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| 第13回 |
「中居正広の家族会議を開こう!」なぜ人を殺してはいけないの? |

中村うさぎさんの新刊「オヤジどもよ!」は、ほんっと〜に面白かったなあ。あんな
に痛快なオヤジ論を、あたしは初めて読んだよ。辻仁成の文章を教科書に載せるより、
「オヤジどもよ!」の中の一遍を載せる方が、よっぽどためになると思うのだが。企
業の研修用テキストとしても、ぜひ使って欲しいね。しかし、このエッセイ、「夕刊
フジ」に連載されてたらしいのだが、世の中のオヤジ達はちっとも変わっていないよ
うだ。こんなにわかりやすく「男らしさのくだらなさ」を書いている文章は他にない
と思うのに。読んでないのかな。読んでいても、「所詮ブランド好きバカ女の戯言」
と、相手にしないのかもね。読解力のないてめえらの方がバカなのに。
中村うさぎのエッセイが面白いのは、たとえ他人を叱りとばし、悪口を書き殴ってい
ても、「じゃあ、そう言うオレはどうよ?」と、自分のことを客観的に見る視線を絶
対に忘れないからだ。絶対に上から見下した文章は書かない(あたしも気を付けねば)
。でも、これができる男って、芸能人・文化人・政治家・素人関係なく、本当に少な
いんだよね〜。なあ?キムタク?(未だキムタクバッシング続行中)
てなわけでここ何週かは改編期の特番ウィークなので、恒例の「中居正広の家族会議
を開こう!」が放送されました。今回のテーマは「なぜ人を殺してはいけないか」。
まあ、最近ハヤリのネタだよね。
あたしは最近よく書店で目にする「人を殺しては行けない理由」について書かれた本
を一冊も手に取ったことがないんだけど、きっとどれも犯罪防止にはあまり役立って
いないのだろうなあ。と思う。今回の番組もまた、社会によい影響を及ぼすことはな
いだろう。
結論から言うと、「なぜ人を殺してはいけないのか」ということの前に、「なぜ自分
は人を殺したいのか」ということを考えさせなければ、殺人事件は絶対に減らない。
この「自分が人を殺したい理由」というのは、直接的な動機のことではなく、もっと
自分の内面を見つめろ。という意味だ。今回の「家族会議を開こう!」には、人を殺
したいと思っている若者が何人かスタジオで発言する。中には本当に過去、殺人を犯
したものもいる(ヤラセかどうかは知らん)。理由はいろいろあるように見える。し
かし、そのほとんどが「男の意地」とか、「男らしいオレ」のために他人を傷付けよ
うとしているようにあたしには見えたのだ。
自分の彼女をレイプした親友を殺したいという男。そうは言っても、男しかスタジオ
には登場せず、女の言い分は一切でない。その親友は自分の彼女だけでなく、別の友
人の彼女にも手を出したのだという。男は言う。「自分だけならまだしも、大切な仲
間を傷付けるのは許せない」と、この「大切な仲間」とは、レイプ(女側の証言がな
いので本当の事情はわからないが)された女性ではなく、彼女の恋人の「男」のこと
だろう。女は男の所有物でしかないのだ。
ムカツク女友達を殺したいという女性は、彼氏が今、集団リンチで殺人事件を起こし、
少年院に入っているという。事件の発端は彼女の後輩の、無免許運転による交通事故
死。後輩にバイクを貸した男が、この事件の被害者だった。彼女は手を出さなかった
とはいえ、集団リンチの現場にいた。彼の行為は「やりすぎ」だと思うが、自分も、
学校で自分のことを「整形している」と噂を流したムカツク女を殺したいと言う。う
〜ん、あたしは集団リンチするような男、友達にもなりたくないけど、こういうタイ
プを「男らしくてステキ」とか思っちゃう女の子って未だに多いんだなあ。かなしい・
・。きっと彼女はまた、男に頼んでそのムカツク女を殺させたりするだろう。
自分を捨てた両親を殺したいという彼は、そんな自分を差別した社会を恨むべきでは
ないのか。両親がそろっていなければ、欠陥品のようなレッテルを貼る、その社会の
