました。

自転車で少し戻ると、駐車場の自販機の前で、前掛けのようになってしまったズボンに手をかけて立っています。周りでは呼び込みの男の子や女の子たちが楽しそうに笑っています。

私、なんて呼びかけるんだろう、と思いながら、すっと自転車をおっちゃんの横に止めたら、「オトウサン」と言葉が出ました。
「オトウサン、これ今買ってきたから。あったかいやつ。ズボンね。ほら、お尻見えてるから。はけたらはいて。あと上着もあるから」とタグを切ってもらったスウットの上下をビニール袋から取り出して見せました。
ぼさぼさの前髪に隠れた目が私を見つめ、黄色い鼻を垂らしている鼻毛と髭でぼさぼさの口元から「うぐ」と声がもれました。そして見せたズボンを片手でぐっとつかみました。

ズボンを受け取ってくれたので、上着はビニール袋に戻してそれも渡して、じゃあね、とその場を去りました。
裸足の甲がやたらと盛り上がっていました。裾が通るか心配になります。
かなりドキドキしましたが、自己決定とか自己責任とか言うてる場合とちゃうで、と衝動が言葉になりました。

プロフィール
茶屋ひろし
茶屋ひろし(ちゃや・ひろし)
書店員
75年、大阪生まれ。 京都の私大生をしていたころに、あたし小説書くんだわ、と思い立ち書き続けるがその生活は鳴かず飛ばず。 環境を変えなきゃ、と水商売の世界に飛び込んだら思いのほか楽しくて酒びたりの生活を送ってしまう。このままじゃスナックのママになってしまう、と上京を決意。 とりあえず何か書きたい、と思っているところで、こちらに書かせていただく機会をいただきました。 新宿二丁目で働いていて思うことを、「性」に関わりながら徒然に書いていた本コラムは、2012年から大阪の書店にうつりますますパワーアップして継続中!