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| 第20回 |
「奇跡体験アンビリバボー!」9.11 その時自ら動いた日本人 |

9月11日のNYテロにショックを受けた日本人3人が、犠牲者のために何かできないかと立ち上がる姿を追った今回の企画。「感動のアンビリバボー!」。
1人目は、普通の主婦Aさん(フツーにしちゃ金持ちそうだったけど)。NYテロを伝えるニュースの中で、Aさんには忘れることができないものがあった。
それは、夫をテロで亡くした女性の話で、彼女の夫はたまたまその日、用事があってWTCにいたのだが、ビルが崩壊する直前、妻のもとに電話をかけ、最後
のメッセージを伝えたという心温まるエピソード。このニュースを聞いたA
さんは、いてもたってもいられず、彼女を励ますための詩を書いた。そして、その詩を、娘に英訳してもらい、知り合いの作曲家にメロディもつけてもらっ
た。この作曲家のつてで、なんと、あのマキシ・プリーストがこの曲を歌ってくれることになった(織田裕二と歌ってた歌手。彼って仕事を選ばない人なのか
しら)。一枚だけ製作されたCD。それを携えて、AさんはNYへ向かう。ニュース映像で見たきりの女性を探すのは至難の業だったが、そこはテレビ局の協
力もあって、Aさんはついにその女性にCDを手渡すことができた。女性はその曲を聴いて感動の涙を流しつぶやく。「そうね・・悪は絶対に勝てないわ。」
2人目は、筋肉がだんだんと壊れてゆく、糖原病という難病を抱えたBくん。しかし彼は病気にもくじけず、ギタリストになるという夢を持っている。彼
は、9月11日、グラウンドゼロで、ギターを弾きたいという。しかし、彼は呼吸器がないとすぐに息ができなくなってしまうため、長時間のフライトには入
念な準備が必要だった。バッテリーを機内に5個も持ち込み、数時間ごとに取り替え、なんとかNYにたどり着くことができた。9月11日、グラウンドゼロ
に入れるのは遺族だけということだったので、Bくんはそこからあまり離れていない場所で、ギターを弾く。曲はジョン・レノンの「イマジン」。たくさんの
観客が彼を囲んだ。
3人目は、消防局員の男性、Cさん。彼自身も、阪神大震災の時に、人命救助に携わったので、NYテロで犠牲になった消防士たちが、他人事とは思えなかっ
た。Cさんは、犠牲者の遺児たちのために何かできないかと、絵本を書くことにした。それは、ハクトウワシの親子の物語。ある日、親子が住む森の木が鉄の
鳥によって倒される。(ワシなのに)消防士である父親は、妻と子供を守るために、一人犠牲になる。残された子どもは、夢の中で死んだ父に励まされ、やが
て、父を超える立派な消防士になる。と、いうもの。彼はこの絵本を自費出版し、NYへ送った。彼の絵本は、同じように消防士の父を亡くした子どもがいる
家に送り届けられた。まだ字が読めない子どもたちも、母親に読んでもらうことで、その物語を理解したようだ。
スタジオでVTRを見ていたゲストたちは、みな、言葉を失う。「自分達はあの時、何かをしなければと思いつつ、何もできなかった。それに比べて彼らは偉
い。」たしか、読売新聞の放送塔(投稿欄)にも、同じような意見が載ったように思う。
大多数の視聴者の感想はそうなのかもしれない。たしかにいい話だ。でも、なんだかひっかかるのだ。まず、Aさんのポエムである。A
さんの詩に感動したアメリカ人女性は、先にも書いたが、「悪は勝てない」と、つぶやいたのだ。Aさんの詩は、素人の域を出ない稚拙なものではあったが、
あくまで平和を訴えたもので、アメリカの勝利を歌ったものではなかったはずなのに。
Bくんの場合。彼にむかって無遠慮にカメラを向け、シャッターを切るアメリカ人たち。彼らは、Bくんが健常者でも関心を寄せただろうか?
そしてCさん。これは、言うまでもなく、彼のメッセージそのものが気持ち悪い。父親を英雄視する男たち。しかし、このメッセージこそが、3人の中で一
番、本人の意図どおりに受け止められていたような気がする。
あたしには、テロ事件以降、地味ではあるが、さまざまな活動をしている友人たちがいる。町でスタンディングをしたり、署名活動をしたり、ホワイトハウス
に電話をかけたり・・・。彼女らはAさんのように有名人へのつてもないし、Bくんのように「絵になる」人ではないし、Cさんのように男たちにやさしくも
ない。だから、なのか、それとも、「日本もアメリカの戦争に加担している」とか、ややこしい話はしたくないからなのか、テレビ局があたしの友人たちを取
材することは一切ない。
もちろん、何かのために行動を起こしたとしても、それが実を結ぶことは稀だし、それをはじめから期待して行動するというのも押し付けがましい話だ。で
も、こういう番組を見て、無邪気に、感動「だけ」していられる人って、本当に生きるの楽だろうなあって思うよ。
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