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連載が始まって以来、最終回宣言をしておきながら舞い戻ること数回。「またかよ」と言われそうですが、今度こそお休みします。そこで今回は最終回スペシャルと致しまして、何かをけなすのではなく、あたしが本当に大好きなものをいくつかご紹介したいと思います。
「ジャスト」の「う〜ん、マダムに会いたい」だったか、何で見たのかは忘れたが、こんな女社長がTVで紹介されていた。彼女は、こじんまりとしているがセンスの良い一戸建てで、一人暮らし。レポーターは一階のリビングから、二階に向かう。階段を上った所にあったのは、壁一面のショーケース。その中は「ザ・シンプソンズ」グッズでぎっしりと埋め尽くされていた。あたしはどんなに宝石やブランドバッグを自慢されても、まったくうらやましいとは思わないのだが、この時ばかりは、その女社長が心底うらやましかった! それはまさに、あたしの理想の生活だったから!!!!
あたしは、アメリカの大人向けギャグアニメ、「ザ・シンプソンズ」が大っ好きなのだ。「ザ・シンプソンズ」と聞いて、CCレモンのCMしか思い浮かべない方も、日本には多いだろう。しかし、ファンの立場から言わせてもらうと、あれはまったく素材を生かしていない、ダメCM。あんな中途半端な使い方じゃ、新たなファンは増えないし、本気のファンは冷笑するしかない。なぜファンは冷笑するか? それは、「ザ・シンプソンズ」のネタが、あまりにも過激で、日本の民放ではまず、放映できないアニメだからだ。ましてやCMでそのまま使えるわけがない。日本にもファンが多いと聞き付け、CMキャラクターに使ったんだろうけど、ちゃんとアニメを見てから決めてほしいわ。
シンプソン家の父親、ホーマーは原子力発電所で働いている。←もうこの設定から日本では難しそうなのに、さらに、
その原発の社長は金儲けしか考えておらず、管理もずさんなため、放射能は彼らの住む町にだだ漏れで、川には3つ目の魚が泳いでいる。←ここで顔しかめた方はもうこの原稿読まなくて良いです。あたしとは気が合いそうにありませんから。
シンプソン家の子どもたち、バートとリサが楽しみにしている劇中アニメ「イッチー&スクラッチー」は、「トムとジェリー」のパロディ。しかし、そのネズミのネコいじめは「トムとジェリー」よりも過激で、残酷。宇宙服なしで宇宙に放り出し、体を破裂させたり、自分で自分の体を食べさせたり…。
って、ああ〜!文章でいくら説明しても、面白さは百分の一も伝わらねえ〜〜!! なんか、これだけ読んでると、あたし単なる鬼畜さんじゃん。いや、そうなんだけどね。「ザ・シンプソンズ」が好きなフェミなんて認めない!って言うんなら、あたし別にフェミじゃなくてもいいし。
「ザ・シンプソンズ」には、差別がてんこもりである。人種、性別、宗教、セクシャリティ…。でも、だからなんだ? 逆にディズニーや日本のテレビ番組のように、差別が全く存在しないかのように振舞って、「夫婦ってすてき!」「お涙ちょうだい!」ってやってる奴らの方がよほど醜くないか? ホーマーは、「不器用ですから…」が口癖の「日本の、伝統的なオヤジ」とやってることは同じ。大酒飲みで、なまけもので、めちゃくちゃで…。ただし、ホーマーは「ダメオヤジ」として笑われる分、健全だ。
ああ、こんな言い訳するのも野暮だわ。とにかく、興味がある方は一度見てみましょう。WOWOWや、FOXチャンネルなどで見られます。DVD BOXも限定販売されてるけど、今の所初期のシーズンしか出ておらず、まだネタがぬるいのであまりおすすめできません。回を重ねる毎に徐々に過激になってゆくので。ブッシュ元大統領(現大統領のパパね)とか、著名人が実名でバカにされるエピソードが多いのもすばらしい。高橋春男の4コマなんて、これと比べたら毒でもなんでもないから。
アメリカにいろいろ絶望させられている昨今なわけだけれど、こういうものが作れるという点では、確かに日本よりも自由かも。なんて思ってしまうよ。日本ではなぜブラックコメディーが(特にテレビ界で)やりづらいんだろう。最近の国産アニメってくわしくないんだけど、「スーパーミルクチャン」くらいかしら?(←これも好き)
ハッ!まさか、フェミニストの抗議を恐れているんだったりして〜!(←笑うとこ)
その他、「レン&スティンピー」「パワーパフガールズ」「スポンジボブ」等、「子ども向け」の皮をかぶった恐ろしいアニメ(褒め言葉)がアメリカにはたくさんあります。オススメ。あと、カナダの「アンジェラアナコンダ」もいい味出してます。
最初に書いた女社長の他に、あたしが憧れる暮らしというのがもう一つある。それは、「ムーミン」シリーズの原作者、トーベヤンソンの生き方だ。彼女は、80歳になるまで、夏の間は無人島を借り、そこでたった一人で生活し、執筆活動をしていた。そこには、本当に親しい友人だけが、時折訪ねて来たという。
「ムーミン」もまた、「好き」って宣言しちゃうといろいろ突っ込まれそうではある。ムーミン谷には、「職業」というものがなく、パパはいつも「何かでっかいことをしたいなあ」と、夢想に耽っているだけで何もせず、ママは、そんなパパや息子のムーミンのために、家事をしてやっているのだから。だけど、これはそんな表面的な物語ではないのだ。
「怒るんなら、怒るがいいさ」
と、ちびのミイは歯でじゃがいもの皮をむきむき、意見を述べました。
「だれだって、ときには怒るほうがいいのよ。どんな小さなはい虫だって、怒る権利はあるのよ。だけど、パパの怒り方はいけないわ。パパは怒りを外に出さないで、中に閉じ込めるんだもの」
「まあ、パパは、自分のやっていることは、ちゃんと知っていらっしゃってよ」
と、ムーミンママは言いました。
「そうは思わないわ。パパはちっとも知っちゃいないわ。そうでしょ」
と、ちびのミイは言いました。
「ほんとうはね」
と、ムーミンママもそれを認めなくてはなりませんでした。
『ムーミンパパ海へいく』講談社文庫より
「ムーミン」の原作ファンには、スナフキンよりも、ちびのミイが好きだと言う人が多い。あたしはフェミニズムの本ではなく、ミイから、孤独のすばらしさを教わった。
「天国だって? …わたしたち、天国へ行かなきゃならないの? どうやったら、そこから出てこられる?」
「あんたね、闘うすべを学ばない限り、自分の顔を持つことはできないのよ」
この二つもミイのセリフ。なんてすてきな言葉だろう!
最後に、トーベヤンソンによる、ムーミンについての大好きな一文を引用して、終わりにしたいと思います。
「ムーミンの家族はいたって自然なかたちでしあわせなので、自分達がしあわせだということさえ知らない。彼らは一緒にいてしあわせで、互いに自由を与えあう。つまり、ひとりでいる自由であり、自分なりの考えを持つ自由であり、分かちあってもよいと思うまではその考えを秘密にしておく自由である」
またね!
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