1日目: Nice to Meet You! (はじめまして!)

 Hi!  My name is Ai Akebono. 今度、新しい連載を担当させていただくことになりました。よろしくお願いしまーす!

 最近、セックスワーカーの話ってちょっとブームみたいだけど、「トランスはお好き?:セックスワーカーAiの営業日誌」は一味も二味も違う。まず第一に、主人公のセックスワーカー、Aiちゃんが、男でも女でもなく、トランスだってこと。外見は女だけど、股の間にペニスがついている、いわゆる、MTF(Male to Female:男から女)ってやつ。そんなんでセックスワークできるのかって? そういうのを好きなお客さんがいるんですよー。不思議なことに。まあ、この件はおいおい話すとして・・・。

 第二に、舞台が、アメリカ西海岸のサンフランシスコだってこと。お客さんは、白人だけでなく、アフリカン・アメリカン、ラテン系アメリカ人、アジア系アメリカ人、日本人などさまざま。ということは、お客さんのペニスの大きさや形や堅さも実にさまざま・・・。じゃなくて、(いや、それも大事だけど)いろいろ変わった人がいたってこと。

 第三に、Aiちゃんは、お店で雇われたのではなく、“自営”でセックスワークをやったってこと。つまり、宣伝から始まって、インターネットのホームページ製作、事前の料金や条件交渉、お客さんの接待など、全行程を一人で請け負っていたってわけ。「ビジネスウーマン」って言うとカッコイイけど、現実には、かなりキツかった。柄の悪い客も多かったからねえ〜。

 第四に、Ai ちゃんは、セックスワークをしながら、お客さん相手にセーファーセックスの啓発活動をしていたってこと。とにかく「セーファーセックス以外はお断り」で貫いていた。そんなことできるのかって?う〜ん、でも、そうしたら、「Ai ちゃんとは、安心してやれるからいい」という客がつき始めた。ラッキー!でも、そういう殊勝な人は、思ったほどいなかったというのも事実。現実はそんなに甘くないのだ。

 第五に、Ai ちゃんは、お客さんとのコミュニケーションを売りにしていたので、身体に障害のある人や、超肥満の人、老齢者、性器の機能障害を持っている人などの相手をよくすることになった。おかげで、珍体験のオンパレード。ホント、世の中には、いろんな人がいるよね〜。

 どう?ちょっと変わってるでしょ? 結構、プロミッシング(前途有望)だと思わない? 

 Aiちゃんこと、私は、28歳の帰国子女。日本で生まれたけど、親の仕事の関係で、小中学校の大半をアメリカのサンフランシスコで過ごした。高校は、日本。大学にも行き始めたんだけど、なんかつまらなくって、サンフランシスコへ戻ってふらふらしていた。でも、やっぱり、大学は卒業しとこうと思って、現地の大学へ再入学。文化人類学を専攻した。でも最近、家族のこととかいろいろあって、再び日本にもどってきた。

 私がセックスワークをしていたのは、だいたい、1998年から2000年の間。当時、まだ学生をしていた私は、学資を稼ぐためにセックスワークを始めた。でも、実は、セックスワークをするのは、私の長年の夢だった。私は、なぜだか中学生の頃から「娼婦」というのにずっと憧れていた。

 ここで断っておかなきゃいけないと思うけど、当時、私は、男だった。で、「娼婦に憧れていた」というのは、どういうことかというと、「娼婦と寝たい」ではなく、「娼婦になりたい」だったのだ。もちろん、男だから、そんなの無理だとあきらめていたけど。

 でも、人生、何がおこるかわからないよね。男が女になっちゃうんだから。ある日目覚めたら、なんと胸におっぱいがあるのに気づいて・・・。なんてことはないよね^^;。そんなことあったらいいけど。まあ、いろいろあって、私は、女のような体つきになり(おっぱいは小さいし、ペニスはもちろん股の間にあったけどね)、女のような格好をして、女らしく振る舞うようになった。で、結構きれいだった(もちろん、自己評価^^;)。

 そうそう、トランスのセックスワーカーというのがどういうものなのか、説明しなくっちゃね。アメリカでは、TS(トランスセクシュアル)とかShemale (シーメール)とか呼ばれているセックスワーカーの人たちがいる。Shemale というのは、“she is a male”と モfemaleモをかけ合わせた造語。とってもシャレてると思わない?日本では、こういう人たちは、よく「ニューハーフ」と呼ばれているよね。トランス・セックスワーカーの多くは、女性ホルモンをとったり、豊胸手術を受けていて、「胸もでかいが、ペニスもでかい」というのを売りにしている。

 私も胸を大きくしたかったけど、豊胸術をするお金もなく、小さな胸のままでやっていた。でも、当時は今より太っていたから、Bカップぐらいはあったかな。形はあんまりよくなかったけどね。だけど、日本人だから、皮膚はキメが細かくてきれいだった。あと、足。決して長くはないが、形がよかった。皮膚と足。これが私のセールスポイント。

 ところで、トランスのセックスワーカーには、トップ専門、ボトム専門、両方をこなす3タイプがいる。「トップ」というのは、自分のペニスを男性客の肛門に入れてセックスをする人のこと。「ボトム」というのは、客のペニスを自分の肛門に挿入させる人のことをさす。私は、その頃、かなりの量の女性ホルモンを服用していたので、ペニスの勃起はままならず、ボトム専門として働いていた。(というよりは、正確に言うと「ボトム専門として働きたかった」ので、そうしていた。でも、両方こなせる人の方が圧倒的に稼ぎはよかった。)

 で、いったいどういうお客がトランスのセックスワーカーを買うかって?うん、これって、ホント謎よね。じゃあ、次回は、この話からにしましょう!


INDEX
[2006/02/28]
No. 47 What is Sex Work? (セックスワークって何?)
[2006/02/20]
No. 46 The Last Client(最後の客)
[2006/02/13]
No. 45 Is Sex Just Sex?(セックスって、単なるセックス?)
[2006/02/06]
No. 44 Is Sex Work a Crime? (セックスワークは罪?)
[2006/01/30]
No. 43 The Web Ad(出会い系サイト)
[2006/01/24]
No. 42 How to Go Along with the Clients (客との打ち解け方)
[2006/01/16]
No. 41 Experiencing Sex Workshops (セックス・ワークショップの経験)
[2005/12/27]
No. 40 Tyson, Again (Tyson再び)
[2005/12/20]
No. 39 Two Japanese Guys, Part 2(二人の日本人 その2)
[2005/12/12]
No. 38 Two Japanese Guys, Part 1(二人の日本人 その1)
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