フェミに片思い
プロフィール

第01回 はじめまして

 本屋や図書館に行けば山ほどあるフェミニズム関連の本と、フェミパッシング関連の本。
それらを(もっぱら立ち読みで)読んでいると「フェミニズム」というお題で世の中全体が喧々諤々しているかのように感じます。 でも。なんとなく。自分はなんとなーく、蚊帳の外にいるような。
 そういう気分を 『フェミに片思いしてます』と北原みのりさんにメールを出したら、『どうして片思いなのか。両思いとは、どういう状態を言うんでしょう?』と返信をもらい、今回ラブピースクラブのHP上で『フェミ片思い感』について書く機会をいただきました。
 様々な年代、生活環境、セクシャリティを持つ皆さんにとってはたして面白い内容になるのか少々不安ですが、思ったままを書いていこうと思っています。どうぞよろしく。

 ラブピースクラブに遊びに来る皆さんは、ご自分のセクシャリティのあり方とか、フェミニズムに多少なりとも傾倒している自分、ここでラブグッズをお買い物している自分をすっかりむき出したままお喋りを楽しめる友人を何人持っていますか?
 私は30数年生きているにもかかわらず、そういった友人は(ネットを通じて知り合う顔も知らない知り合いを除けば)・・・一人です。情けない事に、高山真さんのエッセイの出版決定を一緒にきゃーきゃーと喜びあうリアルな友人が、たった一人なの(涙)。 

 フェミニズムに出会ったときに「あ、寝た子が起きちゃったよ」と思いました。そんな自分の気持ちを理解してくれるひとが一人でもいたのは私にとっては救いでした。転居したために、殆ど逢う機会はなくなっちゃったけど、その友人と夜、子供を寝かしつけてから長電話するのは本当に幸せな時間。・・・ですが、彼女とそういった時間ばかりを過ごすわけにもいきません。フェミ欠乏感をつねに感じながらこなす近所での井戸端会議。携帯電話にLPCのストラップを付けていたって、誰もそれに気付かない私の生活環境。はっきりいって寒い。寒いです。皆さんはどうですか? 特に地方の濃厚なジェンダーロールに染まらざるを得ない方々。私と同じように「フェミ、一体ドコに浸透してんだよー」と寒がってはいませんか?大丈夫ですか?

 普段生活していて「フェミな感覚」を見ることはしょっちゅうあります。私がパートナーの仕事の転勤で移り住む事になった地方都市の一角はいわゆる転勤族と地元組が混ざり合った住宅地です。子供のPTA活動で知り合った明らかに元ヤ○キーで「男ってさぁ、女ってさぁ」と私が一番嫌いな話のふり方をする地元組のある女性だって、一緒にベルマークの集計作業をしながら「こないださー、ケータイで友達と長電話してたらさー、ダンナに『お前の電話代の為に働いてるわけじゃないぞー!』って、すごまれてさー。そんなのヘンじゃんねぇ。あいつが働けるのはあたしが家の事やってるからじゃんねぇ」とぼやいていました。・・・これって充分、フェミな感情ですよね。

「家庭内労働に感謝の気持ちを持てないオトコなんて最低だよ」
ガムに付いてる小っちゃいベルマークを点数別に仕分けしながら私が言うと彼女は嬉しそうに相槌をうってくれます。その反応に気を良くした私はつい、べらべらと・・・フェミニズムについて喋ってしまいました。
「ナニ、それ? フェミニズムぅ? 澤野さんってば、大袈裟って言うかー、ヘンなのー」
・・・面白がられて終わりました。潜在的に「こんなの、おかしい」とフェミなものの考え方を持っていても、それに「フェミニズム」という名前が付いている事を知りたがらない女性が沢山いる・・・ような気がします。
「フェミニズム? 田嶋陽子でしょ、あの五月蝿いオバサン。あんなのが好きなの?」と別の女性に言われた事もありました。
(フェミ=田嶋陽子、と思っているフェミに興味のない人は、私の周りに沢山います)

 フェミニズムなんて自分に関係ないところのお話だ、と思っている女性の、なんと多いこと。
転居してから四年経ちました。スーパーに行けば顔見知りに声をかけられるほどに慣れてきた今でも「フェミ」というセリフに瞳をきらーん!とさせて反応してくれるひとに出会っていません。有名人ではないフェミニストにアクセスするのって難しい。

 例えば過疎化が進む田舎の本屋の片隅で『男はときどきいればいい』を手にとって、今まで自分が抱えていた感情が言語化されていることに感動するものの(←これはそのまんま、私のことです)、伝える相手を持たずに生活しているひとだっているんじゃないかな。例えば長男の嫁をやってて、しっかりその役割をこなしているけれども、メンタル面の疲れを癒しにこのHPをロムってるひとだって、きっといるに違いない。例えば結婚以外で実家から出る事を家父長的権限に差し押さえられていて、不本意に親の元で生活しつつ「一人暮らししたいよ」とタメイキをついているひとだっているはずだ。

「私はフェミニスト」と、胸を張って言える女性の条件ってなんだろう?
一人暮らしが可能な充分な収入? 精神的な自立? 男性に依存しないライフスタイル? 理論武装できるだけの知性?
仮に条件があるとして、それらを満たさない(満たせない)女性はフェミニズムとどう折り合いをつけていけばいいんでしょう。男性達がホモソーシャル的に無意識レベルでがしっとスクラム組んでいるのに対し、女性達はそういったツールを持っていないような気がしませんか? 若いか老いているか、未婚か既婚か、専業か兼業か、美しいか醜いか、子供を産んだか産んでないか。細かくカテゴライズされていて、お互いにエールを贈り合うことが難しい、理不尽な世の中。

 堂々と「私はフェミニスト」と胸を張ることができないけれど、やっぱり私はフェミが好き。フェミに片思い(乙女チックですみません)してます。そう思っているのは、きっと私だけじゃないよね?
とりあえず緊張の第一回目。読んでくれて有難うございました。ではでは。 

INDEX
第12回 [2003/jun/18]
『主婦』って、なに?
第11回 [2003/jun/11]
ボツになった再就職
第10回 [2003/jun/04]
”女の子ジェンダー”のジレンマ
第09回 [2003/may/28]
予定外妊娠・僻地事情
第08回 [2003/may/21]
予定外妊娠
第07回 [2003/may/14]
ミニオヤジ
第06回 [2003/may/07]
パンツ、洗ってる?
第05回 [2003/apr/30]
連休の憂鬱
第04回 [2003/apr/23]
私の「働けイデオロギー」
第03回 [2003/apr/16]
嫌いと言われても
これより前のコラムを見る▼
▼コラム一覧へ戻る ▲topへ