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恐いけど、黙らない。黙ってはいけないこと。
17.03.10 by 李信恵



最初はネットで、それから新聞で。最近では、連日のようにテレビのワイドショーでも取り上げられるようになった塚本幼稚園や瑞穂の国小学校、そして森友学園。このことについて、書こうと思いながら悩んで、なかなか筆が(実際はキーボードを打っているのだけど、そんなことはまあいい)進まなかった。

それでも書こうと、メモ代わりにしているTwitterにまとまらない文章を投稿してみた。

2月18日
塚本幼稚園がなんで大阪に出来たのか、他の地域じゃなくってよりによってなぜ大阪なのか。大阪だからこそ出来たのか、そういうことを考えてる。やっぱり、(たかじんの)そのまま言って委員会や橋下徹や維新が支持される土地柄だからなのかな。それにしても、大阪が関わるヘイト事例は多過ぎる。

2月22日
毎週火曜日は大阪府庁前で朝鮮学校児童・生徒への「高校無償化」制度適用、大阪府・大阪市補助金支給再開を訴える抗議行動の日。昨日で232回目だと聞いた。東京都知事は韓国人学校への都有地貸与を撤回。その一方で、森友学園へは国有地を格安で払い下げ。どう考えてもおかしいよね。教育なめんな。

投稿したら、さくっと炎上した。これまた、燃える燃える。まあそれはいつものことだから良いけど(良くないが)、社会問題もそうだが、教育について発言するときはこんな私でも時々は躊躇する。

日本社会の問題について書くと数えきれないほどの「そんなに日本が嫌なら出て行け」という反応がある。また、教育問題について書くと、「朝鮮学校はどうなんだ」と云う感じで。そう云うネット上のバッシングと云うか、Twitterでのメンションには慣れたり、慣れなかったり。調子のいい時はまだ受け止められるが、ちょっと落ち込んでいるときなどはやっぱりその反応が怖かったりもする。

でも、私は黙らないって決めたので、やっぱり黙らない。それから、この問題に関連してよく聞かれた言説が「塚本幼稚園はまるで北朝鮮のようだ」ということ。私は、共和国(朝鮮民主主義人民共和国を私はこう呼ぶ)の体制は支持しないし、あの国が抱える問題も知っている。また、兄と姉が帰国していることもあって縁は深い。だからといって、批判しないというわけではない。けれど、その際にはできるだけ注意する。

共和国と日本の間で問題があった時に、その問題はそのまま国家間の話で終わらないことを私は知っている。その問題はいつでも、いつの間にかこの国で差別を合法的に行うために使われる。共和国の問題は、いつの間にか在日朝鮮人の問題として、その矛先が方向を変える。特に、朝鮮学校や、子どもたちなど弱い立場の方へ向かって。

また、友人や知人などが何の気なしに、悪意もなく、無邪気に「北朝鮮のようだ」とつぶやくたびに、胸の奥をえぐられたような気持になる。悪意が無いからこそ怖く、その無意識に生まれるたとえこそが塚本幼稚園を育てて来たものと似ているような気もする。

だから、塚本幼稚園や瑞穂の国小学校、また森友学園のことを書くのが怖かった。

塚本幼稚園の副園長は、朝鮮半島にルーツを持つ保護者に対し、「心中韓国人と中国人は嫌いです。お母さんも日本に嫁がれたのなら日本精神を継承なされるべきです」などと書いた手紙を送りつけた。

強制退園させられた元園児の保護者らが開設したサイトで、保護者らが同園を批判すると、園はすぐさま自らのサイトに「インターネット上での当園に対する誹謗・中傷記事について」と題した文章を公開。「投稿者は、巧妙に潜り込んだ韓国・中国人等の元不良保護者であることがわかりました」、「日本に在住する極めて少数派の韓国・中国人等の人たちのこういった行為に対して、断固として立ち向かう所存」などと書かれていたという。

在園児の保護者向けに配布された文書には「邪な考えをもった(名前は日本人なのですが)在日韓国人である・支那人」などと書かれていた。

この他にも、運動会で園児に「日本を悪者にする中国や韓国は心を改めて」との選手宣誓をさせたことなど、数え上げたらきりがないほどのヘイトスピーチが行われていたことが発覚している。

ここに勤めていた、いまもいる先生たちはどんな気持ちだったのかと思う。また、保護者達も。何とも思わなかったのか、慣れっこになっていたのか。それとも、その言説を支持していたのか。

この問題が明らかになった時に、どんな差別問題でもそうだけど、差別者側を支持する人がいることが可視化されることもまた怖い。

あえてこの幼稚園を選んだ親たちは、もしかしたらこの幼稚園がこんな教育をするとは知らなかったかもしれない。しつけに厳しい幼児教育が、より良いものに映ったかもしれない。設備も整っている、いい幼稚園に見えたのかもしれない。問題になっている今でも、その信念を変えないのかもしれない。

幼稚園児の宣誓を見て、ぞっとした。情けないような、悔しいような。あどけない子どもたちが、何もわからずに「日本を悪者にする中国や韓国は心を改めて」と云っている。差別の種を植え付けたのは大人なんだし、幼稚園児は被害者だとも思うけど。すごくショックだった。私は、幼稚園児にもこんなにも簡単に心を殺される存在なんだな。まあ、嘆いていても仕方ないのでとりあえず書かなきゃと、気合を入れてみた。

数年前に、在日朝鮮人が多く住む町である大阪の鶴橋の駅前ではヘイトスピーチが吹き荒れた。その場で、中学生が「朝鮮人を虐殺しますよ」と叫んだ。幼稚園児の宣誓は、それに似ていた。言葉は違うけれど、綺麗にオブラートを包んでいてもヘイトスピーチだ。しかも、大人がそれを云わせている。路上から消えかけたと思ったヘイトスピーチはしぶとく、形を変えてこの社会に新しい根を張ろうとしている。そんな根は、とっとと抜かなきゃ。

大阪で育鵬社の教科書採択問題にも関わって来たけど、全部繋がっているんだと、改めて思う。子どもたちの未来を作るのは大人の責任で、教育はとても大切なもの。そういうものが、気が付かないうちに巧妙に塗り替えられたり、踏みにじられらりている。大阪や地方都市が、壮大な実験場になっているみたい。みたいじゃなくってもうなってた。地方のある幼稚園での出来事じゃなく、塚本幼稚園をはじめとする問題はこの社会の縮図だ。だからこそ、自分の問題として、みんなともっと考えて動きたい。

プロフィール
李信恵
李信恵
1971年生まれ。大阪府東大阪市出身の在日2.5世。フリーライター。
「2014年やよりジャーナリスト賞」受賞。
2015年1月、影書房から初の著作「#鶴橋安寧 アンチ・ヘイト・クロニクル」発刊。