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私はアンティル
更年期と雪国
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17.02.28 by アンティル



 最近、気が合う人の大抵が更年期障害の人だ。
 今40代後半の私は、更年期障害のプロとも言える更年期障害に苦しめられて20年のベテランだ。更年期障害はある程度の年月が経つと症状も和らぐと言うが、私の更年期は一向に止む気配なし!20年を経て同世代の人たちが私の更年期に追いついた。


 「今まで出来ていた仕事が急に難しく感じるようになったの。」
 「記憶力がなくなってしまって・・・・」
 「頭がぼーっとして何か血管に詰まっているように頭の回転が悪いの」
 「頭痛がひどくて・・・・」


 そんな話を聞くと、「私も!」と変なうれしさを感じる。私だけじゃないということって、やはり人を勇気づける。なってみなきゃわからない。それが更年期。私は30代の頃から同世代に「更年期を迎える40代後半までに仕事の地固めをして、そこからは新たなチャレンジをしないでいいように備えた方がいいよ。というかできないと思っていた方がいいよ。」と友人に言い続けてきた。「何言ってんの?!更年期なんてのぼせとか、めまいとか、そんくらいでしょう!命の母さえあれば大丈夫よ〜」
 そう言ってた友人が、最近になって「忠告を笑ってごめんね」と言ってくる。本当に怖い更年期。


 ホルモン療法とか最新の医療でかなり症状が軽減するらしいが、更年期障害は診断される後より、診断される以前の方が長く、辛いという人が多い気がする。自分が更年期だと自覚するまで時間がかかる人が多いのだ。私もその一人だった。『年のせいでカラダが疲れるのかなぁ〜』『頭が回らないのかなぁ〜』とか、『仕事でいろいろあったから気が滅入ってのかなぁ〜』とか、更年期の症状が出ていても、普段の延長上にあるトラブルのようでその境目はとても曖昧だ。


 その境界線を見え難くしているのは“女としてこの社会に生きてきた経験”だと私は思う。自分の能力や気力の衰えは、自信を奪っていく。でも女なら誰しも社会から自信を奪われる経験をしている。仕事の中にも“私ってだめかも”という自信をなくすポイントは山ほどあって、大抵のそれは社会と自分の対比となって迫り、会社の目線が自分を否定するバロメーターとなる。会社の目線が男の目線である中で、女はいつも打ちのめされる。そんな自信の喪失は、更年期に始まったことではないから、それが病気だなんて思わない。だから更年期障害でさらに能力や気力が衰えても、ますはその原因を自分に求めてしまうのだ。


 そして自分はまだまだできる!気力でどうにか克服できる!そんな内なる声は全盛期の自分の影をいつまでも求め続ける。でも、もはやそれは自分ではないのに。『がんばればいい!』そんな自分の声を聞きながら時間は経ち、失敗も増え、どんどん更年期の世界を引きずり込まれていく。


 あー怖い更年期。私は最近すっかり自分をあきらめた。私の場合、ホルモン療法たって、どっちのホルモンを投与すりゃあいいのか医者もわからない。もうホルモンを体内に意図的に打ち込む行為はまっぴら。ここでも何度もその苦悩を書いてきたが、今じゃすっかり諦めて、更年期を超えて老年期に入ったような気分だ。


 私の頭は、思考をつかさどる所に繋がる血液や神経が、のぼせによって、膨らみ、詰まり、通常なら1秒で脳に思考が届くのに、1分かかるそんな違和感を常に抱えている。それが徐々にいろんな機能、記憶、考察、言語などを生み出す大事な部分にも浸食して、いつかすべてを飲み込まれてしまうような恐怖を感じることもさえある。それが何より怖い。


 しかし更年期を起こすホルモンのバランスは、非常に不思議なものでたまに、雲が晴れたように以前の自分に戻れる瞬間もある。それは急に訪れる。


 それは1月のある日。マイナス10度の雪国に行った時だった。駅を降りると、私の頭からはいろんなデータが溢れ出た。「この場所は人口〇人、主な産業は〇〇、江戸時代には〇〇なことが起こり、ここ出身の〇〇は日本における〇〇の近代化を推し進めた人なんだよ」。昨日食べたものさえ覚えていない私が、いきなりそんな知識を披露し始めたものだから、隣にいた友人が驚いた。
 「じゃあアンティル!日本の近代における教育が与えた今の政治への影響は何だと思う?」「それはね・・・・・・・!」
 不思議だった。いくらでも言葉が、知識が出てくる。それは私がかつて知っていた知識。そしてそれをベースに巡らすことができる思考。表現できる言葉。それが一体となって私に流れ始めた。あんな感覚は久しぶりだった。ではなぜ私はそう成り得たのか・・・。友人曰く。


 「この寒さで頭が冷えたからじゃない?」


 ホテルに入り温泉に浸かりこたつに入る私に友人はテストを始めた。
 友人「ボーヴォワールってどんな人?」
 私「ボーヴォワール?」
 やはり元に戻っていた。友人は私の手を引き、雪が降りしきる中庭に連れ出し頭に雪をかぶせ聞いた。
 友人「今のこの社会において人権はどのように扱われ語られているんだと思う?」
 私「そもそも人権とは何か、それは・・・・・・!」


 寒さが私を取り戻した。まだ語られていない更年期障害の治療方法があるかもしれない。そんなことを考えながら私は雪国を後にした。


 私を更年期へ導いたホルモン療法と性適合手術。もちろんいいこともあったが、リスクは大きい。しかもそのリスクはあまり語られていないものだった。先日、性適合手術を受けていないことを理由に法律的な結婚ができないと訴えた人が、手術を受けない理由はカラダに与える手術の影響だと語っていた。本当にその通りだと思う。このリスクは、あまり語られていない。そして自分でも想像しないことがおきる。私も自分が経験している手術のリスクを若い人にもシェアしなきゃと思った私であった。 FTMのための更年期ワークショップ、LPCで開いてくれないかなー。

プロフィール
アンティル
アンティル
ラブローター命のFTM。
数年前「性同一性障害」のことを新聞で読み、「私って、コレかも」と思い、新聞を手に埼玉医大に行くが、「ジェンダー」も「FTM」という言葉も知らず、医者に「もっと勉強してきなさい」と追い返される。「自分のことなのに・・・どうして勉強しなくちゃいけないの?」とモヤモヤした気持ちを抱えながら、FTMのことを勉強。 二丁目は大好きだったが、「女らしくない」自分の居場所はレズビアン仲間たちの中にもないように感じていた。「性同一性障害」と自認し、子宮摘出手術&ホルモン治療を受ける。
エッセーは「これって本当にあったこと?」 とよく聞かれますが、全て・・・実話です!。2005年〜ぶんか社の「本当にあった笑える話 ピンキー」で、マンガ家坂井恵理さんがマンガ化!