第34回 「よい子の味方 新米保育士物語」



ふふ。あたしの予言、当たりましたね。「雲と波と少年と」打ち切り。まあ、あたしでなくともみんなそう思ってただろうけど。そして苦し紛れの「電波少年」総集編。懐かしいけどつまらなかった。猿岩石やドロンズに「電波少年には感謝してます」なんて言わせてないでさあ、近況取材とかしてほしかったなあ。特にドロンズ大島。

さて、「よい子の味方」。これは、男女雇用機会均等法だかのおかげで男性保育士(桜井翔)を雇うことになった、とある保育園のドタバタ人情コメディである。こんな風にひとことで説明すると小バカにしているようだが、そこまでドラマとしてひどい出来ではない(他にもっとひどいのはあるという意味で)。

桜井翔が担当のばら組には、シングルマザーに育てられている園児がいた。母親の職業は看護婦。急患が入るなどの理由で、お迎えの時間が遅れることもしばしば。娘はお母さんの仕事に理解を示しながらもどこか寂しそうだ。ある日、その子が保育園で熱を出してしまう。すぐに母親に連絡を入れるが、ちょうどその時、彼女の病院に交通事故で重体の患者が救急車で運び込まれてくる。子どもの病気にも駆け付けない母親に、桜井は怒りを覚え、先輩保育士の静止も聞かず、病院に向かう。しかし、そこで彼が見たものは、他人の命を救うために、誇りを持って働く母親の姿だった。桜井はひとりよがりだった自分を反省する。

また別のエピソード。妻に先立たれ、自分の母親(つまり園児から見たらおばあちゃん)に娘の世話をしてもらっているシングルファザー。しかし、母親が入院し、彼が面倒を見なければならなくなる。料理も、洗濯も、ぞうきん縫いも、すべて初めての経験なので、うまく行かない。それだけでなく、彼はこれまで娘を他人にまかせっきりだったため、娘の好きなものも、嫌いなものも、何一つ知らないのだ。娘のためにと見合いをしたり、ベビーシッターを雇おうとするが、娘はどんどん不機嫌になり、父親を無視するようになる。しかし、桜井は、その子の描いた絵の中に、真実を見つける。彼女の描いた絵には、いつも、自分とお父さんがいたのだ。彼女は本当はお父さんが大好きで、彼女の望みはお父さんと遊ぶことだけだったのだ。父親は反省し、娘と泥だらけになりながら遊ぶ。

たまたまあたしが見たのがこの二話だったというだけで、別にシングルマザーとシングルファザーの話を比較し、怒るつもりもない。もちろん突っ込みたい部分も多々あるが、わざわざ書かなくても分かっていただけると思う。(一つだけ指摘させてもらうと、園児の母親や先輩保育士が、桜井が男だというだけで、「男に務まるはずがない。男には母親や子どもの気持ちはわからない」と決めつけているくだり。これは「ジェンダー」の話なのか。それとも「男脳」「女脳」の話なのか。「そりゃ、男には母親の気持ちは分からんだろ」と思いつつ、何か釈然としないのである)

「よい子の味方」は、キャラクターも起承転結も極端で、オチも分かりやすく、「ありえねえ〜」安易さで物事が解決する所が、キムタクの「GOOD LUCK!」に非常に似ている。それどころか、笑顔のかわいさだけを見れば、キムタクより桜井翔の方が圧倒的に勝っている。性格だって素直でかわいいしね(単に好みの問題かもしれないけど)。しかし、実際の視聴率だけでなく、あたし自身も、「GOOD LUCK!」は暇だったら(突っ込みつつであれ)見たりもするのだが、「よい子の味方」は、毎週録画しているにも関わらず、なぜか、後回しにしてしまうのだ。

この二つのドラマはどちらもジャンルで言うと「お仕事ドラマ」と言える。しかし、「GOOD LUCK!」は、舞台が航空会社である。「お仕事ドラマ」というのは、人間ドラマ自体より、皆になじみのない職業の裏側を楽しむという一面もあると思う。視聴者の一体何割が、飛行機のコクピットや、整備工場をのぞいたことがあるだろうか? この、まるでテーマパークにいるかのような感覚が、物語の「ありえねえ〜」度を薄めてくれるのである。また、「保育園マニア」というものは存在しないが、「飛行機マニア」というものは確実に存在しており、濃いの薄いの合わせれば、視聴率1%くらいはいくんじゃないか? スッチーマニアもいるし。

しかし、「よい子の味方」の舞台は「保育園」だ。保育士経験者は少なくても、保育園(または幼稚園)には、ほとんどの視聴者がかつて通ったことがあり、また、物語のテーマは毎回「家族」である。家族と呼べる存在が身近にいようがいまいが、誰でも一度はそれについて考えたり、悩んだりするはずのものだと思う。そして、身近であるからこそ、あらゆる問題が50分でおさまるほど簡単に解決することなどないと、視聴者は(無意識にしろ)身に滲みてわかっているのだ。年に数回飛行機を利用するくらいでは、「GOOD LUCK!」のように、「生きるか、死ぬか」のトラブルに巻き込まれることはまずない。あるとしても困った酔っ払いオヤジくらいだろう。キムタクの「ぶっちゃけ」で事件が解決しても、想像力に乏しい視聴者は、100%「ありえねえ〜」と切り捨てることができないのだ。「男性保育士」という職業のドラマは、たしかにかつてないもので、「ナースマン」の二匹目のどじょうを狙ったのだろう。しかし、「ナースマン」は所詮「医者もの」の亜流でしかない。

「よい子の味方」レベルのほのぼのファミリードラマは、主に昼の時間帯に多く放送され、主婦層に好評のようではあるが、それも、「真珠夫人」のインパクトの前には完敗してしまう。リアルな問題を突き付けといて、強引なハッピーエンドを見せられるくらいなら、いっそ「サザエさん」のようなとことんフィクション、とことんマンネリを見る方が、視聴者はよけいなことを考えずに済み、安心するのだ。

そうは言っても、スタジオジブリによる、りそな銀行CMの「理想の家族像」は薄気味悪い。健康そうな爺と婆、体の異様にでかい亭主、体の異様に小さい妻、無邪気な娘、息子、おまけにしつけのできた犬までいる。そしてあのデブの営業マンは何? トトロ?

週刊モーニングで連載中の「ブラックジャックによろしく」が、次クールにドラマ化されるという。このマンガの反権力!な感じに共感する読者は多いだろうが、どこまで忠実にテレビドラマで再現するつもりでいるのだろうか。たとえば、ダウン症の胎児のエピソードなど、せいぜい言葉狩りをするしかできない今のテレビ界でそのまま扱えるとは思えないのだが(マンガの内容についてはまた言いたいこともあるがそれは別の機会に。)このマンガを初めて読んだ時、「あ〜、ドラマ化したらキムタクがやりたがりそうな熱くて正義な主人公だな〜」と思ったが、主演は妻夫木聡くんらしい。そこだけが救い。


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