いったいどういうお客がトランスのセックスワーカーを買うか? MTF(男から女の)トランスは、もともと男で、ペニスがあるんだから、お客は男好きの人だろうって? ううん、大はずれ。男好きの客は、ゲイのワーカーさんを買うでしょう? お客さんのほとんどは、自分はヘテロ(セクシュアル)だって言う。時々、バイ(セクシュアル)って言う人もいるけど。結構、おどろきじゃない?
いずれにしても、私もすっごく疑問だったから、お客さんに会う度に、なんでトランスが好きなのかって聞くことにした。そう、仕事をしながらも、フィールドワークを怠らなかったてわけ。どう、文化人類学専攻生の鏡でしょう!^^;
答えは、驚くばかりに千差万別。でも、大雑把にいって、二つのタイプがあるのにだんだん気づいてきた。第一のタイプは、「トランスは女性よりも“女性的”だから好き」と言う人たち。つまり、究極のフェミ愛好家。例えば、彼らは、「最近の女の子って、なんか男みたいなのが多いじゃない。それを思うと、トランスの方が、女の子より、うんと女性っぽいから好きだ」とか、「女性性を徹底して追い求めているところが魅力的だ」とか言う。
こういう人たちの圧倒的多数は、自分は「ホモセクシュアルではない。ヘテロだ。」って言う。これ、ホント、おもしろいよね。客の中には、どうも女性との関係がうまく築けなくて、トランスに手を出し始めたという人が結構いる。それから、どう見てもホモセクシュアルだけど、ホモ・フォビア(同性嫌悪)だから、トランスと関わっているという人たちもいる。つまり、本当は男性が好きなんだけど、同性間の性的行為に嫌悪感を持っているために、それができず、その代償行為としてトランスワーカーを買う人たちが、少なからずいるってこと。
でも、これと対極的なのが、「トランスは、男でも女でもあるから好き」と言う人たち。つまり、究極の「男/女」好き。彼らは、「おっぱいもあって、ペニスもあるところがいい」とか、「天はトランスに二物を与えた!」とか言って私たちを絶賛する。おもしろいでしょう。彼らは、女性性には性的魅力は感じるけど(=男性性には魅力を感じないけれど)、ペニスが好きなのだから仕方がない。根っから、トランスが好きなのである。
あと、少数派だけど、「トランスの人は、女の子よりも面白い人生を送っているから好き」だなんていう人もいる。確かに、平均的な女のセックスワーカーよりは、はるかに個性的なキャラをもったトランスは多い。どうせ1〜数時間いっしょに過ごすのなら、興味深い話をする奴の方がいい、という気もちはわかる。
また、これも少数派だけど、女装趣味の人たち。この人たちは、自分が女性の下着とかを着て、セックスしないと盛り上がらない。女のセックスワーカーには、変に思われることがあるかもしれないけど、トランスなら大丈夫だろう、と安心して電話してくる人たちがいるのである。
ところで、こういうトランス好きの人たち、何もお金で買わなくても、街にいるトランス見つけて(サンフランシスコには、トランスがごまんといる)、おつきあいして、好きだったら結婚するなり、もし結婚が法的にできないのなら、パートナーシップを築くなりすればいいじゃん、と私は思う。でもね、いくら性にオープンなサンフランシスコでも、トランスとつき合うっていうのは、多くの人にとって、まだタブーなんだよね。
やっぱり、トランスと交わるっていうのは、禁断の果実をつまむようなところがある。エキゾティシズムってやつ。私なんかの場合は、これにさらにAsian(エイジアン)というもう一つのエキゾティシズムが加わるから、一部のおっちゃん、お兄ちゃんたちには、「もう、たまらん」っていう感じみたいだった。で、ちやほやされるんだけど、これって、そんなに嬉しいもんではないんだよね。
っていうのはさあ、こういう男の人たちって、どっかで、自分たち(欧米人男性)は、オリエンタルなトランスよりも優れた人種だから、守ってあげないととか、啓蒙してあげないと、とかいう、いわゆる西洋の植民地主義的思想を継承しているからなんだよね。ヘゲモニー(覇権主義)ってやつ。こういう風に接せられると、内心、うんざりする。っていっても、仕事では、もろに反論することもできず(仲良くなったお客さんには、反論したこともあったけど)、ああこれが現実なんだなって思いながら、相手していた。おかげで、一時は、かなり男嫌いになって大変だった。今は、だいぶ、復活したけどね。
前ふりはもういいから、何があったか教えてくれって? そうだよね、そろそろセックスワークの話に移らないとね。でもね、これがそう簡単じゃないんだよー。