第27回 「いつもふたりで」「美女か野獣」



うっとおしい女ドラマ二態。である。今クールは、前クールのドラマ不振の反省をふまえてか、どこの局もドラマに力を入れている。その中でも視聴率取りそうなこの二つのドラマ。しかし、あたしはこの二本、見ていてものすごく気分が悪くなるのだ。

まず、「いつもふたりで」。この気持ちの悪いタイトルに、今さら文句言うつもりはない。それより耐えられないのは、松たか子演じる主人公のキャラクター なのだ。

谷町瑞穂(松たか子)は、北国でアルバイトをしながら、有名小説家になる夢を持っている。ある日、彼女のもとに、編集者を名乗る男が現れ、彼女の作品が 小説新人賞を取ったと告げる。早速上京する瑞穂。しかし、その男は詐欺師だった。瑞穂は支度金の名目でまんまと300万円を取られてしまう。無一文で東 京に放り出される瑞穂。しかたなく、東京で放送作家をしているおさななじみ、ポチこと森永健太(坂口憲二)の住む、代官山の高級マンションに転がり込 む。瑞穂はあらゆる出版社に持ち込みをするが、断られ続け、ようやく、弱小出版社の社長(柏原崇→葛山信吾)に(顔を)気に入られ、秘書の仕事を得る。

ストーリー的にも突っ込みどころは満載なのではあるが、今回は瑞穂のキャラクターに絞ろう。まず、瑞穂は、居候の身であるくせに、やたらとずうずうし い。なぜか常に部屋では半そでで過ごし、エアコンの設定温度は30度。部屋の持ち主であるポチが、「熱い」と、温度を下げようとすると、「着ぶくれてた ら動きにくいでしょ?」と、言い張り、30度をキープ。なんて地球にやさしくない女だ。ポチが買っておいたカレーパンは「名前が書いてない」からと勝手 に食う。光熱費と食費は払うが、家賃は「あまっていた部屋」を使うだけだから払わないと言う。口癖は「夢は、願い続けていれば、絶対叶うんだよ!」で、 夢をあきらめようとする他人には説教する。うるさい。ジコチュー。見栄っ張り。そして(演技が)寒い。

せっかく仕事をくれた出版社にも文句のたれ通し。「秘書兼作家ということだから働いてるのに、雑用でこき使って、これじゃ小説書く暇もない」だと。もち ろん、住処を提供してくれているポチにも厳しい。彼は、有名司会者不破圭二郎(みのもんたのイメージ)の事務所で働いているのだが、その仕事内容は多岐 に渡り、不破の愛人トラブルのしりぬぐいまでもやらされる。そんなポチに瑞穂は、「男のくせに使いっ走りみたいな仕事して、なさけなくないの?」と、言 いたい放題。仕事を辞めると言って会社を出て行き、気が変わったと次の朝、平気で出社する。ポチの家を出て行くと荷物をまとめ、やっぱりここへ置いてく れと戻ってくる。

まあ、ポチもただ黙って言いなりになっているわけではないのだが、結局毎回、瑞穂に言いくるめられて、彼女を許してしまうのだ。松たか子のキャラクター を一言で言うならば「ちゃっかりさん」といったところだろうか。

たいした作品を残しているわけでもないのに、他人に対してやたら偉そうに意見をぶつ。・・まるであたしみたいじゃないかと一瞬落ち込む。しかし、「好き なように生きさせろ」と言い続けているあたしではあるが、他人に迷惑だけはかけないよう、心掛けているつもりよ。(そう思っているのは自分だけかもしれ ないが)

