フェミに片思い
プロフィール

第05回 連休の憂鬱

 LPCのショップに実際に行ってみたい、と思ってはいるけれど、物理的にムリ。ネットでお買い物したり、メルマガやコラムの感想をときどきメールしていただけで一度の面識もない私に「片思い、やってみる?」と言った北原さんって豪放なひとだなぁ、と思いつつ、こんなコラムに需要があるのかしら? とも思ってたら、何人かの方からメールをいただきました。『既婚オンナ』というマジョリティには属しているけれど、フェミに共感するつながりからは離れた場所に立っていると思っていただけに。「ここにもいるよ」と云われて嬉しかったよ〜。なかには「むぅ〜」とうなってしまう問いを下さった方もいまして、冷や汗かいたりもしましたが、糧にしたいと思います。ありがとうございました。

 私は『フェミに共感しているが、現状は主婦』という位置に立っていますが、私に配られたカードを私自身が選んだ結果が『今』なわけで、いやいや主婦をやっているのかと言えばそうでもない、中途半端な生き物なので、『主婦フェミニストとして構築したあなたの主張はいかに?』と言われても、少し、困ってしまいます。

「ええと、とりあえず、予定どうりに妊娠したまでは良かったのですが、予定外に妊娠悪阻で入院してしまい、仕事を自主退職せざるを得なくなったのが非常に残念です」という、的外れな言い訳ならいくらでもできますが、そもそも“主婦フェミニスト”って、この言葉、ヘン。世の専業主婦の半数が主夫になれば、違和感もなくなるのかもしれないけれど。
 政治等のいわゆる“表舞台”の分野もそうだけれど、アンペイドワーク専門の家庭人の“ウラ舞台”の分野もゼヒ、ポジティブアクションやってもらいたいなぁ。オンナばっかりじゃ、つまんない。先回も言ったけれど、大人の100%が賃金労働、幼児、乳児が100%外注育児な世の中って、共産国家じゃなきゃありえないんだから、「オトコは料理と育児ができないと、ダメですね」な〜んて言えちゃう内田春菊級のオンナの子が沢山増えていくといいなぁ、って思っています。(と他者に期待する。ヘタレな私。)

 ゴールデンウィークです。今回、三連休に、田舎へ帰省します。
私の親は孫が生まれてからこっち、連休となると「帰って来い」と電話がかかってきます。親は一応目上の人間で、育ててくれた恩もありますので、フェミはマンコのなかに隠したつもりになって、いつも「さあ、トワイライトジェンダーゾーンへ突入よ!」くらいに芝居がかった気持ちで帰省するのですが、それでも何度か失敗してしまう時がありました。

 数年前。一人目の娘がまだ赤ん坊だったころのお話です。
私たち夫婦と娘、私の両親は一緒に海へ遊びにいきました。孫を囲んでアットホームな数時間を楽しく過ごし、実家へ帰り着いたのは夕方。娘はおなかが空いたのと疲れもあって少しぐずりぎみで、「早く寝かせてあげたいな」と。その思いは誰もが一致しているだろうと、私は思っていました。

  ろくに休憩もせず母は洗濯物を取り込みに庭へ。私も同様に風呂にお湯を張って、夕飯の支度。湯が入れば夫か父に娘を入浴させてもらい、さっぱりしたところで夕飯にしてあげれば、いつ眠ってしまってもいい。
(ところで私のパートナーは、ヘビーな亭主関白タイプ父親を反面教師にして“支配的でないチンコ”を目標にしているオトコなんですが、“男子厨房に入らず”の生育暦が災いして、結婚まもない当時は“その時自分にできるのは何か”を自分で発見する能力に欠けていました。「苫子さん、僕は気が付かないタチだから、申し訳ないけれど注意してね」というのが当時の彼の口癖でした。) ・・・・で。車から荷物を降ろす作業を終えたオトコが二人、なにをするでもなく娘と居間にいました。お風呂にお湯が張るまでの、約15分ほどの時間。この間に、私達の寝室にあてがわれた部屋に布団を敷いておけば、ラクだわ。赤ん坊の世話は、オトナが一人いれば足りるし。そう思って、夫に声をかけました。
「ねぇ、ゴハンつくってるから、寝室に布団敷いてくれない?」
実家にいる、ということを考慮して、やわらかく言ったつもりでした。
ところが、です。「苫子、ちょっとそこへ座りなさい」と父が言い、母が、父の横に座りました。今日は皆疲れてるし、さっさと終わらせてビールでも呑みたいねぇ、と思っていたのに、とんだ計算違い。「オンナが二人もいるのに、婿さんに布団を敷けとは何事だ」と、長々と説教されてしまったのです。『婿』御本人が私を擁護しようとしても、ダメでした。たかが布団を敷くくらいのことを、仕事が休みで同じレジャーを過ごした自分のパートナーに頼んで何が悪い? こっちはゴハン作ってんだぞ?!・・・と言えば説教がヒートアップするのは必至。「みんなでやれば早いじゃん、って思ったのよぅ・・・」と消極的に反論して、「だからお前は我儘なんだ」というオチがつきました。
風呂の湯が浴槽からあふれ出し。昼間の楽しかった気分は、台無しになりました。

 両親が、私の精神性を卑下してまで守りたいもの。
ジェンダーフリーになることはジェンダーレスになることではないはずだし、世の中からまったく『らしさ』がなくなってしまえば、つまらなくなってしまうから、両親がそれを大事にするのは、(賛同できなくても)なるべく尊重したいと思ってる。
 でも。私個人はそれに価値があるとは思っていないということと、両親の価値観は両親固有のファンタジーでしかないことに気付いて欲しい。私のメンタリティだって、最低限は尊重してもらいたいよ。
 子供の頃から、いつもいつも、願うような気持ちとあきらめを両方抱えていました。

近年、パートナーのバージョンアップ(←注意しなくても動ける!)もあって、両親の態度が少々軟化するようになりました。父の定年退職に伴う加齢の不安が、傲慢な態度をとれない一因となっているようなのですが。両親とパワーゲームをやりたいわけじゃなく、ただ、お互いに均等な『尊重』をキャッチボールしたかった私は、少し、寂しいです。

INDEX
第12回 [2003/jun/18]
『主婦』って、なに?
第11回 [2003/jun/11]
ボツになった再就職
第10回 [2003/jun/04]
”女の子ジェンダー”のジレンマ
第09回 [2003/may/28]
予定外妊娠・僻地事情
第08回 [2003/may/21]
予定外妊娠
第07回 [2003/may/14]
ミニオヤジ
第06回 [2003/may/07]
パンツ、洗ってる?
第05回 [2003/apr/30]
連休の憂鬱
第04回 [2003/apr/23]
私の「働けイデオロギー」
第03回 [2003/apr/16]
嫌いと言われても
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