第25回 「薔薇の十字架」昼メロってのはね・・



一週休んだおかげで、ネタがちょっと古いです。すいません。で、「薔薇の十字架」、とりあえず最終回まで見ちゃいました。このドラマは、「夜の昼メロ」 を目指したという、「真珠夫人」のブレイクなしにはありえないドラマだったわけであるが。

ストーリーをかいつまんで説明するとこんな感じ。

主人公・暁(天海祐希)はキャリアウーマン。彼女は夫はいらないけど、子どもが欲しかったので、ひょんなことから知り合った桐吾(三上博史)にセックス してもらい、男の子を産む。桐吾には妻・澄子(石田ゆり子)がいたが、結婚後、何年経っても子どもができなかった。澄子は姑(中尾ミエ)の孫を産めとい うプレッシャーにも耐えていたが、自分の夫が他に子どもを作っていたことを知ってしまう。そんなことも知らずに、桐吾は、精子提供者でしかなかった自分 の立場を忘れ、自分の息子と母親・暁に執着しはじめる。また、暁も、なぜか桐吾を忘れられない。そして、澄子が妊娠しない理由が明らかになる。ピルを飲 んで、妊娠しないようにしていたのだ。彼女は子どもは欲しかったが、もし産んでも、姑に取られてしまうことを恐れたのだ。そんな澄子は若い愛人を作っ て、桐吾を捨てる。また、暁は、実は末期ガンに冒されていたが桐吾には内緒にしていた。しかし、入院中の暁は、子どもに父親との思い出を残そうと、病院 から抜け出し、母親と二人で暮らす桐吾のもとを訪ねる。これきり桐吾には会わないつもりでいたが、桐吾の前で倒れてしまい、病気がばれる。親子3人(+ あの姑? 波乱がないわけがないのにこの辺ははぶかれる)での生活が始まる。しかし、間もなく、桐吾の胸の中で、暁は永遠の眠りにつく───。

昼メロと言うのは、とにかく展開が早い。まず、全11話がこれだけの字数で説明できてしまう時点で、この「薔薇の十字架」は昼メロの資格がない。普通は もっと込み入った物語になるか、もしくは「留璃子さん貞操危機一発物語(ナンシー関)」のように、ひとことで説明できるものなのである。この程度の「昼 メロ」度じゃ、天海祐希に感情移入した不倫中の独身女や、石田ゆり子に感情移入した不妊治療中の妻(ゆり子は不妊ではなかったわけだが)が、きっと公式 ホームページで自分語りしちゃうよ。未確認だけど。

あとね、自ら「昼メロ」なんて、言うもんじゃないと思うのだ。この場合の「昼メロ」ってのは、きっと「突っ込みどころ満載のとんでもドラマ」ってな定義 だと思うのだが、こういうのは、制作者側が「本気」だからこそ、そのズレを指摘することで笑いが産まれるわけで、「さあ! 突っ込んで下さいよ!」っ て、最初から宣伝するもんじゃないだろう。これだったら「藤岡弘による川口浩探検隊ふたたび(テレ朝)」のほうが、よっぽどセンスが良い。「恋に歌えば (優香)」とかも狙い過ぎぽかったが、どうだったんでしょうかね。

「シベリア超特急」の水野晴郎は、真剣に、全力投球で、名作を作ったつもりだった と思う。「真珠夫人」の、中島文博先生だって、「たわしコロッケ」を、 視聴者を笑かすつもりで使ったわけじゃないはずだ。昔から中島脚本に注目してきたあたしとしては(ちょっと自慢げ)、中島先生のブレイクは、素直に喜べ ない。中島先生に、自身の脚本が「トンデモ」として評価されていることを、悟らせるべきではなかった。ビデオの特典に、「たわし」なんか付けちゃいけな い。偽物でいいから、「真珠のネックレス」あたりにしとくべきだったのだ。「真珠夫人」以降、「真夏の薔薇」や「砂の城」のような飛ばしっぷりが見られ なくなるとしたら、ファンとしてこれほど悲しいことはない。(ところで「おれたちはセックスをしたーーーっ!」って叫ぶのって、なんでしたっけ?) 中 島先生の才能(?)はこんなことで揺れ動いたりしないと、信じているけれど。

すいません。話を「薔薇の十字架」に戻しましょう。中尾ミエの姑っぷりも、石田ゆり子のなわとび&ブランコも、思わせぶりなだけで、突っ込む気も起きな い。三上博史が自分の子どもに執着する様は、ハッキリ言ってストーカーなんだけど、そっちより、みんな「ゆり子のなわとび」あたりで満足しちゃうんだろ うなあ。あと、天海の子どもが、なぜか初対面の三上にやたらとなつくあたりも不可解なんだが、「やっぱり実のお父さんは違うのねえ・・」なんて納得する 視聴者も多そうだぞ。あたし的にはこここそ「昼メロ」だと思うのだが。

天海祐希が、自分を慕うかわいい年下の男より、なぜか三上博史に執着するあたりも、「昼メロ」っぽいと言えなくもないが、このような「え? こっちの男 の方がいい奴なのに、主人公は別のバカ男を選ぶの?」というようなことは、別に昼メロじゃなくてもよくあることだからね。「冷静と情熱のあいだ」とか 「昔の男」とか「イブのすべて」とか(←全部昼メロか?)。・・うまい例が思い付かなくてごめん。「やさしいだけの男はいかん」って、誰かが啓蒙した がってるとしか思えないくらい、ドラマの中では「やさしい男(しかも金持ち率高し)」はふられ、自分の好きな女以外にはとことん冷たい(時には暴力も振 るう)ストーカーまがいのバカ男が勝利を収めるのよね。ま、その方がドラマチックになりやすいんだろうけど、そこに逃げっぱなしってのもね。

「昼メロ(風の夜ドラマ含む)」にしたって、最初から「トンデモ」を目指すのは「逃げ」でしかないと思う。視聴者がこんなうがった見方しかできなくなっ たのは、本当に面白くて、夢中になれる番組がないせいなんだしね。(とはいえ「おとうさん」や「ママの遺伝子」を見て、「こんな家族が欲し〜い・」なん て言うバカ素直な視聴者も実在するのだ。世の中ってほんとにわからん)

来年こそは心から「おもしろい!」と言えるテレビ番組が産まれるといいな。・・なんて、あまり期待してないけどね。とりあえず、来年一発目の内舘ドラ マ、「年下の男」に期待! って、またネタ系じゃん!

それではみなさま、良いお年を・・。

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