第28回 「マネーの虎」



「吉田栄作、激怒! 突然退場!」テレビ画面の左上に、その文字はあった。あたしは「マネーの虎」の熱心な視聴者ではないので、この時ばかりは「呼ばれ た」としか言い様がない。とにかく、その文字に何かが起こる予兆を感じた(感じるも何も「激怒!」って書いてあるのだが)あたしは、すぐさま録画ボタン を押した。

いや〜、ひさびさにいいもん見た。最近のバラエティって、「つまらない天然」より「おもしろいヤラセ」が主流になっていて、それはもちろん正しいとは思 うんだけど、堂々とヤラセしてる割には、つまらないものも多くて。で、「つまらないヤラセ」は所詮、「ものすごい天然」に負けてしまうのだ。

今週の内容の前に、「マネーの虎」を知らない方のために、一応説明を。
何か事業を興したいと思っている素人が、自分のプランを、あらゆる業界で活躍して いる社長(虎)相手にプレゼンする。虎が、それを気に入れば、依頼者の希望額を投資する。インチキ臭い依頼者がこてんぱんにされる様を楽しめるのかと思 いきや、虎の方もみなインチキ臭く、依頼者がこてんぱんにされても、あまり視聴者はカタルシスを得られないという、不思議な番組。その「後味の悪さ」を 楽しむのも、それはそれで鑑賞法の一つなのだろうが。そしてなぜか吉田栄作が進行役として座っているが、彼は何の役にも立たない。

今回の依頼人は、今までにない芸能プロダクションを作りたいと言う。見た目、40代。無精ヒゲ。ちょっと江川達也似の、しょぼいおっさんである。彼は、 実名を出して(番組ではイニシャルのみ)、深田恭子や松嶋菜々子やキムタクの、芸のなさを指摘する。「日本の芸能界はこれではダメになる。自分は単なる アイドルではない、演技力も歌唱力もある、本当の芸能人を育てたいのだ」と。

オヤジの能書きはどうでもいい。彼は、ネットアイドル(笑いどころその1)を300人面接し、その中から31名まで絞り込んでいると言う。そしてさらに その中の精鋭を5名、ここに連れてきたと言うのだ。それでは、その5人は「完璧な芸を身に付けているのか」と問う虎に、依頼者は「まだまだです。これか ら2年かけて特訓します」と、きっぱり。それを聞いた吉田栄作は、甘い考えで芸能界に入ろうとする依頼人に、静かに自分の芸能界に対する思いを語 り、「僕、ここにいたくないです。(彼女たちのパフォーマンスが終わったら)戻ってきますから。・・役目があるんで(笑いどころその2。奴に役目などな い)」と、わかるようなわからないような理屈で、退場する。

栄作と入れ替わりに入ってくる女の子たち。顔は(彼女たちの将来性を考えて)モザイクがかけられている。しかし、服装が、イケテない。今時、ミニスカに 厚底ブーツ。メインボーカルの子は白いブラウスの襟ぐりを肩からずり落としている(それともこうゆうデザインなのか?)。オヤジの趣味、バレバレ。女の 子たちは二人一組で抱き合い、ポーズを決める。そして、曲が始まる(笑いどころその3ってゆうかこの破壊力には栄作の渋い顔も負けた)。

「しんじることくじけないこと!
ゆめにむかってはしりつづけることヘイ!(ラップ)
アイフィ〜ルインマイパーワ〜〜!
願いがかなうこ〜とお〜♪」

・・ものすごい音痴だ。ダンスもどへたくそ。しかし、それに加えて、曲もひどい。いくらベタなものが流行る世の中とは言え、それは「よく聞くとベタだけ ど、なんか洋楽っぽい」とか、ごまかしを利かせた上でのヒットだろう。あたしは音楽のことなんか分からないけど、これがダメな曲ちゅうことくらいは分か るさ。そして、この曲の作者は、間違いなく、依頼者のオヤジだ。だって、脇で一人ノリノリだったもの。しかも、これ、練習期間はたったの一日だったらし い。もちろん金はもらえなかった。

オヤジが楽屋へ戻り、女の子たちにダメだったことを伝えると、彼女らは、泣きながら、「でも・・またみんなで踊りたい・・。だから・・ついて行きま す!」 その言葉を聞いてご満悦なオヤジ、うんうんとうなずきながら、「次だな。」と一言。があ〜ん!!! ものすごい事故のような天然っぷりを堪能し たあたしではあったが、なんか、やっぱり、すっきりしない。彼女たち、たぶんまだ10代で若いんだろうけど、あたしの10代もこんなに愚かだったの かっ? このオヤジ、本気は本気なんだろうけどさ、何の才能もないぞっ! 

他人から見たら叶いそうもない夢でも、それを追いかけることを咎めるなんて、あたし如きがしていいはずはない。だってあたしも夢追い人の一人だし(苦 笑)。でもね〜、年取ったら用なしで、脱いだくらいで騒がれて、レイプシーンは体当たりの演技で、セクハラされまくりなそんな芸能界に憧れるその気持ち は、あたしには残念ながら分かんない。モーニング娘。のせいで小学生からブランド服来て、化粧して、成長期にダイエットして(そりゃ小顔にもなるわ。っ ておばさんぽいのを承知で言ってみた)なんか、こういうイタイ女の子が、最近増えてる気がするよね。「オヤジの理想的な女の子」を演じることが楽しいな んて。ああ。

今回の「マネーの虎」は、このオヤジと、もう一人、以前マネー獲得した男が、パスタ屋を開店するまでの模様が放映された。この二人の男に共通することが 一つだけあった。言っておくが、根拠のない自信や、目が死んだ笑顔、よどみないしゃべり。などは、これ以外の依頼者にも共通することなので、それは今さら。今回の二人に 共通すること、それは、「イボ」である。

芸能オヤジも、パスタオヤジも、顔が不細工なのはともかく、顔に、1センチはあろうかと言うでかいイボ(ホク ロ?)がある。しかも二つ三つ。これが女だったら、「マネーの虎」に出る前に、「ビューティーコロシアム」でイボを取ってもらうだろう。別にイボが悪いってんじゃないよ。女だったらそれだけでコンプレックスの温床になりそうなそのイボを、何にも気にせず(気にしてるかもしれないけど)堂々と、テレビ 出演できるなんて、オヤジならではだよな〜。イボがすべてを象徴している。というのは言い過ぎか。

こないだ、女3人で飲んだ時、あたしともう一人でなぜか加藤和也(美空ひばり息子。マネーの虎レギュラー)の悪口大会になった。後日、その話に加わらな かった友人に、「あんなに加藤和也を憎んでいる人を初めて見た」と言われた。話の内容は(酔っていたので)よく覚えてないんだが、あいつの存在を許しな がら幸せに生きられる人の方があたしは信じられないよ〜!! 確かにビミョーなキャラではあるが、笑えないよ〜!! ・・みなさんはどう思う?

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