フェミに片思い
プロフィール

第07回 ミニオヤジ

 私の近所には、ひっじょーに顕著なミニオヤジが一人(“ミニオヤジ的”なタイプはごろごろいますが。この子はなかでもスペシャルです)棲息しています。

 彼は、私の次女と同い年です。声は大きいけれども身体的発育が少々遅い、小柄な可愛い男子幼児。自分よりもカラダの大きい男子にはひとかけらも反目できないのに、ウチの娘(←その子より頭半分以上背が高いのよ)に対しては平然と「おんなは(遊びに)いれてやんない!」と言い放つことのできる、幼児にして既にオヤジ的パワーゲームのノウハウを体得しているミニオヤジです。ウチにも遊びに来て同様の暴言を吐く事がたまにありますが、私が「どうして女の子がダメなのか、ちゃんと理由をいってごらんなさいよ(←幼児相手に大人気ないことを・・・)」と詰め寄ってやると、「だって幼稚園ではそうなってるんだも〜ん」ともごもごしながら自分ちへ逃げ帰ってしまいます。

 彼の御母堂は専業主婦で、息子の相手をするために家事全般を息子の不在時(幼稚園にいるとき、あるいは眠っている時)にこなし、まさに『滅私奉公』を地でいく育児方針を展開なさっています。登園時にしかできないじゃん! と、家事をほっぽりだしてツタヤでレンタルしたビデオに見入ったり、本を読み耽ってしまう私とはえらい違いです。ごくごく近所のために、お互いに好まざるにもかかわらず会話を交える機会に恵まれますが、やはりというか、どうしてそうなるの、というか。それらのエピソードは『子育て@オヤジ育成マニュアル』を拝聴しているかのような気分にさせられてしまいます。

 妻が育児疲れから病気(←彼女、帯状疱疹だった)にかかってしまっても、妻子を家に置いたまま、休日は変わらずゴルフやテニスへ出掛けることができ、しかも帰宅すれば夕飯が待っていると思ってるオトコ(←彼女の夫。見た目は優しそうなひとなんですが)のメンタリティ、私にはさっぱり理解できないのだけれど、それに『Yes』をさし出しているミニオヤジのママの気持ちには寄り添えないし、そんなことに耐えていないでよ、とむしろ腹が立ちます。『被虐プレイのマゾ趣味なの?(←命がけですな)』くらいに妄想を逞しくしちゃうくらいに。生活をシェアしていてそりゃないだろ? って。思うよね?
そうでなければ「体調の悪い時くらい子供の面倒を見て、って、どうしてダンナに抗議しないの?!」と私が言うたびに見せる、彼女の曖昧な苦笑は痛々しすぎます。

 もしも、子供を交えた家族として、特に「母として」というコードで、こうあらねばならない、って感じで堪えてるんだったら。・・・・やめてもらいたいよね。
 そんな環境で成育された日にゃ、男の子はオヤジになっても仕方ないもの。死なない限りオンナは家事をこなすもんだと、原始記憶にインプットされちゃうよ。
・・・と、ここでハタと気付いたのですが。もしかしたら、この『原始記憶』が、妻が死にそうに具合悪くても遊びにいけちゃう免罪符になるの?     
こうやって脈々とオヤジジェンダーは再生産され続け・・・一部の知識人が恥ずかしげもなく世の乱れを「全部母親が悪い」と真面目くさった顔で言う、言えちゃうのはこのせいなのか?・・・う〜ん。合掌。

「おかーさんのせいだよ!」
気に入らないことがあるといつも、母親のおなかを叩きながら吠えるミニオヤジ。
その頭を撫でながら「はいはい、ごめんね」と意味不明に謝る彼女。
私の兄の子供の頃を見るような、既視感たっぷりの光景に「やっぱり男の子って、やんちゃよねぇ」と和む母親グループ。私の娘とやりあう時は文句の一つも言えるけど、そうでないときはサイコ扱いされてしまうわね・・・と、母親のおなかに張り付くミニオヤジをひっぱりはがして「どうしておかーさんが悪いのか、言ってごらん」と言いたいのをつい我慢してしまう私。
子供は不器用ながらも狡猾な生き物です。厚顔無恥なオヤジジェンダーを身にまとってしまえば、さしたる理由もなく『オンナ』を見下げ、高い位置に立っているかのように錯覚することができるのだから、男の子がそれに飛びついてしまうのも無理はないってもんでしょう。
私が子供の頃、強烈に「オトコになりたかった」のも・・・『飛びつき』たかったんでしょうね。きっと。 

『おかあさん』『妻』『会社で同僚の女子社員』『恋人』という名前のオンナは、なんの身体的、精神的な負荷もなく、軽やかに家事や育児やお茶汲みや介護をやってのけると無邪気に信じてる(あるいは信じてるフリをしている)オトコは子供時代きっとミニオヤジに似ていたに違いない。

ミニオヤジ。ああ、あなたに、あらゆる問題をお母さん任せにする、そのみっともなさを教えてあげたい。『男の子』だからって逞しくなくったっていい。泣いたっていい。自分のポジションを維持する為に女の子に空威張りする必要はないのよと、そっとミニオヤジ印のついた下駄を脱がせてさしあげたい。
女の子だけの家庭科授業はなくなったけれど、幼児を取り巻く環境はまだまだ「オトコは度胸、オンナは愛嬌」のまま、フリーズしてる。フェミに共感するオンナが『子供を産む』ことに二の足を踏むのは当然で、だから“子持ちオンナ”のカテゴリにフェミ要素が希薄になっているのも当然といえば当然なんだけど、“男(女)の子って、こうだよね〜”といった類の“決め付け”が氾濫している現状に辟易します。「そういうのって、おかしいよ」と声をあげることに疲れ果ててしまうほどに。

もし、男の子が産まれたら。絶対、無意識に高下駄履けちゃうような男子には育てない!・・・と決心も固く妊娠してみたんだけど、意気込みをY染色体に悟られたらしく、私のところに男の子はやってきませんでした。一人くらいそういう男子を育ててみたかったんだけど。世の中、なかなか上手い事いきませんねぇ。

INDEX
第12回 [2003/jun/18]
『主婦』って、なに?
第11回 [2003/jun/11]
ボツになった再就職
第10回 [2003/jun/04]
”女の子ジェンダー”のジレンマ
第09回 [2003/may/28]
予定外妊娠・僻地事情
第08回 [2003/may/21]
予定外妊娠
第07回 [2003/may/14]
ミニオヤジ
第06回 [2003/may/07]
パンツ、洗ってる?
第05回 [2003/apr/30]
連休の憂鬱
第04回 [2003/apr/23]
私の「働けイデオロギー」
第03回 [2003/apr/16]
嫌いと言われても
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