方が間違っているのに。彼にコメンテーターの大竹まことが泣きながら言う。「両親
が産んでくれてなかったら、人殺しもできないんだからね!」それはその通りだ。で
も、同じ口で、「だから中絶はいけない」と、「絶対的に正しいことを言っているの
だオレは」というような態度で言われちゃうのだろうなあとウンザリする。ムカツク
女を殺したいと言ってた彼女は、この話を聞いて、自分の殺したい理由がくだらなく
思えてきたと言う。やはりわかりやすい説教は人の心を打つのだなあ。多くの後遺症
を残すような気がするけど。
一つだけ面白いエピソードがあった。スタジオにいる彼女は、小学校の時に、「デブ・
ブス」といじめられていた。自殺も考えたが、中学生になって、もうなめられないよ
うにと、体格を生かし、彼女は女番長になる。誰もが彼女を恐れた。そんな彼女に、
小学校時代のイジメの主犯格の男が、気軽に声をかけてきた。彼女は男を呼びだし、
サシ(一対一)でケンカをする。彼女は男を軽々とやっつけ、最後に、急所を踏みつ
ぶしてしまった。数日後、その男が、自殺したと言うことを聞くが、彼女は特に反省
していないという。
スタジオの男芸能人はみな彼女を責めるが、彼女はひるまない。「自分だって自殺を
考えた。でも、死なないですむように自分で強くなった。お互い合意の元でのケンカ
だったし、もともと障害者の人たちだって、障害を乗り越えて生きているのだから、
急所がつぶれたくらいで自殺する方がおかしい」と。あっはっは〜! その通りだよ
〜! まあ、中学男子にとっちゃ、ちんこの問題はかなりつらいだろうけど、何も死
ぬ事じゃないよねえ〜! これもまた、「男の沽券」だかコカンだかの問題なのよね
(あ・つまらねえ・・)。
番組は最後に息子を集団リンチで失った、被害者の母を登場させる。彼女の言葉は確
かに重い。しかし、彼女の息子もまた、「男の意地」から発生する暴力によって殺さ
れていることを忘れてはいけない。
「男に二言はない」。かっこいい言葉のように扱われているが、集団リンチを起こし
た男達は、まさに「友達にあいつをやるって言ったから引き下がれない」と言ってい
た。
「男は女を守る」。その結果が、女の意見無視で行われる男の争いだ。妻の浮気相手
を殺そうとした男は、傷害罪で服役もしたのに、自分の正当性を疑いもしていない。
妻が他の男に心を奪われたのは「取った・取らない」の話ではなく、「新しい恋愛」っ
てだけなのに。
「男らしさ」のせいで傷ついている人間達がたくさんいることを、男達はそろそろ自
覚したらどうだ。
番組内では「私が人を殺したい理由」にばかり時間を割いて、「集団リンチ」がいか
に卑怯なことなのかは全く語られなかったなあ。「男は卑怯なことはしない」んじゃ
ねえのかよ!
それから、故意なのかわからないが、サカキバラや宅間守のような「理由なき殺人」
についても取り上げていなかった。でも、これだって、ちっぽけな自分を大きく見せ
るために、何かでかいこと(でかくないけど)をやりたかった男達でしかないのだか
ら、ヤンキーと50歩100歩だ。理由は、ないわけじゃない。
何かを壊すことで「男になった」と思いこむような風潮はおかしい。暴力を振るうこ
とは、一番楽で、簡単な行為だというのに。本当に辛くて大変なのは、自分自身を見
つめることだ。まあ、こんな事言ってても、あたしだってストレスたまるとすぐ酒に
逃げたりしちゃうよ。こないだテレビでやってた「プチアル中度チェック」をやって
みたら、「要注意」だったよ。でもね、あたしはあたしのプライドを保つために暴力
ふるったりしない。ちっぽけで、卑怯な、弱い自分。それを認めた上で、どう生きて
行くかを考えようよ。それすらできないバカ男達が、なにをやろうと、バカ男のまま
なのだ。お前らを伝説になんかさせない。お前らを、一生バカにし続けることを、あ
たしのライフワークにしたいと思う。
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