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ベビーシッターに預けて亡くなった男の子のニュースから見えてくること。
14.03.19 by はっちゃん


20代男性ベビーシッターに預けられた男の子が遺体で見つかる、という事件がありました・・・・。痛ましく、辛い事件です。


なぜ子供の命が失われたのかについて、未だに詳細は分かっていませんが、今、ベビーシッターに注目が集まりつつあります。


厚生労働省によれば、2015年に、保育士と同等の知識を持つ人(または保育士)をベビーシッターとして認定する制度がはじまるとか。これは自治体の認可を受けた業者に給付金が出るシステムで、シッターさんを自宅に呼びやすくなる、と言われています。
また、政府は保育士不足を補うために、「准保育士制度」の検討を始めたとか。「子育て経験のある女性が保育所で働く環境を整え、保育所に入れない待機児童を減らす」(日本経済新聞3/14)のが目的とされているようです。


ママをサポートするための様々な制度や、サービスは・・・もちろん、もちろんありがたいことだし、早く整えろやぁ! と思います。思いますけれど・・・ベビーシッター制度も、そして准保育士制度も、なんだか諸手を挙げてよろしく〜!!!早く〜!!!たのむわ〜!!! みたいな気分にならないんですけど、、、、皆さんはいかがでしょう。


それは、これらの制度にどこか既視感があるから、なのかもしれません。
・・・介護、です。
介護制度ができて介護をアウトソーシングできるようになったことで救われた女性たちは本当に多い。一方で、介護産業に関わる働き手の現実はどうういうものでしょう? 低賃金・重労働・使い捨てられがちな職種だが需要は増える一方なので常に人手不足・・・というような話を、耳にしたことはありませんか?
命を支え、ケアするための大切な仕事の介護と保育。それなのに、この産業は決して働き手にとって優しい職場ではありません。


2012年の賃金構造基本統計調査を見ると、医療・福祉産業の賃金は、その労働の厳しさと需要の高さに比して決して高くなく、むしろ低賃金なのが見てとれます。特に女性の賃金には、はっとさせられる。こういう調査結果を見ると、なぜ准保育士をつくる必要があるのだろう? と思わずにいられません。なぜ保育園を増やし、保育士の給料をあげる方向には、いかないのでしょう?


ジャーナリストの竹信三恵子さんは、医療・福祉、いわゆる「ケア産業」の労働者が「買いたたかれている」ことを近著「家事ハラスメント」(岩波新書)で指摘しています。介護や保育は、以前は女性がただで家でやっていた家事という名のケアなので、「誰でもできる」「本来なら家族(女)がやるもの」という意識が、なかなか拭えない。そして従事するのも、やはり女性が圧倒的に多い分野です。
つまり、女性の仕事とされてきた家事や、労働者としての女性に対する差別が、ケア産業の買いたたきの根本にはある。竹信さんは、様々なデータをもとにその絶望的な結論を突きつけます。


女の労働力を安くたたいて使おうとするケア産業。
准保育士を増やしたり、ベビーシッターを増やす方向に行政は向かっているけれど、その「働き手」に対する視線は抜け落ちていないでしょうか。
命を扱う仕事に対して敬意と高給を支払う。そのことが従事者の質と技術とやる気の向上につながるでしょうし、ひいては、保育の充実、女性が活動しやすく、子どもを産み育てしやすい社会になるのではないでしょうか。そのために必要なのは、やはりジェンダーへの繊細で注意深い視線と、男女平等意識。


・・・・嗚呼、道は遠い・・・かもしれない。でも、変えていきたい。だって、子育て経験のある女性を安く買いたたく、というのが「活用」の一環なのだとしたら、あまりにも残念なことだから。


表は2012年の厚生労働省賃金構造基本統計調査の結果の一部です。

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(text はち)