男のナマ願望は認めない

さて今回は、ライブ会場で客席から投げかけられた質問について考えてみます。
「女性のナマ願望を肯定することで、男性の“ナマでしたい”という欲望までを肯定することになるんじゃないか」

この質問が出た経緯をまず説明すると、トークはイベント主催者の20代女子と一緒に行ったのですが、主催者女子も私も「女だってナマでしたいときはある」ということで意見の一致をみたのです。そして私は、「ナマでしたいと思ってしまう気持ち自体は、自然なものなのではないか」と述べました。
この連載が始まって以来、私は、自分自身の「ナマでしたい」と思ってしまう気持ちがなぜなのかを、ずっと考えてきました。ナマでセックスすることにはさまざまなリスクがあるにもかかわらず、それでもナマでしたいのはなぜなのか…。考えた末に出た現時点での結論は、「理由は特にない。自然な気持ちとしか言いようがない」というものだったのです。

「好き!」という気持ちをスタートとして考えたとき、セックスをしたいのはもちろんだけど、その前に「相手に触れたい」気持ちがあるわけです。手を繋ぎたい、と思ったときにわざわざ手袋をして繋ぎたいとは思わないわけで、要はそれと一緒なんじゃないかな、と。
無論、手を繋ぐこととナマでセックスをすることには、リスクという意味では大きな違いがありますが、でも気持ちは同じなんじゃないか、と思うのです。だからといって、手を繋ぐことほどの気楽さでナマでセックスをしてよいと思っているわけではありません。

HIV陽性の彼氏をもつ女性が、セックスで感染し、「これで彼と一緒にHIVと闘うことができます」と言ったという話を聞いたことがあります。その彼氏が、薬をきちんと飲まず、セックスにおいてはコンドームの使用を嫌がったなんてことも併せて聞くと、男の身勝手さに非常に腹立たしい気持ちにさせられるのですが、彼女の職業は看護師で、そんな状態では自分も感染する可能性が高いとわかっていてセックスをしたのです。だからこそ検査にも行き、感染を確認したときには気丈な発言ができたのだと思います。その彼女の覚悟は尊重したいと、私は思います。

好きな男に風邪をうつされると、ちょっとうれしいと思ってしまったりもする私ですが、性感染症、ましてやHIVをうつされたら、やはりうれしくはないと思います。でも、ナマでセックスをするときには、妊娠、性感染症、そして確率は低いけれどHIV感染もあり得る、ということは頭の隅に必ずあります。その上での「ナマ願望」なのです。

ライブでは、HIVに感染した彼女の話はしませんでしたが、ナマにはリスクがあること、しかしリスクを知って、覚悟の上でナマを選択するのだったら、それは自己責任なのではないかという話をしました。そこで出たのが冒頭の質問です。私の答えは簡単。
「男のナマ願望は認めません」

会場に来てくれていた友人から、「男には冷たいね〜」と後で言われましたが、だってそうでしょう? 妊娠を引き受けるのは女、性感染症がより重篤化するのも女、リスクは女にこそあるのです。女が自分自身のリスクを知った上でナマでしたいと思うことは尊重するけれど、男が「ナマでしたい」などというのは身勝手そのもの。認められるわけがありません。
本来ならば、男もきちんとした知識をもち常にコンドームを使う姿勢をみせ、女が「ナマでしたい」と言ったときには、「こんなリスクがあるけど、本当にいいの?」と確認するくらいであってほしいと思いますが、ま、無理でしょう。女が慎重に考えた上でナマを選択したのであっても、男にしてみたら「うひょー、ラッキー!」程度のものなんじゃないかしら。だからこそ女子には、セックスを男任せにせず、主体的にコンドームの有無を選んでほしいものだと思います。

女子のナマ願望を肯定するトークを展開したにもかかわらず、ライブ後、すぐにコンドームを買いに行った女子がいるそうです。うれしい報告でした。


INDEX
[2008/10/01]
男のナマ願望は認めない
[2008/09/17]
ライブ「ナマ問題研究」報告
[2008/09/09]
ナマでセックスするとがんになる!?
[2008/09/02]
経験人数についての考察・続き
[2008/08/26]
経験人数についての考察
[2008/08/22]
パートナーレイプ
[2008/08/05]
妊娠したかった頃
[2008/07/16]
セックス初心者の頃を振り返る
[2008/07/08]
男への嫌悪感・続き
[2008/06/24]
男への嫌悪感
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