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性犯罪被害者の姿は、まさに己の内面を映す鏡
18.02.28 by 玖保樹鈴



 2月25日、生前親交があった方に誘っていただき、宋神道さんのお別れ会に参列しました。

 ご存知ない方もおられると思いますので、少しだけ解説を。宋神道さんは1922年に植民地下の朝鮮半島で生まれ、数え16歳で親が決めた相手と結婚させられました。それが嫌で逃げだしたものの実家に戻れなかった宋さんは、「戦地でお国のために働けば生きていける」と朝鮮人女性にだまされ、何も知らずに日本軍の慰安所に辿り着きました。そこで強制的に慰安婦にさせられてしまい、終戦まで「部隊付き」として、中国大陸の慰安所を転々とさせられていたのです。

 慰安所で妊娠してしまったり、終戦後はある軍曹に利用されて日本に連れてこられるも、上陸直後に捨てられたり。さらに上野駅ですべての荷物を盗まれてしまったりと、悲惨な経験ばかりを余儀なくされていました。しかしその後は宮城県女川町で在日朝鮮人男性と暮らし、さまざまな仕事をしながら必死に生きてこられました。

 さらに宋さんは2011年3月、震災による津波で家を流されてしまいます。彼女を支えていた方々より避難所で発見された宋さんは、以降は東京で暮らしていました。そして昨年12月、95歳で生涯に幕を閉じられました。

 とても書ききれない宋さんの人生については、作家の川田文子さんが『皇軍慰安所の女たち』(筑摩書房)という本にまとめています(絶版になっていますが、図書館などで探せると思います)。また宋さんは1993年、国を相手に裁判を起こしています。それは「お国のため」に戦地に連れていかれたのに、軍人と違って恩給も年金もなく、『朝鮮人』や『慰安婦』として差別をされてきたことへの、公式な謝罪と補償を求めるものでした。この模様は『オレの心は負けてない』というノンフィクション映画にもなっています。

 戦争によって苛烈な体験をさせられてしまったこと、なのに国籍で線を引かれて顧みられなかった無念さは、想像するに余りがあります。1982年に連れ合いに先立たれてから1人で暮らしてきた孤独も、やはり想像できません。直接お会いする機会はありませんでしたが、笑顔の遺影を見ていたら私も涙があふれてきました。

 残念ながら裁判に敗訴した宋さんですが、映画の中で「これから生きる子どもたちのためにも、こういうことにならないようにして、政治家を治すようにしなきゃだめだよ。戦争はぜったいにやっちゃいけないってオレの口から言っても、あんたたちの口からも言って。戦争は、国のためじゃなくて、しないのは自分のためなんだから」と語っていました。また「なぜ慰安婦にされたのか、どうして差別を受けるのかの意味をはっきりしたい」から、裁判に訴えたとも言っていました。民間からのお金ではなく、きちんと謝罪を受けた上で意味の取れる補償は、尊厳を回復するためのものだったと思います。だから宋さんが裁判をしたのは、決してお金が目的ではなかったのです。

 しかし宋さんは裁判を始めたことで、「文句があるなら韓国に帰れ」「人の税金で食ってるくせに(当時生活保護を受けていた)、何の文句があって裁判するんだ」などと、近所から悪口を言われたそうです。それを知り私は、宋さんが裁判を起こした1993年と現在が繋がる思いを得ました。

 2016年3月にHRNが『強要されるアダルトビデオ撮影 ポルノ・アダルトビデオ産業が生み出す、 女性・少女に対する人権侵害』を発表した直後、私はあるイベントでAV関係者の男性2名が「人権団体は金目当て」と言ったのをこの耳で聞きました。彼らのニヤついた表情も、記憶に焼き付いています。そしてつい先日も、Twitter上で詩織さんを「枕営業」とする書き込みを目にしました。女性が受けた性暴力に声をあげると、なぜかこのような罵倒や嘲笑が飛んでくるのが定石です。

 宋さんも確かに、1億円以上の賠償金を請求していました。しかし同時に、「じゃあ(慰安婦を)金払ってればどこでも引っ張って行っていいっていうのか? そんなばかな話、イナゴが踊るよ、まったく。いくらなんでもあんなつらいこと、金もらってもやらないよ」と言い残しています。繰り返しになりますが、本当に欲しかったのは尊厳の回復だったのだと私は思っています。

 また宋さんは支援者に厳しくあたったり、「オメェたちを信用できねえ」と言うこともあったそうです。それでも支援者の方々は、最期まで宋さんを支え続けました。映画でも存分に激しさを発揮していた宋さんを見て、私は「金目当てだったらとっくに全員逃げだしてるし、本人も裁判やらないよ」と思ったものです。それは意に反してAVに出演させられてしまった女性や、彼女らを支援する人たちも同じではないでしょうか。

 性暴力で心身に受けた傷は、法で快復できるものではありません。だから時にやりきれない怒りは、支援者に向くことは容易に理解できます。そして直接的に心を救済する法律がないからこそ、補償という形になったり、加害者を処罰する形になったりするものです。

 なのになぜ「金目当て」「黙ってろ」などと思ったり言えたりするのでしょうか。私はひとえに、それは言う人の心の投影だと思っています。つまり被害者を「金目当て」と罵る人は、きっとお金が何より大事なのでしょう。彼女たちを「売春婦」と言い放つ人は、職業には貴賎があると思っている傲慢な人かもしれません。「売名行為」と嘲笑する人は、自分こそ有名になりたくて仕方ないのですね? 「黙ってろ」という人は、日々言いたいことを言えずに我慢してるのでしょう。でもそれこそ自己責任じゃないですか? 相手に黙れという前に、自身をなんとかしてくださいよ、と。性暴力被害者はまさに己の内面を映す鏡で、吐いた言葉は自分に戻ってくるものなのかもしれません。

 「じゃあお前はなんだ」って? 「なんとかならないか。そのために自分は何ができるのか」と思うだけです。なぜなら女性が性的な暴力や搾取に晒され、被害に遭っても顧みられない世界で生きるのは、私が辛過ぎるからです。「結局は自分のエゴかよ」と言われたらそうなのでしょう。でもそれでも、そう思うだけです。

 生前お会いすることは叶いませんでしたが、宋神道さんという女性が生き抜いたことを、私も心に刻み続けたい。そして宋さんが願った「平和」のために、また性暴力被害者のために、無力に近いですができることをしていきたいと思います。『在日の慰安婦裁判を支える会』の皆さんを始め、宋さんを支えてこられた方々に敬意を表しながら、今回はこれにて失礼します。

プロフィール
久保樹りん
玖保樹鈴(くぼき・りん)
政治から恋愛までを、ぬるま湯程度の熱さで語るフリーライター。
中の人の好きなものはタヌキラーメン。