「ナマでセックスするとがんになる」という言説があります。根拠のない話ではないのですが、私見を述べさせてもらえば、あんまり科学的な言い方ではないのではないか…と思います。
近年、HPV(ヒト乳頭腫[パピローマ]ウイルス)と子宮頸がんの関連性が問題視されています。HPVは、尖圭コンジローマの病原体ですが、尖圭コンジローマを発症するHPVは子宮頸がんの病原体ではありません。
HPVには非常に多くの型があって、尖圭コンジローマを発症するHPVはローリスク型、感染しても無症状で後に子宮頸がんの病原体となるHPVはハイリスク型。つまり同じHPVでも型がちがうのです。
尖圭コンジローマは感染症法にも規定されている性感染症ですが、HPVのハイリスク型への感染を性感染症と捉えるか否かは、専門家の間でも意見が分かれるところではないかと私は認識しています。なぜならば、この感染は、とても日常的に起きていることだからだそうです。性経験のある女性ならば、ほとんどが一度は罹っている可能性がある。そして、多くの場合、感染は自然に治るけれど、免疫の低下などで感染が持続した場合に子宮頸がんを発症することがある…。私の手元にある資料では、感染が持続する割合は100人に1人程度、とされています。
少なくとも私は、「ナマ=がん」は大げさ、言い過ぎだろうと感じます。しかしながら、100人に1人だろうが1000人に1人だろうが、1人は1人。そこにリスクがある以上、コンドームで予防できるものは予防すべき!という意見には「ごもっとも」と頷くしかありません。頷くけれど、それでも私はナマでしたいときにはナマでするよ、と思います。
そもそも、脅し的な性教育には、私はどうしても反感を抱いてしまうのです。学校現場で実際に性教育を行っている先生方の話を聞くと、やはり脅しは効果があるそうですが、それでも「脅し」という行為がイヤ。
先般、編集に携わった雑誌で性教育について書いてもらった原稿の中に、こんなくだりがありました。
「STD(筆者注:性感染症)の怖さだけ協調して『だからセックスするな』というとしたらそれは教育ではなく『脅育』であって、そこから相手との関係のあり方を見直したり新たに豊かな関係を作りあげていく力は育たない」
まったくそのとおりだと思います。また別の先生にエイズについて書いてもらった原稿には、こうありました。
「『感染の可能性は否定できないから、あらゆるセックスは危険である』という情報は、伝えるべき科学的事実に反し、エイズに対する恐怖心で行きずりのセックスを抑制しようとすることは真の性教育ではないでしょう」
念のために言うと、上記の原稿を書かれた両先生がだからといってナマを推奨しているわけでは無論ありませんよ。
先ほど私は「ナマでしたいときにはナマでする」と書きましたが、リスクは承知しているので、子宮がん検診はきちんと受けようとも考えています。大事なのは、そういう、自分の頭で考えて自分の行動に責任をもつこと、なんじゃないかしら。
ちなみにHPVは、現在2種類のワクチンが開発されているそうです。すでに86か国で承認され、9〜13歳の児童に接種されているとのことですが、日本では2006年から治験が開始されたばかりで、一般に浸透するにはまだ時間が必要なようです。一日も早くワクチン接種が実施され、子宮頸がんに苦しむ女性が減ることを願っています。
★お知らせ★
9月13日(土)深夜、新宿ロフトプラスワンで開催される「SEX&ALIVE〜真夜中の秘密のお菓子〜」という女子限定イベント(女子同伴であれば男子も可)でナマ問題についてのトークセッションを行います。私の出演は1時20分〜の予定です。夜中ですが、ぜひ足をお運びください。
http://ageha-cry-baby.lovepop.jp/
↑このHPには私の名前は出ていませんが、ちゃんと出ます!