No. 5 That's too big for me!(そんなの大きすぎる!)

 今度のお客、Jason はどうやら紳士らしい。電話ごしに、低く、甘い声で、「君と会うのが待ち遠しい。早く、君を喜ばしてあげたい。」なんて言う。ナイス!仕事は、昼下がり、再び、イーストベイ、オークランド空港の近くだ。今度はうまくいきそうだ。胸をはずませながら地下鉄を降り、駅前でJason がやってくるのを待つ。

 しばらくすると、目の前に止まったスポーツカー風の車から、イケてる感じのアフリカン・アメリカンが顔を出す。「Aiちゃん?」「はい、そうです!」喜びいさんで車に乗り込む。車の中も、こぎれいで洒落ている。断然、会話もはずむ。

 Jason は、軍で働いていると言う。といっても、そのインテリな話ぶりから兵士ではないのは明らかだ。聞けば、心理カウンセラーで、兵士の生活アドバイジングなどをしていると言う。これまたナイス! である。知的労働者であるということだけで、妙に親近感がわいてくる。今度は安心してよさそうだ。

 家につくと、Jasonは世界中を渡り歩く身で、宿舎住まいだから、むさ苦しいけど勘弁してくれなどとも言う。アメリカ人にしては随分謙虚だ。これは、いい人に違いない。確かに建物はみすぼらしいが、洒落た絵が何枚も飾ってある。なかなか趣味がいい。イケてる。

 「お腹はすいていないかい? きのうのバーベキューの残りならあるんだが。」「はい、少しいただきます。」とまだいい香りの残っているリブ・バーベキューを少し口にする。う〜ん、うまい。Jason が自ら料理したという。だけど、肉ばっか。さすが、軍人。アフリカン・アメリカンの大男ともなると、食べるものが違う。きっと食べる量も桁違いなのだろう。

 軽食が終わり、洗面所へ向かう。粗相があってはならない。歯磨き、化粧直し、香水ふりなどを瞬時にこなす。今日も、下着はセクシーだ。Jasonに甘えて、それで、お金をいただいて帰る。よし準備OK!

 Jason はどこまでも紳士だ。私の体にゆっくりと手を触れてくる。甘い言葉も忘れない。「う〜ん、きれいな肌だ。何か特別な手入れをしているの?」ときく。「ううん、特になにも。保湿液を全身に塗るぐらいかな」と答えると、「日本人はだから好きだ。」などと言う。動きは、あくまでスムーズ。一枚ずつ脱がしては、私のからだを愛撫する。「ああん、いい。すてき〜!」と思わず叫んでしまう。

 カウンセラーとはいえ、さすが軍人。鍛え方が違う。からだはどの部分も引き締まっていて、しかも、すべすべで気持ちがいい。ううん、ここまではいい調子。そう思っていた矢先。Jason はおもむろに、自らのペニスを取り出す。

 うっっ! でっ、でかい!! 眼前には、Aiの想像を絶する巨大ペニスがそびえ立っている。そう、「そびえ立っている」のである。長さもあるが、それよりも何よりも太い。ペニスには筋肉も骨もないはずだが、見た目には、もう筋骨隆々といった感じである。「アフリカン・アメリカンのはでかい」とはよく巷で耳にしていたが、しかし、ここまででかいとは!(後でわかるが、アフリカン・アメリカンの誰もが、白人の誰よりもでかいということは必ずしもない。それに、白人でも、同じようにでかい人はいる。が、その時は、その言葉が頭から逃れなかった。)これはでかすぎる。とても私の穴(肛門)には入らない。呆然としていると、「アフリカン・アメリカンとはやったことあるのか?」と聞く。「ん? まあ」といい加減な返事をするのがやっとである。

 トライが始まる。が、それは、どう転んでも無理というもの。どうやっても入らない。針の穴にロープを通すようなものである。でも、入れないとお金にならない。私もプロなんだから何とかしなくてはとがんばる。だけど、がんばればがんばるほど力が入って入らなくなる。私の穴は、意思に反して、どんどんかたく口を閉ざしていくのである。

 しばらくの間、格闘するものの全く何ともならない。Jasonは、意外にあっさりあきらめた。「君を苦しめたくないから」などと、またもや甘いお言葉。こうなると、「神様、仏様、Jason様」といった感じである。そのJason様の期待に答えられないと思うと、悔しくてたまらない。私はプロとして失格である、そうした思いが脳裏から離れない。

 帰り支度をしていると、Jason が「いくらだっけ?」と聞く、私はしどろもどろになりながら「本当は、200ドルなんですけど、ご期待に添えなかったので・100ドルでも結構です。」などと元気のないことを言った。すると「何を言っているんだ君みたいな美人が。300ドルにしておくよ。」ああ、なんておやさしいお言葉!「はい、それなら、いただきます!」と手をだすと、渡されたのは、現金ではなくチェック(小切手)だった。

 アメリカでは、チャックの使用がさかんで、あちこちで使われる。光熱費や家賃などは、チェックで支払うのがふつうだし、個人どうしのお金の受け渡しでは、チャックを使うのは一般的なことである。ただ、私は、先輩諸氏から、支払いは現金だけにしておくように言われていた。えっ、チェック? と思ったが、Jason は、私が彼のペニスを受け入れられなくても、おこりもせずに、それどころか、請求額以上のお金をくれようとしている。ここで「現金でください」と言うのは、どう考えても筋違いだと思った。それで、「ありがとうございます!」と言い、素直に受け取った。Jason は駅まで車で送ってくれた。「無事着いたら、連絡しろよ。」などと言う。「はい」私の胸はときめくばかり。

 うまく仕事はできなかったけど、300ドル手にいれた。前回の分の埋め合わせにもなる。ラッキー!家につくと、さっそく、Jason に電話をいれた。留守電だったが、丁重にお礼を述べておいた。そして、「今度お会いする時までには、ちゃんとJasonを受け入れることができるように練習しておきますので、これで懲りずにまた電話ください。」ともメッセージを残した。もらったチェックはなくさないうちにと、自分の銀行口座に振り込む。

 しかし、しばらくすると、さすがに、そのチェックのことが心配になってきた。翌日、銀行に問い合わす。ガーン! そのチェックは valid (有効)ではないのが判明。あっ、やっ、やっぱり・・・。おまけに、無効のチェックで換金しようとした私からは、手数料の数十ドルが口座から差し引かれると言う。

 もう、完全脱力状態である。お金がもらえないこともショックだが、だまされたことがもっとショックだった。Jason の甘い語りは、すべて嘘だったのか・・・。それにのせられて、私は無償でサービスを提供した。ああ、なんて愚かなんだろう。自己嫌悪。こんなんでこれからやっていけるのだろうか。なんだかお先真っ暗。


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[2006/02/28]
No. 47 What is Sex Work? (セックスワークって何?)
[2006/02/20]
No. 46 The Last Client(最後の客)
[2006/02/13]
No. 45 Is Sex Just Sex?(セックスって、単なるセックス?)
[2006/02/06]
No. 44 Is Sex Work a Crime? (セックスワークは罪?)
[2006/01/30]
No. 43 The Web Ad(出会い系サイト)
[2006/01/24]
No. 42 How to Go Along with the Clients (客との打ち解け方)
[2006/01/16]
No. 41 Experiencing Sex Workshops (セックス・ワークショップの経験)
[2005/12/27]
No. 40 Tyson, Again (Tyson再び)
[2005/12/20]
No. 39 Two Japanese Guys, Part 2(二人の日本人 その2)
[2005/12/12]
No. 38 Two Japanese Guys, Part 1(二人の日本人 その1)
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