次、「美女か野獣」。

東大、ハーバードを経て、パリのテレビ局で辣腕を振るっていた鷹宮真(松嶋菜々子)は、日本のあるテレビ局から、引き抜かれ、報道部に所属される。そこ にはバラエティ班から同じ日に移動になった永瀬洋海(福山雅治)がいた。鷹宮は、視聴率のためならニュースのワイドショー化も厭わない。永瀬の提案であ る「お天気お姉さんをミニスカートに」の提案にも応じる。しかし、いらない社員は冷酷に切り捨てる一面も持っており、バードウォッチングが趣味で、10 年間シマフクロウの映像ばかりを撮り続けるおやじ社員のリストラを発表する。とある県知事選の日、当選したのは大方の予想を裏切って、無所属のただの主 婦。当選確実と思われていたおやじ議員の資料しか用意していなかった報道局は、パニック状態に。永瀬は、当選した女性がエコロジーに関心が深かったこと を知り、リストラ社員が撮りためていた自然映像を編集し、その場をしのいだ。また、その選挙速報は他局の視聴率を上回った。永瀬は鷹宮に言う。「路上に 出れば、あんたのモノサシで測れないことも、あるんじゃないの? もうちょっと部下を信用しろよ。」

たしかにね・・テンポはいいし、起承転結しっかりしてるし、主演の二人もそれなりにはまってるし、「いつもふたりで」よりかは完成度高いと思う。予想ど おりの展開って、結構視聴者を安心させるらしいしね・・。そう。この場合の「視聴者の予想」とは、「できる女が失敗して、男に説教されてぎゃふん」てや つだ。この番組が高視聴率を取るってことは、未だにこういった物語を視聴者が求めてるってことだ。きっと、高視聴率取るけど。あたしだって、高学歴を鼻 にかけてて、部下に対して偉そうな奴なんて、嫌いだよ(女とは限りません)。でも、物語の中で、こんな風に失敗するのって、ほとんどが女だよね・・。男 でこういった扱いを受けるのは、せいぜい不細工なおやじで、しかも主人公の男の邪魔をするイヤな奴だけだ。男のキャラクターで一番多いパターンは、逆に 「仕事ができなさそうなのに、実は切れ者」ってやつね。今回の福山とか、「美味しんぼ」の山岡とか、「GTO」とか、数え上げたら切りがない。でもこれ が受ける要素なんでしょうねえ(まあ、二時間ドラマでは市原悦子みたいなのもいますが)。

そう。今回取り上げた二つのドラマは、一見、女のキャラクターは違うように見えても、「だから女はダメなんだ」って気にさせられる物語なんだよね。「い つもふたりで」の瑞穂は、仕事はできなくても、そのうっかりちゃっかりさで、まわり(特に男に)に許される女。男でこのキャラは通用しないだろう。

そして「美女か野獣」の鷹宮は、実は仕事のできないキャリアウーマン。ドラマをぼ〜っと見ていたら、永瀬のキャラクターは、「弱き(リストラ社員)を助 け、強き(鷹宮)をくじく」、すばらしいキャラクターのように見える。でも、同じ人間が、「お天気お姉さんオーディション」でやってきた女の子たちに、 無意味に水着を着せて大喜びで審査することを、誰も疑問に思わないんだろうか。

某辛口ドラマウォッチャーのサイトで、「美女か野獣」について、こんなことが書かれていた(表現は正確ではありません)。 「現実でこの手の女は、ショートカットで声が野太く、服はダサイか超ブランド志向なのにあんな巻き髪でかわいい声で部下を叱ってもうそっぽい」 ん〜、一般人の「男の上に立つ女」へのイメージって、本当に、遅れているのだなあ(男の上に立つ女=フェミではありません)。今、男社会でバリバリ働い てる人って、菜々子並みに(下手したらもっと)きれいな人、多いと思うよ。だって、今は「仕事ができるのに女らしい」ってのが、できる女の条件だから ね。まったく、女は何をするにも多くを求められちゃって、たいへんだよなあ・・。

むかつくドラマではあるが、今後も見続けたいと思います。「高校教師」に「年下の男」にキムタクetc・・今クールは見逃せないドラマばかりで、たいへ んだよ・・。

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